No113

アサリの砂ぬき

2001.5.9掲載

オットがアサリ好きなので、生協で毎週アサリを買っている。
アサリを買うのは我が家だけなので、もう「アサリはまるぼ
ーさんとこ」と生協のおにいさんもみんなも分かっている。
大抵はらくちんなお味噌汁になるのだが、その前にひと手間
ちょっと面倒だけど”砂ぬき”をしなくてはいけない。
ほとんどのアサリの入った袋にはこう書いてある。ー砂ぬき
処理はしてありますが念のため調理する前に1時間位塩水に
つけた後、軽くもみ洗いして下さい。ーと。砂ぬきはしてあ
るということだから、何も必ずしなければいけないものでも
ないのだけど、アサリの身を噛みしめた時に奥歯でじゃりっ
ていうあの感じが、すべての奥歯に詰め物をしている私は好
きではないので、よほどのことがない限り、砂ぬきは怠らな
いようにしているのだった。

その時”塩水”が大きなポイントだ。私が買っている生協の
ナイロンの入れ物には親切に塩水の濃度まで書いてある。
ー真水1リットルに対し、塩大さじ2杯ーだそうだ。何かで
読んだが、海水程度の濃度がいいらしい。そして、水位はす
れすれにして暗く静かな所に置いておくといいらしい。アサ
リが海底にいる時の環境に近くするということだろうか。

それ以来、私は大きなボウルに塩水を作るときに塩水をなめ
てみている。海には毎年夏に入っているから、海の水のしょ
っぱさは分かっているつもりだ。だいたいの予想をつけたら
アサリをざるに乗せ、アサリが全部被れきらない程の水量に
調整して、フライパン用のステンレスのふたをして、廊下の
階段のところにそっと置く。私はたいていいつも晩ごはんを
作るときは大音量でCDを聴いているので、アサリの砂ぬき
の邪魔になるといけないから。

そうして、他のおかずを作り終えて仕上げに入る頃、さっき
のアサリの入ったボウルをそっと台所へ持ってくるのだ。こ
のふたを取るときはちょっとわくわくする。今回はどうだっ
たかな。アサリの好きなしょっぱさだったかな・・・などと
思う。ふたをとって、アサリの乗ったざるを持ち上げてみる。
すると、ボウルの底に砂か何なのか、もわもわ〜っとしたも
のが溜まっている。私はこれを『砂』なのだろうと思ってい
るのだけど。その量が多いとちょっとうれしかったりする。
あぁ、今回の濃度はアサリにとってちょうど居心地がよかっ
たんだ。思わず砂を吐きたくなったんだ・・・とホッとした
りもする。反対にその”もわもわ”の量が少なかったり、あ
るいはまったく何もとれなかったりすると、がっくりしてし
まう。あぁ、濃すぎたのかな・・・それとも薄すぎたのかな
と反省し、アサリに対して申し訳ない気持ちになってしまう。
そうして、今度はちゃんとアサリに気に入ってもらえるよう
にがんばろう!と思うのだった。毎週のようにそんなことを
思っている。



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