♪:アベマリア(グノー)

No.105

ふきのとう

2001.3.6掲載

今日オット母が小皿を大事そうに抱えて「これなんやと?」と訊いた。

小皿の中を覗いてみると、しゃわしゃわの味噌の中に黄緑色の葉っぱがあった。

「私の希望的観測からするとふきのとう」

当たりだった。

「誰か近所の人からもらったの?」

「うちのや」

というオット母の言葉が脳に届くまで、少し時間がかかった。正しく言えば、言ってる意味が解らなかった。

そういえば・・・。

あぁ、そういえば、去年山菜採りに行ったときに、一つだけ根っこごと採ってきて、庭に植えたのだった。

すっかり忘れていた。

忘れた頃に出てくるなんて、なんていたずら好きなのだろう。

早速、庭に写真を撮りに行った。

本当になっている。なんて、きれいなきみどり色。

もう、すでに3個収穫のあとがある。

きみどり色した小さな切り株があった。

                                                 

  汁に浮かべし 夫(つま)の好みのふきのとう

これは母が、父が亡くなった年の春に詠んだ句。

ふきのとうは父の思い出そのものだ。

毎年毎年、一体どこで摘んでくるのか・・・たくさんのふきのとう。

母がゴマ和えにしたり、ふきのとう味噌にしたり、おつゆにはなしたり。

父は毎日飽きもせず、旨そうにほおばっていた。

なつかしい景色。

もう私の心の中だけにしかいない3人の姿。

あれは夢だったのだろうか・・・。

                                                 

ほろ苦い春の味。

きゅんと胸が痛くなる。

今年もおはつをいただきました。

                                                 

                                                 

                                                 

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