No116

ハッカ中毒

2001.6.15掲載

始まりはサクマの缶入りドロップだった。スーパーの
レジで並んでいると、ついついお店の策略にはまって
しまう質だ。お?なつかしや、缶入りドロップ。手に
とって見ると100円だった。決まり。

家に帰って早速缶の蓋を開け、缶を振ってみる。何が
出てくるかな?黄緑色のメロン味。ワタシは小さい頃
から偽物のメロン味が、どうもキライ。なんかウソっ
ぽいからかな。

それで、それを缶に戻してまた振ってみた。今度はオ
レンジ色のオレンジ味だった。オレンジ味はまあまあ
好きだった。舐めてみたけど、なんかしっくり来ない。
なんで?ワタシは一体何味を求めているのだろう。

ぼりぼりとオレンジ味のドロップをかみ砕いて、また
缶を振る。手のひらにごろごろっと5〜6粒出してみ
る。この赤いイチゴ味?そんな感じでもない。おかし
いなぁ・・・。イチゴ味は好きなはずなんだけどなぁ。

もしかしたら、これかな?そう、白いハッカ味。口に
入れると爽快感でいっぱい。すっきりする。ワタシは
これを求めていたのか。小さい頃は、なんでこの缶の
中にこの辛いのが混ざっているのか、恨めしかったと
言うのに。

ワタシも大人になったものだ・・・なんて思いながら、
また白いドロップが出てくるまで、何度も何度も缶を
振る。お目当てのモノはなかなか出てきてくれない。
えぇ〜い!みんな出しちゃえ!缶の中身を机に広げた
ティッシュに空けてみて、その数の少なさに愕然とし
た。これは、やっぱり小さい子供達のためのお菓子な
のだ、と思い知らされた。そうして、ワタシのハッカ
飴への旅が思いがけず始まってしまった。

そして、気付いたのは、ハッカ飴は売ってそうで売っ
てない。だけど、売ってなさそうで、案外売られてい
た。見つけると、どこにでも置いてあるような代物で
はないので、とりあえず買ってきた。帰宅したら、も
う待ちきれずに袋を開けて舐めてみる。時には待ちき
れずに、車の中で袋を開けることもあった。行く先々
のお店で、ハッカ飴の所在を確認する。そして、舐め
比べてみる。大した変わりはないのだけど、どちらか
と言うと、透明な方が好きみたいだった。

旨い。なんで今までこのハッカ飴の旨さに気が付かな
かったのだろう。ちょっと気乗りのしない時や、体調
が優れないとき、気分を変えたい時なんかはもう、こ
れなしでは考えられない。ハッカ飴のない人生なんて
もうワタシには考えられない。

大人しく舐めてる時はもちろんだけど、かみ砕くとき
の気持ちよさが堪らない。そういえば、ワタシが小さ
い頃、母もよく舐めていたような気がする。これは遺
伝なのかな。デパートの地下のぐるぐる回るお菓子売
場で、母は自分のハッカ飴もしっかり買っていた。細
長い水色のハッカ飴。透明なセロハンに青い縁取りが
あったのを今でも覚えている。なんで、こんなもの舐
めるのかなって思ってたけど、ようやく今になって分
かったよ。


あぁ、でも、このごろ虫歯が心配になってきた。そう
思いながらも、今もハッカ飴を舐めている。




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