No.025
どうしようもないこと
2003.12.10

 

こないだお茶に行った帰りに見たのは、実家の近所のわんこ、
ぴーちゃんが家の前のアスファルトをよろよろと、やっとのこと
で歩くのをそこのおばちゃんがじっと見守っている姿だった。

ぴーちゃん・・・。

いつの間にかえらく年老いてしまったぴーちゃんを見ていると、
胸がきゅーんてなった。とったと同じ柴の雑種だけど、ちょうど
いい具合に肥えていて、お腹が真っ白で目がつり上がってなく
て、とってもかわいいわんこ。大好きだった。

しばらく遠くから見ていたけど、細い道に入っておばちゃんに
声をかけた。

何て言って声をかけたのか覚えてないけど、話しながら、涙が
出そうになった。

ぴーちゃんは18才。人間で言ったら100才なのだそうだ。
ときどき粗相はするけど、やっぱりウンチとおしっこは外でする
って言うから、こうして出してやるのだそうだ。

ほんとはぴーちゃんにも近づいて、出来れば撫で撫でしたかっ
たんだけど、なぜか出来なかった。

犬の一生のスピードは人間よりも速く過ぎる。
それはどうしようもないこと。
分ってはいたことだけど、子犬の時はさほど実感しなかったこ
とが、この頃のとったを見ていると、それを痛感させられること
が多くなってきた。

子犬の時から比べて、ちょっとちっちゃくなった顔を両手で挟ん
で眺めたり、小さい頭蓋骨を撫でながら、ワタシはいつも心の
中で呼びかける。

「とった、とったは神さまからどれだけの命をもらってきたの?」




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