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2021年5月の特集

退職金規程
退職金は、法令上で義務付けられた制度ではありません。そのため退職金制度を
設けるか否か、さらにその内容については会社の判断に委ねられています。
一方で社員からすると、退職後の生活を考えたときに退職金の存在は非常に重要
なものになります。そのため、退職金規程の定めが不十分で解釈や運用に疑義が
あれば、退職金について争いが生じてしまいます。そうならないためにも、社員
にとって分かりやすい、また会社にとっても判断に迷わず運用できるような規程
が求められます。
そこで労基法では、退職金の定めをする場合においては、「適用される労働者の
範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関す
る事項」を就業規則に定め、届出がなければならないことが規定されています。
(労基法第89条第3号の2)。就業規則に定める場合には、「退職金に関しては、
別に定める」と規定した上で、詳細について別途退職金規程を設ける方法が一般
です。

退職金規程A
第4条(勤続年数の計算)
勤続年数は、入社日から退職日までとする。
2 前項にかかわらず、就業規則第〇条(休職の種類)に定める休職期間、第〇
条(育児休業等及び看護休暇)に定める育児休業及び第〇条に定める(介護休業
等及び介護休暇)に定める介護休業を取得した期間は、勤続年数に算入しない。
3 試用期間は、勤続年数に算入する。
4 1年未満の端数が生じたときは月割りとし、1ヶ月未満は1ヶ月とし、1年未満
の端数は切り捨てる。
5 パート・アルバイト社員から正社員に雇用形態を変更した場合は、パート・
アルバイト社員として在籍した期間は、含めない。

第5条(功労計算)
在籍中の功労が特に顕著であると会社が認めた場合は、第3条で算出した金額に
別途、功労金を加算して支給することがある。
2 功労金の支給額は、その都度決定するものとする。

第6条(退職後の不支給及び減額)
退職後に就業規則第〇条(懲戒の種類)第〇項に定める諭旨解雇及び第〇項に定
める懲戒解雇に該当する事実が発覚した場合、または退職時誓約書に違反する行
為を行った退職者については、原則として退職金の全部または一部を支給しない
ものとする。
2 前項において、退職金不支給後に発覚した場合には、会社は支払い済みの退
職金の全部または一部の返還を命じることができる。退職者は、返還を命じられ
た場合には、直ちに退職金を変換しなければならない。

【ポイント】
勤続年数
退職金を算出するにあたっては、勤続年数に応じてその支給額を決定する定めを
していることがほとんどです。この勤続年数の考え方は、年次有給休暇のように
必ずしも在籍期間にする必要はなく、原則として会社で任意に定めることができ
ます。しかし、この勤続年数の定義が不明確である場合には、退職金そのものの
金額に大きく影響するため、トラブルに発展する可能性があります。勤続年数と
して含めるもの、含めないもの、また1年に満たない期間の取り扱いなどを明確に
しておきましょう。
●定めておきたい勤続の取り扱い休職期間、長期欠勤期間、試用期間、出向期間、
組合専従期間、他の雇用形態であった期間、合併等による転籍前の勤続年数
※休職期間のうち、育児休業期間及び介護休業期間については、実際に労務を提
供しなかった期間を働かなかったものとして取り扱いをすることは可能ですが、
その日数を超えて働かなかったものとして取り扱いをすることはできません。

功労加算
在籍時に特別な功労のあった社員に対し、「通常の退職金額を超えて支払いたい」
と思ったときにこの規定が有効になります。退職金規程は、退職金を支給するル
ールブックです。人によって退職金の額が違ってしまえば、そもそもの退職金制
度の整合性は揺らぎ、ルールブックとしての本来の役割を果たすことができませ
ん。そこで加算したい場合には、規定通りの退職金額を算出したうえで、退職金
に功労金として加算する形をとることで、他の退職者と整合性を図ります。これ
は、会社都合や早期退職等により、退職金を規定の金額を超えて支払いたい場合
にも利用することができます。なお、支払額を都度決定できるよう、退職金制度
は設けず、功労金のみを制度として設けている会社もあります。

退職金の返還
この規定例では、懲戒解雇等によって退職することになった社員に退職金の全部
または一部を支払わないとしています。しかし、退職した後に重大な不正な事実
が発覚した場合や、懲戒処分を行うための調査中に退職してしまった社員はどう
なるでしょうか。たとえ、在籍中の不信行為であったとしても、すでに退職して
しまった者に対して懲戒解雇等の懲戒処分を行うことはできません。一方で、退
職金は、功労報奨の意味合いもありますから、在職中に起こした不信行為がその
功労を打ち消すくらい重大なものであれば、退職金を支払いたくないと考える会
社もあるでしょう。そこで有効になるのが、この返還規定です。この規定がある
ことではじめて、退職後に発覚した不信行為により退職金を不支給(減額)する
ことができ、またすでに支給してしまった退職金の全部(一部)の返還を求める
ことが可能になるのです。但し、この規定によって無制限に不支給にすることが
できる訳ではありません。あくまでも不信行為の重大さによるものです。

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