| 2023年01月のQ&A |
| 【Q】 |
| 通勤災害の労災について教えてください。 |
| 【A】 |
| 昭和48年労災保険法改正により通勤災害保護制度が導入され、業務災害とは別枠で |
| 通勤災害も保険給付の対象とされることとなりました。ただし、通勤途上であって |
| も業務を行っている場合の災害については、業務上の災害になると解されることか |
| ら、通勤災害には該当しません。 |
| 通勤災害の認定においては、通勤遂行性と通勤起因性の有無が問題とされる。まず、 |
| 通勤遂行性の有無は、労災保険法7条2項に定められた「通勤」の定義に照らして判 |
| 断されます。特に、@就業関連性、A「住居」・「就業の場所」の意義、B「合理 |
| 的な経路及び方法」による往復、C合理的な往復経路の逸脱・中断がないこと(た |
| だし、一定の日常生活上必要な行為等をやむを得ない事由により行うための最小限 |
| 度の逸脱・中断がなされた場合は、当該逸脱又は中断の間を除き、通常の経路に復 |
| した後は、通勤と認められます。)、及び、D業務の性質を有していないこと、等 |
| の各要件の意味内容が重要となってきます。次に、「通勤起因性」の有無は、通勤 |
| と負傷・疾病等との間に相当因果関係があるか否かで判断されます。※一人親方等 |
| の特別加入者は通勤災害に適用されません。 |
| 【補足説明】 |
| ■「住居」とは、労働者が居住して日常生活の用に供している場所で、本人の就業 |
| のための拠点になることをいいます。 |
| ・一戸建ての場合、敷地内に入る地点(門)が、住居と通勤の境界。 |
| ・アパート、マンションの場合、外戸が住居と通勤経路の境界。 |
| ・単身赴任者等が、就業の場所と家族の住む場所(自宅)との間を往復する場合にお |
| いて、反復・継続性が認められる(毎月1回以上の往復行為がある)ときは、当該自 |
| 宅を住居として取り扱います。 |
| ■「就業の場所」とは、業務を開始し、又は終了する場所をいう。 |
| ※外勤業務の場合、最初の用務先が業務開始の場所、最後の用務場所が業務の終了 |
| 場所 |
| 就業の場所と認められる場所 |
| ・本来業務を行う場所 |
| ・物品を得意先に届け、そこから直接帰宅する場合の当該届け先 |
| ・全員参加で出勤扱いとなる会社主催の運動会の会場 等 |
| ■合理的な経路と認められるもの |
| ・通常通勤している経路が道路工事中である等、当日の交通事情により迂回してと |
| る経路 |
| ・マイカ通勤者が貸切の車庫を経由して通る経路 |
| ・他に子供を監護する者がいない共働き労働者等が託児所親戚宅等に子供を預ける |
| ために通る経路 |
| ■合理的な方法と認められる場合 |
| ・鉄道、バスなどの公共の交通機関を利用する場合 |
| ・自動車、自転車等を本来の用途に従って使用する場合 等 |
| ■逸脱・中断とはされない行為 |
| 労働者が通勤途上で、例えば、経路上の売店でタバコや雑誌を購入したり、経路の |
| 近くにある公衆便所を利用したりするなどの「些細な行為」は、逸脱・中断とはさ |
| れません。 |
| ■「日常生活上必要な行為」とは、 |
| ・日用品の購入等(理・美容院に立ち寄る場合、単身者が食堂に立ち寄る場合を含 |
| む。) |
| ・職業訓練校、学校等で行われる職業能力向上のための職業訓練等受ける場合(こ |
| こでいう学校とは、一般学生が通学する大学、短期大学、専門学校、高等専門学校 |
| 等を除く) |
| ・選挙権の行使 |
| ・病院又は診療所において診察・治療を受けること |
| ・要介護状態にある配偶者等の介護(継続的、又は反復していること。) |
| 2.通勤災害の保険給付の種類 |
| ■負傷・疾病(治癒前) |
| ・療養給付 |
| 療養給付(一部負担金あり 200円) |
| 療養の費用の支給 |
| ・休業給付(事業主に3日間の待機期間の補償義務ない。) |
| ■療養開始後1年6ヶ月経過しても治癒せず、傷病等級1級〜3級に該当 |
| 傷病年金 |
| ■介護の関する保険給付 |
| 介護給付 |
| ■傷害(治癒後) |
| ・障害給付 |
| 障害年金(1級〜7級) |
| 障害一時金(8級〜14級) |
| ■死亡 |
| ・遺族給付 |
| 遺族年金(1人:給付基礎日額の153日分〜4人以上:給付基礎日額の245日分) |
| 遺族年金一時金(給付基礎日額の1000日分) |
| ・葬祭給付 |
| 葬祭料 |
| 3.労災保険のメリット制と通勤災害 |
| 労災保険料率は、災害リスクに応じて種類ごとに定められています。しかし、 |
| 事業の種類が同じでも、作業工程、機械設備、作業環境、事業主の災害防止努 |
| 力の違いで、個々の事業場での災害率に差が生じます。そこで、労災保険制度 |
| では、事業主の皆様の保険料負担の確保と、労働災害防止努力の一層の促進を |
| 目的として、その事業所の労働災害の多寡に応じて一定の範囲で保険料率、保 |
| 険料額を増減させる制度(メリット制)を設けています。メリット制は、継続 |
| 事業(一般事業)、一括有期事業、単独有期事業によって異なります。また、 |
| 通勤災害は、メリット制とは関係ありません。 |
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