No.018
気になる存在
2001.8.8

 

玄関を入るとすぐ、車庫にいるとったが見えるよ
うになった。突き当たりは車庫へ通じる裏口。
暑いから網戸にしてることもあるけど、模様替え
好きのオット母が犬小屋を、失礼。とった小屋を
裏口に近い方に移動したからだ。

だから、近頃じゃ玄関を通るときは、ちゃんととっ
たにも挨拶をしなければいけなくなった。外で車
の音がすると、もうお迎え体制ばっちりで待って
いる。たとえこちらが買い物帰りで、すぐに冷蔵
庫に入れなくちゃいけないお刺身を持っていても
どんなにノドが乾いていても(笑)

そんなとったが今日はなぜかこっちを、正面を
向いていない。いつ通ってもワタシには横顔だけ
見せて「フセ」状態でじっと一点を見つめている。

「とったぁ〜ただいまぁ〜」「とったぁーーー!」っ
って言ってもワタシの方には見向きもしないで、
じっと横顔のまま何かを凝視している。そして、
ときどきペロッペロッと舌なめずりしている。

っかしいなぁ〜。きっと、視線の先には何かあ
るぞ。間違いない。絶対何かがある。

そう思って裏口を出て車庫に行ってみた。
とったの視線の先をてんてんてんてん・・・と点線
矢印でたどってみた。

あ〜・・・はいはいはい。セミだね、とった。セミが
いるねーーー。

そこには、動きのなくなったたぶん瀕死のセミが
転がっていた。微妙にとったには届かない距離
のところに。

そりゃあ気になるよねぇ・・・。でもさぁ、とった
あんたセミ恐かったよねぇ。。。オット母が、おも
しろがって、セミの死んだのを近づけると逃げて
なかったっけ。

実はワタシもセミは苦手だ。庭木に水をあげる
とジジジっと言って飛び立って行くのに驚いて、
ワタシはいつでも大声をあげてしまう。セミもびっ
くりしたのだろうけど、ワタシの方はもっとびっくり
なのだ。

だけど、アスファルトに無惨に転がっているセミ
は何だか哀れな気がして、なるべく土の上に移
動させている。土に還りますようにって。

車庫もアスファルト。だから、こわごわ、セミをそ
っと持ってみた。ときどきその状態から、やっぱ
りジジジって飛び立たれたこともあるのだ。でも、
そのセミはすでに死んでいた。

ついでにとったにも見せてあげた。そしたら、す
ごすごとしっぽを下げて小屋に入っていった(笑)



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