No115

アゲハの幼虫

2001.6.6掲載

季節になると、柑橘系の葉っぱの上はアゲハの幼虫に
ハゲ坊主にされてしまう。アゲハは何故かそれらの葉
っぱが好きみたいで、いつも、種から育ったグレープ
フルーツの葉っぱはアゲハの幼虫がいっぱいなのだ。

初めは濃い茶色に白い線の入った小さい幼虫が、いつ
の間にか保護色の緑色の、とことこのちょっと大きな
幼虫になっていて驚かされる。ワタシはいつも、カレ
等を見つけると声を上げてしまう。

なるべくなら、生き物は殺さない主義で、ましてや、
きれいなアゲハチョウになるのだから、出来るだけ
そっとしといてあげたい。それに、ワタシはアゲハに
は『借り』があるのだ。

あれは小学校4年生くらいの時だと思う。クラスの男
の子が、やっぱり、まだ小さくて黒っぽいアゲハの幼
虫を捕まえてきて、教室でみんなでチョウチョになる
のを見守っていた。黒っぽかったのが、だんだん緑色
のとことこのになり、時には触覚を出してワタシ達ち
びっこを威嚇しつつ、さなぎになった。ぐるぐる糸を
身体に巻き付けて、壁にくっついていた。いつ、チョ
ウチョになるんだろうね。って、みんなの期待は膨ら
んでいた。ある日、ちびっこまるぼーは掃除当番の後
何気なく壁に寄りかかってしまった。壁にはかわいそ
うなアゲハのさなぎの姿があった・・・。

そんな、幼心が傷ついたトラウマもあって、オットが
「葉っぱ、みんな食べられてしまうぞ」と言って、ア
ゲハの幼虫を摘むのを阻止していた。葉っぱくらいい
いじゃない。

今では、グレープフルーツの木の他に、小さいけど、
去年植えた甘夏とゆずの木もある。そうそう、山椒の
葉っぱも好きみたいだ。とにかく、ああいった匂いが
好きみたいだ。たとえ葉っぱを食べられてもいいから
無事にチョウチョになってね、って切に思う。

だけど、カレ等はじっとしていない。案外動き廻るの
だ。昨日、グレープフルーツの葉にいたはずの3匹が
いないとちょっと焦る。どこに行ったんだろう?
もしかして、また気が付いたら足の下・・・とか、そ
んなことはもうイヤなのだ。それに、うっかりふにゃ
りと触ってしまうかもしれない。ちびっこの頃は、モ
ンシロチョウの幼虫くらいなら「かわいい〜」って、
手のひらの上でなでなでして母を震え上がらせていた
けど、何しろアゲハの幼虫は”とことこ”過ぎてちょ
っと触れないのだ。お〜コワ。お願いだからちゃんと
木なり葉っぱなりの上で、大人しくさなぎになってチ
ョウチョになって、飛んで行って欲しい。
だから、いつも、いるべき所で点呼をして数を確認し
てしまう。ちゃんといるとホッとムネをなで下ろす。

こないだなんか、とったの小屋のすぐそばの目隠しの
板のところにいた。グレープフルーツの鉢から、2m
くらい離れているだろうか。縦になったり横になった
りしている。とったかがパクッとしないか心配・・・。
そうかと思うと、下に落ちて横たわっていらっしゃる。
あれぇ〜?お、落ちちゃったの?横たわって動かない
ってことは負傷してるのかなぁ・・・あ〜あ・・・。
だから、言わんこちゃない。大人しくしてればいいも
のを。

だが、次の日、長いこと横たわっていらっしゃった方
の姿が見えない。そうかと思えば、別の日、植木に水
をやってると、地面の上でビクッとしているお方もい
た。ワタシの方がビクッとするよ、ほんとにもう!
こうして、今日もまた、アゲハの幼虫に翻弄される日
々が続くのであった。




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