No111

植木市にて

2001.4.17掲載

オットとオット母と3人で植木市に行った。我が家の
お得意の”ただ”のレジャーだ。この新しい家に暮ら
し始めてから、庭を作る楽しみが増えたのだ。だいた
い、主だった大きな木は去年植えたから、もうあまり
木を植えるところもないのだけど、なんだかやっぱり
気になるので、「ちょっと見るだけ」と言った気分で。

車を止めて、その植木市をやっている公園へ入って行
くと、手に手にお目当ての植木を袋にぶら下げて、満
足気に帰る人々とすれ違う。なんだかみんな嬉しそう。
私たちの帰り道はどうだろう?ちゃんと、袋をぶら下
げてるかな?とふと思った。

おぉ!やってる、やってる!いきなり私の目を引いた
のは、盆栽だった。「わあ!きれいなピンク色のぼけ
の盆栽!」オットにも見せようと思ったのに、もうカ
レはとっとと先を歩いている。仕方がないから、側に
いたオット母と感動を分かち合った。近寄って見ると
見事に太いつるんとした幹。一体何年生きているのだ
ろう。値段を見ると1万2千円だった。ぼけの花にこ
んなきれいなピンク色があるなんて知らなかった。

オットは相変わらず、ずっと私たちのずっと先を歩い
ている。一体何を探してしるのだろう?私とオット母
は目先のきれいさに目を奪われて、お花にばかり気を
とられて、オットとの距離はますます広がるばかり。
「まぁたオットは先に行ってからに・・・どこにいる
か分からんねぇ・・・。もっと目立つ色の服を着せて
くれば良かったなぁ・・・。」と見回す私には「ぱき
らは今日は保護色やから分からんわ。」とオット母。
内回り1周で300m程のそんなに広くはない会場だ
けど、どうせ買うときはオットの承諾がいるから、離
れているのはなんだか落ち着かない。

ようやく追い付く頃には、もうやがて1周目を回り終
えるところだった。「何かいいのあった?」と今度の
2周目はお互いに目を付けたモノを披露する番だ。
私は早速あの”ピンク色のボケの花”を「これこれこ
れ!これでっせー!」と言わんばかりに、オットに披
露した。本当にきれいな花。何度見てもきれいだ。盆
栽は自信がないから、今度いつか”普通の”を探さな
ければって思ってたのに、よくよく見ると「かりん」
って書いてあった。なんだ”ぼけの花”じゃないんだ。
あんまり似てたから勝手にそう思い込んでいた。

それから、遠くから見ていたあのぱきっとしたきれい
なピンク色の花はなんだったのだろう・・・と近寄っ
て見ると”菊桃”。初めて聞いた名前だった。毎年毎
年だんだん年寄りじみた花が気になってくる。「ねえ
ねえ、この花きれいだね。」と「欲しい欲しい」と言
わんばかりに訴えてみる。「・・・・・」返事がない、
誰からも。こんなにきれいなのになぁ・・・。
今度はオット母が「これレンギョウって言うのん、い
いなぁ、賑やかで。」と言う。「・・・・・・。」今
度は私が無言の返事で逆襲する。「花ズオウもいいな
ぁ・・・。」と懲りない私。これまた賛同者なし。な
かなか3人の意見が揃う事ってないもんだな。
植木屋さんの顔ももう覚えてしまった。「あれは○○
造園の人だね。少し痩せたけどだいじょうぶかね。」
「今年は”さざんかの宿”がないね。」とオットふた
りで、半年ぶりの顔ぶれを懐かしんだりもした。

そんな中で、私とオット母の意見がぴたりとあったの
があった。”ボックス・ウッド”の枝を刈り込んで幹
を伸ばし、上の方とやや下の方だけで葉を茂らせて丸
く刈り込んである。植え込みには芝桜が植えてあって、
玄関前に置くと、ワンポイントになって様になりそう
だった。早速オットに打診してみた。すると即「いら
ん、いらん」と言って手を振った。私とオット母は説
得にかかったが、オットはがんとして譲らなかった。
そうこうするうちにもう3周目を回り始めていた。
やっぱり飽きもせずボケの花風かりんの花を見て、赤
い葉のもみじを見て・・・このまま何も買わないのも
寂しいから、私は本命の”白山吹”を700円で買っ
た。だけど、値札そのままで値切らなかったとオット
に叱られてしまった。

そして、だんだんあのボックス・ウッドに近づいてき
た。うざうざとうるさくつきまとう私たちについにオ
ットも折れた。「あんたらねぇ、小遣いというもんを
持ってるやろ。買いたかったら自分で買ったらええや
ろ。そやけど、3800円は高いから負けてもらわれ
や。」としっかりしている。
行動力バツグンのオット母は早速その辺にいたエプロ
ンを付けた女の人に交渉を始めた。「これ3000円
にならんけ?」と言っている様に聞こえた。私はびっ
くらこいた。いくらなんでも3800円を3000円
にはしてくれないだろう。ほら、お店の人も困った顔
をしているではないか。「ちょっと訊いてきますね」
って言うに決まってる。せいぜい3500円ってとこ
だろう、と思ってた。だけど、オット母の顔は笑って
いた。もしかして、本当に3000円にしてくれたの
だろうか。私とオットは少し遠巻きに様子を窺ってい
た。どうやら、本当に3000円にしてくれたらしい。
へえ・・・何でも言ってみるもんなんだな。私はまた
700円の白山吹を値切らずに買ったことをオットに
罵られた。

残るはオットだ。カレはやはり葉色の赤いもみじが欲
しいようだった。それは私もオット母も同じだった。
見たところ”野村もみじ”と”ちしおもみじ”がきれ
いだけど、”ちしおもみじ”の方が赤い色が鮮やかで
きれいだった。これも3人の意見が合っていた。オッ
ト母の買ったのが重い鉢だったので「ちょっとここで
待っとって。」と言って、オットはいそいそともみじ
を買いに行った。オットもオット母も行動は早い。程
なくして、してやったりと言う顔でカレは小さなもみ
じを手にしていた。「1300円を1000円にして
もろたでー。」また、私は叱られた。この分だと一生
言われそうだ。

こうして、私たちは3人それぞれお気に入りの木を手
に、にやにやと帰っていった。やはり、私たちが来る
ときに出会った人達のような顔をしていたのだろうか・
・・。


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