No.143

恐怖のてがみ

2005. 8. 2掲載

その手紙は、普通サイズよりも少し大きめの茶封筒に入って送られてきた。
パッと見、堂々とした毛筆でオットの名前が書かれていて、「なんだ?これは?」
っと思わずには要られない代物だった。

差出人を見るとますますアヤシイ。
ー総務省ーとなっているではないか。「はぁ?」もしかしたら、新手の詐欺か?

と思いながら、オットの開封を見守る。
すると、オットが笑い出した。
「家計調査やと!いいが(いいのが)来たねーーー!」

何でも家計簿をつけて欲しいとのお願いなのだそうな・・・。しかも半年も。
ワタシは家計簿を付けられないぐーたら主婦なのだ。オットはそれを分ってて、
選りにも選って、そんな我が家に白羽の矢が当たったことが可笑しくてしょうがな
いらしかった。

いや、何度か家計簿を買い、付けようと試みた事はあるのだけど、ついつい細かく
なり過ぎて、んで、いやになって続かないのだった。

だから、結婚してこの方、ずーっとどんぶり勘定。
このままではイケナイ。もっと上手くやりくり出来たら・・・。他の主婦の人はもっと
もっとがんばっているのに・・・。

そんなことを思っていたところだったので、これはまさしく神様からの何とやら・・・
なのだろうと思った。うぅぅぅ・・・ありがたいようなありがたくないような。。。

でも!でもやっぱりいやだ!
ウチは、オット母と変則的2世帯住居で、家計は光熱費以外は殆ど別々なのだ。
ややこしいではないか。ややこしいのは、仕事だけで充分だ。それに、今年は町
内の班長が回ってきて何かと忙しいのだ。断りたい。断れるものなら断りたい。

その手紙が届いた2月の下旬には、本格的なお願いに調査員の人が来るらしか
った。その時が勝負だ。

でも、いざ、相手と面と向かってしまうと、アヤシイ募金も断りきれなくなるワタシ。
始めはオットに出て行ってもらって断ってもらうつもりでいた。オット母も反対派だ。

ところが、下から呼ばれてしまった。
オットはどちらかと言うと賛成派だったのだ。
「おれは別に引き受けてもいいと思うけど。おれも手伝うし・・・。どうする?」などと
のたまう。

ワタシもいろいろ事情を話し、断れるものなら断りたいと言ったのだけど、結局は
引き受けることになってしまった。調査員の女の人は穏やかないい人で、全く威
圧感とかはないのだけど、それでも静かにこちらの「イエス」と言う返事のみを辛
抱強く待つタイプの人だった。

負けた・・・。

たぶん、もっと頭ごなしに断ったら、しょうがないですねってことになったかもしれ
ないのだけど、少なくとも、オットはそうではなかった。ここにその調査員の人は
「これなら大丈夫」と、希望を持ってしまったのだろう。

そして、最後には「何だか、家族中の人が出てこられて・・・。私、何だかあったか
い気持ちになりました。」なんて、上手いことを言ってその場を締めくくった。

それから、5ヶ月が過ぎた。
ようやくの5ヶ月だ。あと、今月ひと月をやり過ごせば、やっと卒業できる。

この間、買い物してくるたびに、「あっ、また書かんといけんわ〜」って思うと、途端
にブルーになるのだった。

本来、買い物をするって言うことは、ストレス発散になる楽しいことなのだ。
殊に、ドラッグストアで買い物するのが楽しみなワタシにとっては、それはそれは
苦痛なことだった。

世の中の主婦のみなさん方は、こんなタイヘンなことをしているんだ・・・ってしみ
じみ思った。

ただ、レシートを貼るだけではなく、ひとつひとつ書いていくことによって、「あぁ、
○○買ったんだ。」って脳みそにインプット出来ていいような気はした。生協での
買い物も、これまでいかに買いすぎていたかがよく分った。

ただ、この半年間の家計調査で、富山県のガムと、チョコレートとお菓子の消費高が
ぐーーーん!と高くなってもワタシのせいではない( ̄v ̄*)


 

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