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2024年04月のQ&A
【Q】
会社内での懲戒規定について教えてください。


【A】

会社が実際に懲戒処分を行うには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別
および事由を定め周知しておかなければなりません。懲戒事由を定める際の
ポイントは、より具体的に想定することです。なお、全てを想定することは
困難なため、最後に「その他前各号に準ずる程度の事由があったとき」とい
う事由の規定もわすれないでください。

【用語解説】 就業規則の周知方法
労働基準法施行規則第52の2
労働基準法第106条第1項(就業規則等周知させるための法律)の厚生労働省
令で定める方法は、次に掲げる方法とする。
1.常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること。
2.書面を労働者に交付すること。
3.磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作
業場に労働者が当該記録の内容を常時確認できる機器を設置すること。

2.懲戒処分の妥当性
労基法第15条では、「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、
当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質および態様その他の事情に
照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められ
ない場合は、その権利を乱用したものをして、当該懲戒は無効とする」と定
めています。これは、会社が社員を懲戒することができる場合であっても、
その懲戒が「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認めら
れない場合」には権利濫用に該当するものとして無効となることを明らかに
するとともに、権利濫用であるか否かを判断するにあたっては、労働者の行
為の性質およびその態様が考慮されることを規定したものです。

3.二重処罰の禁止
懲戒処分を行う場合「二重懲罰の禁止」に注意が必要です。過去に一度懲戒
処分を行ったにもかかわらず、同じ行為について再度処分を行うことは禁止
されています。

4.不遡及の原則
不遡及の原則とは、処分の対象となる行為を新しく定めた場合、その規定を
設けた後の行為についてのみ新しい規定を適用するというルールです。
【例】
無断で副業・兼業をすることが懲戒事由ではなかった期間に、従業員が副業
・兼業をしており、後に副業・兼業が禁止されるに至ったという場合を想定
してみましょう。この場合、当該従業員が、上記期間中に副業・兼業を行っ
ていたことに対する懲戒処分を行うことはできません。つまり、過去に適法
であった行為について、新ルールを適用して後から処分することは許されな
いことになります。
懲戒処分を行うときには、処分の対象となる行為について、行為があった時
点で懲戒処分の事由になっていたことが、懲戒処分が適正だと判断する基準
となります。

6.懲戒の手続き
【会社に懲罰委員会を組織する場合】
懲戒は、その事項につき事実の調査、確認等を行い必要に応じて本人の弁明
の機会を与えるとともに、所属長やその他の関係者の意見を聴き調査のうえ
行うものとする。
なお、懲罰委員会の委員については、会社が都度決定する。

7.懲戒の種類
@譴責(けんせき)
始末書をとり、将来に向かって戒めること。場合によっては「始末書」をと
らずに「戒告」として口頭で注意にとどめる会社もあります。
A減給
懲戒処分として一定額の賃金を控除すること。なお、労基法第91条にて、労
働者に対して「減給の制裁を定める場合において、その減給は、一回の額が
平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の
1/10を超えてはならない」という一定の制限があるため、注意が必要で
す。
B出勤停止
一定期間出社させずに、賃金の支払いをしないことです。なお、賃金を支払
わないことについては、制裁として出勤停止の当然の結果であり、前述の「
減給」で述べた労基法第91条の制限を受けるものではありません。
C降職、解任、降格
制裁として、職位を引き下げる、役職を解くまたは資格等級を引き下げるこ
とです。降職、解任、降格により、給与が変更された場合でも、「職位毎に
異なった基準の賃金が支給されることになっている場合、職務替によって賃
金支給額が減少しても、労基法第91条の減給制裁規定に抵触しない」とされ
ています。
D諭旨解雇
本来懲戒解雇に該当する事案ですが、情状が認められる場合に懲戒解雇とせ
ずに、退職願の提出を勧告することです。その際、会社が定めた期間内に退
職願が提出されない場合には懲戒解雇とします。
E懲戒解雇
懲戒解雇として解雇処分とすることであり、懲戒の中でも最も重い処分です。
懲戒解雇には、一般的に退職金は不支給とされ、また懲罰履歴が残り再就職
にも影響が生じ、社員にとっては不利益を被るため、極めて慎重に行わない
といけません。

8.就業規則(厚生労働省HPモデル就業規則参照 令和5年7月)
(懲戒の事由) 第68条
労働者が次のいずれかに該当するときは、情状に応じ、譴責、減給又は出勤
停止とする。
@正当な理由なく無断欠勤が 日以上に及ぶとき。
A正当な理由なくしばしば欠勤、遅刻、早退をしたとき。
B過失により会社に損害を与えたとき。
C素行不良で社内の秩序及び風紀を乱したとき。
D第 条、第 条、第 条、第 条、第 条に違反したとき。
Eその他この規則に違反し又は前各号に準ずる不都合な行為があったとき。

2労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。ただし、平素
の服務態度その他情状によっては、第 条に定める普通解雇、前条に定める
減給又は出勤停止とすることがある。
@重要な経歴を詐称して雇用されたとき。
A正当な理由なく無断欠勤が 日以上に及び、出勤の督促に応じなかったとき。
B正当な理由なく無断でしばしば遅刻、早退又は欠勤を繰り返し、 回にわた
って注意を受けても改めなかったとき。
C正当な理由なく、しばしば業務上の指示・命令に従わなかったとき。
D故意又は重大な過失により会社に重大な損害を与えたとき。
E会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯
罪事実が明らかとなったとき(当該行為が軽微な違反である場合を除く。)。
F素行不良で著しく社内の秩序又は風紀を乱したとき。
G数回にわたり懲戒を受けたにもかかわらず、なお、勤務態度等に関し、改善
の見込みがないとき。
H第 条、第 条、第 条、第 条に違反し、その情状が悪質と認められると
き。
I許可なく職務以外の目的で会社の施設、物品等を使用したとき。
J職務上の地位を利用して私利を図り、又は取引先等より不当な金品を受け、
若しくは求め若しくは供応を受けたとき。
K私生活上の非違行為や会社に対する正当な理由のない誹謗中傷等であって、
会社 の名誉信用を損ない、業務に重大な悪影響を及ぼす行為をしたとき。
L正当な理由なく会社の業務上重要な秘密を外部に漏洩して会社に損害を与え
、又 は業務の正常な運営を阻害したとき。
Mその他前各号に準ずる不適切な行為があったとき。

※ハラスメントの懲戒に関しては、今月の特集:育児・介護休業等に関する規
則の規定例21を参照してください。
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