♪:アニー・ローリー(スコット)

No.106

本を読むしあわせ

2001.3.16掲載

私は本を読むのが好きだ。

小さい頃はお年玉を握りしめて母と本屋へ行き、伝記ものなどを買った覚えがあるけど、あれは母の陰謀だったのだろうか。

とにかく、小さい頃から本は好きだった。今から思い起こせば父も母も好きだったような気がする。

学校の図書館でもいろんな本を読んでいた。クジラを命がけで捕まえる話なんかも好きだった。

小学校5、6年生の頃一緒にいた友達がこれまた尋常でない本好き少女だった。

その子の影響をもろに受けて、世界児童文学全集などを読みあさった。

分厚い本だったが、すぐに物語の世界に引き込まれて夢中で読んだ。とくに「三銃士」は大好きだった。

他におどろおどろしいシリーズものの「○○人間」とかいうものも読んだりしてた。      

                                                        

中学に入ると部活動に忙しくなり、読書量も減っていったが、忘れもしないのは映画化された「悪魔の手鞠歌」

などというものを怖いモノ見たさで借りてきて、夜中に飛び起きた記憶がある。

読書は想像させてくれる。私が物事を即座に自分の中で映像化してしまうのは、よくも悪くも読書のおかげと思っている。

読書によって、自分の経験し得ない世界を見せてもらえる。何通りもの人生を疑似体験できる。

いつの間にか、本の中の登場人物になりきって、喜んだり悲しんだり怒ったりしている。

ところが、高校に進むとほとんどと言っていいほど本は読まなくなった。その後しばらく空白の数年が過ぎていった。

今から思えば、もったいないことをしてしまった。人が一生に読める本など限られているというのに。

そんな私に久しぶりに読書のたのしみを思い出させてくれたのは、旅の途中だった。

オットの出張に後から追いかける形で出かけた小さな旅。

夜には合流するが、昼間ひとりあちこちを見て歩いて疲れたとき、何度となく喫茶店に入った。

真夏だった。炎天下を幼い頃住んでいた町を歩き回った。当たり前だが喉が乾いた。よく日射病にならなかったものだ。

だけど、どうしてだかひとりでは手持ちぶたさで居たたまれないのだ。飲み物を飲み終えるとすぐに店を出てしまう。

そこで、店に入る前に兼ねてからチェック済みの文庫本を買って入った。

旅の帰り途の電車の中では、もう夢中になっていた。

                                                        

最近オットも本を読むようになって、ふたりで同じ本を読んで感想を言い合ったりするのがとても楽しい。

初めの頃、私が「お願いだからこの本読んで」と言っても「そんなヒマはない」と一蹴されていたのが、

遠距離通勤になり、オットも本を読む楽しさを思い出したようだ。

ところが、また転勤になって幸か不幸か通勤時間がかなり少なくなってしまった。

ある意味私は少しがっかりした。

もうオットは本を読まなくなるのかな。もう、一緒に語り合えなくのかな。

でも、習慣とは恐ろしいモノで、オットの読書はもはや習慣づけられてしまったようだ。

無事、活字中毒の仲間入りを果たしたオットさま、おめでとう。

                                                       

先日、図書館から借りていた本をようやく全部読み終えた。先に2冊借りた時に予約してきた本が思いの外早く届いたのだ。

合計4冊、結局両方とも延長してもらって読み終えたが、やれやれだ。

脱力感とともに達成感さえ感じる。おまけに少し開放的な気分。

しばらく図書館はお休みしよう・・・と思いながら、

本棚からまだ読んでない文庫本をとってきた。

                                                    

                                                        

                                                        

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