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2022年03月の特集 |
パワーハラスメント防止法(中小事業者2022年4月1日施行) |
※厚生労働省資料参照 |
職場におけるハラスメントの防止に関する規定 A |
第3条(禁止行為)
すべての従業員は、他の従業員を業務遂行上の対等なパートナーとして認め、職
場における健全な秩序並びに協力関係を保持する義務を負うとともに、その言動
に注意を払い、職場内において次の第2項から第5項に掲げる行為をしてはなら
ない。また、自社の従業員以外の者に対しても、これに類する行為を行ってはな
らない。
2 パワーハラスメント(第2条第1項の要件を満たした以下のような行為)
@殴打、足蹴りするなどの身体的攻撃
A人格を否定するような言動をするなどの精神的な攻撃
B自身の意に沿わない従業員に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔
離するなどの人間関係からの切り離し
C長期間にわたり、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下で、勤務に直接関係ない作業
を命じるなどの過大な要求
D管理職である部下を退職させるため誰でも遂行可能な業務を行わせるなどの過
小な要求
E他の従業員の性的指向・性自認や病歴などの機微な個人情報について本人の了
解を得ずに他の従業員に暴露するなどの個の侵害
3 セクシュアルハラスメント(第2条第2項の要件を満たした以下のような行為)
@性的及び身体上の事柄に関する不必要な質問・発言
Aわいせつ図画の閲覧、配付、掲示
Bうわさの流布
C不必要な身体への接触
D性的な言動により、他の従業員の就業意欲を低下せしめ、能力の発揮を阻害す
る行為
E交際・性的関係の強要
F性的な言動への抗議又は拒否等を行った従業員に対して、解雇、不当な人事考
課、配置転換等の不利益を与える行為
Gその他、相手方及び他の従業員に不快感を与える性的な言動
4 妊娠・出産・育児休業等に関するハラスメント(第2条第5項の要件を満たし
た以下のような行為)
@部下の妊娠・出産、育児・介護に関する制度や措置の利用等に関し、解雇その他
不利益な取扱いを示唆する言動
A部下又は同僚の妊娠・出産、育児・介護に関する制度や措置の利用を阻害する言
動
B部下又は同僚が妊娠・出産、育児・介護に関する制度や措置を利用したことによ
る嫌がらせ等
C部下が妊娠・出産等したことにより、解雇その他の不利益な取扱いを示唆する
言動
D部下又は同僚が妊娠・出産等したことに対する嫌がらせ等
5 部下である従業員が職場におけるハラスメントを受けている事実を認めながら、
これを黙認する上司の行為
|
【ポイント】 |
パワーハラスメントに該当すると考えられる例/しないと考えられる例 |
職場におけるパワーハラスメントの状況は多様ですが、代表的な言動の類型とし |
ては以下の6つの類型があり、類型ごとに典型的にパワーハラスメントに該当し、 |
又はしないと考えられる例としては以下のようなものがあります。 |
※ これらの例は限定列挙ではありません。また個別の事案の状況等によって判断 |
が異なることもありえますので、事業主の方は十分留意して、職場におけるパワ |
ーハラスメントに該当するか微妙なものも含め広く相談に対応するなど適切な対 |
応をお願いします。 |
なお、以下の例については、優越的な関係を背景として行われたものであること |
が前提です。 |
(1)身体的な攻撃(暴行・傷害) |
該当すると考えられる例 |
@殴打、足蹴りを行う。 |
A相手に物を投げつける。 |
該当しないと考えられる例 |
@誤ってぶつかる。 |
(2)精神的な攻撃(脅迫・名誉棄損・侮辱・ひどい暴言) |
該当すると考えられる例 |
@人格を否定するような言動を行う。相手の性的指向・性自認に関する侮辱的な |
言動を含む。(※1) |
A業務の遂行に関する必要以上に長時間にわたる厳しい叱責を繰り返し行う。 |
B他の労働者の面前における大声での威圧的な叱責を繰り返し行う。 |
C相手の能力を否定し、罵倒するような内容の電子メール等を当該相手を含む複 |
数の労働者宛てに送信する。 |
該当しないと考えられる例 |
@遅刻など社会的ルールを欠いた言動が見られ、再三注意してもそれが改善され |
ない労働者に対して一定程度強く注意をする。 |
Aその企業の業務の内容や性質等に照らして重大な問題行動を行った労働者に対 |
して、一定程度強く注意をする。 |
(3)人間関係からの切り離し(隔離・仲間外し・無視) |
該当すると考えられる例 |
@自身の意に沿わない労働者に対して、仕事を外し、長期間にわたり、別室に隔離 |
したり、自宅研修させたりする。 |
A一人の労働者に対して同僚が集団で無視をし、職場で孤立させる。 |
該当しないと考えられる例 |
@新規に採用した労働者を育成するために短期間集中的に別室で研修等の教育を実 |
施する。 |
A懲戒規定に基づき処分を受けた労働者に対し、通常の業務に復帰させるために、 |
その前に、一時的に別室で必要な研修を受けさせる。 |
(4)過大な要求(業務上明らかに不要なことや遂行不可能なことの強制・仕事の |
妨害) |
該当すると考えられる例 |
@長期間にわたる、肉体的苦痛を伴う過酷な環境下での勤務に直接関係のない作業 |
を命ずる。 |
A新卒採用者に対し、必要な教育を行わないまま到底対応できないレベルの業績目 |
標を課し、達成できなかったことに対し厳しく叱責する。 |
B労働者に業務とは関係のない私的な雑用の処理を強制的に行わせる。 |
該当しないと考えられる例 |
@労働者を育成するために現状よりも少し高いレベルの業務を任せる。 |
A業務の繁忙期に、業務上の必要性から、当該業務の担当者に通常時よりも一定程 |
度多い業務の処理を任せる。 |
(5)過小な要求 (業務上の合理性なく能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事 |
を命じることや仕事を与えないこと) |
該当すると考えられる例 |
@管理職である労働者を退職させるため、誰でも遂行可能な業務を行わせる。 |
A気にいらない労働者に対して嫌がらせのために仕事を与えない |
該当しないと考えられる例 |
@労働者の能力に応じて、一定程度業務内容や業務量を軽減する |
(6)個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること) |
該当すると考えられる例 |
@労働者を職場外でも継続的に監視したり、私物の写真撮影をしたりする |
A労働者の性的指向・性自認や病歴、不妊治療等の機微な個人情報について、当該 |
労働者の了解を得ずに他の労働者に暴露する(※2) |
該当しないと考えられる例 |
@労働者への配慮を目的として、労働者の家族の状況等についてヒアリングを行う。 |
A労働者の了解を得て、当該労働者の機微な個人情報(上記)について、必要な範 |
囲で人事労務部門の担当者に伝達し、配慮を促す。 |
※1 相手の性的指向・性自認の如何は問いません。また、一見、特定の相手に対す |
る言動ではないように見えても、実際には特定の相手に対して行われていると客観的 |
に認められる言動は含まれます。 |
なお、性的指向・性自認以外の労働者の属性に関する侮辱的な言動も、職場における |
パワーハラスメントの3つの要素を満たす場合には、これに該当します。 |
※2 プライバシー保護の観点から、(6)該当すると考えられる例Aのように機微 |
な個人情報を暴露することのないよう、労働者に周知・啓発する等の措置を講じるこ |
とが必要です。 |
セクシャルハラスメントに関するかポイントや、妊娠・出産・育児休業等に関するハ |
ラスメントに関するポイントは来月以降解説します。 |
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