| 2025年12月のQ&A |
| 【Q】 | |
| 厚生労働省リーフレット等の[スポットワークにおける法的留意事項」ポ | |
| イントついて教えてください。 |
| 【A】 |
| スポットワークを活用する企業側の留意点A |
| 一部月刊社労士10月号参照 |
| このたび厚生労働省は、「スポットワーク」における留意事項をまとめリ |
| ーフレットを公表するとともに、一般社団法人スポットワーク協会(米田 |
| 光宏代表理事)に対し、その周知等を要請した。今後もスポットワークを |
| 活用する企業等の広がりが予測されるなか、リーフレット等をもとに法的 |
| な留意点を整理していく。 |
| ■スポットワークの労務管理(事業者向けリーフレット)厚生労働省 |
| ■スポットワークの労務管理(労働者向けリーフレット)厚生労働省 |
| 1.急増する利用件数とトラブル |
| スポットワークは、短時間・単発の就労を内容とする雇用契約のもとで働 |
| く形態を指す。スポットワークの雇用仲介を行う事業者の多くは、その提 |
| 供するサービス(雇用仲介アプリ)によって、企業と求職者のマッチング、 |
| 労働条件通知書交付の代行、業務終了後の賃金の立替払いを行っており、 |
| 企業側にとっては一時的に必要になった労働力を手軽に補うことができる。 |
| 一方で、労働者(スポットワーカー)側にとっても、自身の都合に合わせ |
| て空き時間に働くことができるため、労使双方にとって利便性が高く、雇 |
| 用仲介アプリの登録者数や利用件数は急増している。 |
| だが、利用権者数の伸びとともに、労使間トラブルも全国の都道府県労働 |
| 局や労働基準監督署に寄せられており、同省は7月4日、スポットワーカ |
| ーに対する適切な労務管理を促すこと等を目的としてリーフレットを公表。 |
| 雇用仲介等を行う事業者が加入する一般社団法人スポットワーク協会に対 |
| して、その周知等を要請した。連合が今年1月に公表した調査によると、 |
| スポットワークで働いている際に仕事のトラブルを経験したことが「ある」 |
| と回答した労働者は半数弱(46.8%)に及んだ。そのトラブルの内容(複 |
| 数回答)は、「仕事内容が求人情報と違った」(19.2%)、「業務に関して十 |
| 分や指示や教育がなかった」(17.7%)、「労働条件(賃金や労働時間等)が求 |
| 人と違った」(16.5%)、「同じ職場の他の労働者と労働条件が違う」(16.0%) |
| などが上位に並んでいる。 |
| 【用語説明】 一般社団法人スポットワーク協会 |
| 一般社団法人スポットワーク協会は、スポットワーカーとその利用者を保 |
| 護することを目的とした一般社団法人です。この協会は、スポットワーカ |
| ーの就業環境を向上させることを目指し、企業に対して必要な法知識や労 |
| 務知識の啓発を行っています。また、スポットワーカーと企業をマッチン |
| グさせる事業者を通じて、健全な市場形成を実現することも目的としてい |
| ます。 |
| 【用語説明】雇用仲介アプリ(スポットワークアプリ) |
| ■シェアフル: 初めてのスキマバイトに最適なアプリ。 |
| ■タイミー: 短期の仕事を簡単に見つけられるアプリ。 |
| ■ショットワークス: スポットバイトに特化したアプリ。 |
| ■LINEスキマニ: LINEを利用したスキマバイトアプリ。 |
| ■メルカリ ハロ: メルカリが提供するバイト探しのアプリ |
| 【補足資料】2025年スポットワーク多い職業 |
| ■運搬の職業 |
| ■商品販売の職業 |
| ■接客・給仕の職業 |
| ■営業・販売関連事務 |
| ■社会福祉の専門職 |
| ■生活衛生サービス |
| ■自動車運転の職業 |
| 2.労働者の応募完了時点で労働契約成立 | |
| リーフレットでは、「事業主とスポットワーカーが直接労働契約を締結す | |
| る」ことが改めて周知された。雇用仲介アプリを通して面接等を経ること | |
| なく応募が完了し、労働者に対する労働条件通知書の交付や賃金支払いも | |
| スポットワーク仲介事業者が代行するその手軽さゆえ、これまでスポット | |
| ワーカーを直接雇用していると認識していない事業者も少なくなかったこ | |
| とが背景にあるものと見込まれる。同省はあわせて労働契約の締結後には、 | |
| 、事業主に労働基準法等を遵守する使用者としての義務が生じることを強 | |
| 調。その上で労働契約の締結時期について、以下の考え方(表1参照)を | |
| リーフレットで示している。 | |
| 表1 労働契約成立(締結時期)の考え方 | |
![]() |
| 3.労働契約締結後のキャンセル | |
| スポットワークの申し込み後の解約(キャンセル)については、これまで | |
| スポットワーク仲介事業者ごとのキャンセルポリシーに基づき行われてい | |
| た。だが、同省が公表したリーフレットにより、スポットワーカーは、労 | |
| 働契約成立後の解約についてその事由や期限をあらかじめ示した契約(解 | |
| 約留保権付労働契約)を労使間で締結したものと整理され、当該事由が合 | |
| 理的であることや、労働契約法第3条第1項の「労使対等の原則」の趣旨を | |
| 踏まえ、スポットワーカーにのみ不利な内容にならないことに留意する必 | |
| 要があるとされた。こうした指摘を踏まえ、一般社団法人スポットワーク | |
| 協会は「スポットワークサービスにおける適切な労務管理に向けた考え方 | |
| 」をまとめ、キャンセルに関する対応指針を表2のように整理。9月1日か | |
| ら適用した。解約可能事由によらず、事業主の都合で解約する場合は、休 | |
| 業手当(予定給与額満額)の支払いを求めるという。 | |
| 表2 スポットワーク協会が示した解約可能事由 | |
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| 【用語説明】解約権留保付き契約 |
| 試用期間中の契約: この契約は、通常、試用期間中に適用されます。企業 |
| は、従業員の能力や勤務態度を評価し、適格性がないと判断した場合に解 |
| 約権を行使することができます。 |
| 解約権の行使: 解約権の行使は、通常の解雇よりも広い範囲で認められま |
| すが、客観的かつ合理的な理由が必要です。例えば、能力不足や勤務態 |
| 度の不良などが理由として挙げられます。 |
| 【用語説明】 労働契約法第3条第1項の「労使対等の原則」 |
| 労働契約法第3条第1項の「労使対等の原則」は、労働契約を締結する際に |
| 、労働者と使用者が対等の立場で合意することを求めています。具体的に |
| は、労働契約は労働者と使用者の対等な立場に基づいて締結され、就業の |
| 実態に応じて均衡を考慮することが求められます。また、労働契約は仕事 |
| と生活の調和にも配慮されるべきであり、権利の濫用を禁止する原則も含 |
| まれています |
| 4.予定と異なる労働時間は速やかに確認・修正 |
| 賃金や労働時間に関しては、予定していた労働時間より長く作業に時間を |
| 要し、スポットワーカーから実際の労働時間による修正の申請がなされた |
| 場合の留意事項が示された。同省は、事業主に対して、賃金はスポットワ |
| ーカーの生活の糧であることを踏まえ、予定されていた労働時間に基づき |
| 勤務した賃金は遅滞なく支払うとともに、予定の労働時間と異なる時間に |
| ついては、速やかに確認し、労働時間を確認させる必要があると説明。労 |
| 働時間と確認された場合は、修正された労働時間に基づき、賃金を支払う |
| ように求めた。また、業務に必要な準備行為(指定の制服への着替え等) |
| や業務終了後の業務に関連した後始末(掃除等)を就業先ないにおいて行 |
| った時間などは労働時間に該当するため、求人の際に、これら着換え等の |
| 時間も含めて始業・終業時刻を設定するように要請している。 |
| 5.労働・社会保険の加入要否は留意を |
| このほか、スポットワーカーは労災保険の対象になるほか、加入要件を満 |
| たせば社会保険(厚生年金・健康保険)・雇用保険の対象にもなる。 |
| スポットワーク仲介事業者によっては、労働者ごとに労働時間・勤務日数 |
| ・賃金等の制限を設定しているところもあるが、複数のスポットワーク仲 |
| 介事業者を利用して、同一の労働者が就労する場合もあり得るので、労働 |
| 時間・勤務日数・賃金等を把握した上で、個々に社会保険の加入の要否を |
| 確認する必要がある。 |
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| 友澤社会保険労務士事務所 |
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