| 事業者は、労働安全衛生法第66条に基づき、労働者に対して、医師による健 |
| 康診断を実施しなければなりません。また、労働者は、事業者が行う健康診 |
| 断を受けなければなりません。また、健康診断の費用及び 受信中の社員の給 |
| 与については、@「健康診断の費用については、法で事業者に健康診断の義 |
| 務を果たしている以上、当然、事業者が負担すべきものであること」、 |
| A「社員の健康確保は事業の円滑な運営に不可欠な条件であることを考えると |
| 、受信に要した時間の賃金を会社が支払うことが望ましい」とされています。 |
| (@昭和47年9月1日 基発第602号、A昭和47年9月18日 基発第602号) |
| 但し、パートタイム労働者については、その者の1週間の所定労働時間が当該 |
| 事業所において同種の業務に従事する通常の労働者の1週間の所定労働時間の |
| 4分の3以上である場合には、通常の労働者に含まれます。 |
|
| ※1: 労働安全規則第13条第1項第2号に掲げる業務 |
| ・多量の高熱物体を取り扱う業務及び著しく暑熱な場所における業務 |
| ・多量の低温物体を取り扱う業務及び著しく寒冷な場所における業務 |
| ・ラジウム放射線、エツクス線その他の有害放射線にさらされる業務 |
| ・土石、獣毛等のじんあい又は粉末を著しく飛散する場所における業務 |
| ・異常気圧下における業務 |
| ・さく岩機、鋲打機等の使用によつて、身体に著しい振動を与える業務 |
| ・重量物の取扱い等重激な業務 |
| ・ボイラー製造等強烈な騒音を発する場所における業務 |
| ・坑内における業務 |
| ・深夜業を含む業務 |
| ・水銀、砒素、黄りん、弗化水素酸、塩酸、硝酸、硫酸、青酸、か性アルカ |
| リ、石炭酸その他これらに準ずる有害物を取り扱う業務 |
| ・鉛、水銀、クロム、砒素、黄りん、弗化水素、塩素、塩酸、硝酸、亜硫酸、 |
| 硫酸、一酸化炭素、二硫化炭素、青酸、ベンゼン、アニリンその他これらに |
| 準ずる有害物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務 |
| ・病原体によつて汚染のおそれが著しい業務 |
| ・その他厚生労働大臣が定める業務 |
| また、次の有害な業務に常時従事する労働者等に対し、原則として、雇入れ |
| 時、配置替えの際及び6月以内ごとに1回(じん肺健診は管理区分に応じて1〜 |
| 3年以内ごとに1回)、それぞれ特別の健康診断を実施しなければなりません |
| 特殊健康診断 |
| ・屋内作業場等における有機溶剤業務に常時従事する労働者(有機則第29条) |
| ・鉛業務に常時従事する労働者(鉛則第53条) |
| ・四アルキル鉛等業務に常時従事する労働者(四アルキル鉛則第22条) |
| ・特定化学物質を製造し、又は取り扱う業務に常時従事する労働者及び過去 |
| に従事した在籍労働者(一部の物質に係る業務に限る) (特化則第39条) |
| ・高圧室内業務又は潜水業務に常時従事する労働者 (高圧則第38条) |
| ・放射線業務に常時従事する労働者で管理区域に立ち入る者(電離則第56条) |
| ・除染等業務に常時従事する除染等業務従事者(除染則第20条) |
| ・石綿等の取扱い等に伴い石綿の粉じんを発散する場所における業務に常時 |
| 従事する労働者及び過去に従事したことのある在籍労働者 (石綿則第40条) |
| ・常時粉じん作業に従事する労働者及び従事したことのある管理2又は管理3 |
| の労働者 (じん肺法第3条、第7〜10条) |
| 注:じん肺の所見があると診断された場合には、労働局に健診結果とエック |
| ス線写真を提出する必要があります |
| じん肺健診 |
| ・常時粉じん作業に従事する労働者及び従事したことのある管理2又は管理3 |
| の労働者 (じん肺法第3条、第7〜10条) |
| 注:じん肺の所見があると診断された場合には、労働局に健診結果とエック |
| ス線写真を提出する必要があります。 |
| 歯科医師による健診 |
| (歯科医師による健康診断) |
| ・塩酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、弗化水素、黄りんその他歯又はその支持組織 |
| に有害な物のガス、蒸気又は粉じんを発散する場所における業務に常時従事 |
| する労働者 (安衛則第48条) |
| ※2:定期健康診断(安衛則第44条)における健康診断の項目の省略基準 |
| 定期健康診断については、以下の健康診断項目については、それぞれの基準 |
| に基づき、医師が必要でないと認めるときは省略することができます。なお、 |
| 「医師が必要でないと認める」とは、自覚症状及び他覚症状、既往歴等を勘 |
| 案し、医師が総合的に判断することをいいます。したがって、以下の省略基 |
| 準については、年齢等により機械的に決定されるものではないことに留意し |
| て下さい。 |
| ■身長(医師が必要でないと認めるとき省略できる者) |
| 20歳以上の者 |
| ■腹囲(医師が必要でないと認めるとき省略できる者) |
| 1.40歳未満(35歳を除く)の者 |
| 2.妊娠中の女性その他の者であって、その腹囲が内臓脂肪の蓄積を反映して |
| いないと診断された者 |
| 3.BMIが20未満である者(BMI(Body Mass Index)=体重(kg)/身長(m)2) |
| 4.BMIが22未満であって、自ら腹囲を測定し、その値を申告した者 |
| ■胸部エックス線検査(医師が必要でないと認めるとき省略できる者) |
| 1.5歳毎の節目年齢(20歳、25歳、30歳及び35歳) の者 |
| 2.感染症法で結核に係る定期の健康診断の対象とされている施設等で働いて |
| いる者 |
| 3.じん肺法で3年に1回のじん肺健康診断の対象とされている者 |
| ■喀痰検査(医師が必要でないと認めるとき省略できる者) |
| 1.胸部エックス線検査を省略された者 |
| 2.胸部エックス線検査によって病変の発見されない者又は胸部エックス線検査 |
| によって結核発病のおそれがないと診断された者 |
| ■貧血検査、肝機能検査、血中脂質検査、血糖検査、心電図検査 |
| (医師が必要でないと認めるとき省略できる者) |
| 35歳未満の者及び36〜39歳の者 |
| 4.健康診断実施後の事業者の具体的な取組事項 |
| 1.健康診断の結果の記録 |
| 健康診断の結果は、健康診断個人票を作成し、それぞれの健康診断によって |
| 定められた期間、保存しておかなくてはなりません。 |
| ( 安衛法第66条の3) |
| ※一般健康診断5年 |
| ※特殊健康診断:5?40年 |
| 2.健康診断の結果についての医師等からの意見聴取 |
| 健康診断の結果に基づき、健康診断の項目に異常の所見のある労働者につい |
| て、労働者の健康を保持するために必要な措置について、医師(歯科医師に |
| よる健康診断については歯科医師)の意見を聞かなければなりません。 |
| ( 安衛法第66条の4) |
| 3.健康診断実施後の措置 |
| 上記2による医師又は歯科医師の意見を勘案し必要があると認めるときは、作 |
| 業の転換、労働時間の短縮等の適切な措置を講じなければなりません。 |
| (安衛法第66条の5 ) |
| 4.健康診断の結果の労働者への通知 |
| 健康診断結果は、労働者に通知しなければなりません。 |
| ( 安衛法第66条の6) |
| 5.健康診断の結果に基づく保健指導 |
| 健康診断の結果、特に健康の保持に努める必要がある労働者に対し、医師や |
| 保健師による保健指導を行うよう努めなければなりません。 |
| ( 安衛法第66条の7) |
| 6.健康診断の結果の所轄労働基準監督署長への報告 |
| 健康診断(定期のものに限る。)の結果は、遅滞なく、所轄労働基準監督署 |
| 長に提出しなければなりません。(安衛則44条、45条、48条の健診結果報告 |
| 書については、常時50人以上の労働者を使用する事業者、特殊健診の結果報 |
| 告書については、健診を行った全ての事業者。) |
| (安衛法第100条) |