| 2022年5月のQ&A |
| 【Q】 |
| 年次有給休暇の成立要件等について教えてください。 |
| 【A】 |
| 以下、年次有給休暇成立に必要な条件、年次有給休暇取得手続等を概説します。 |
| 付与要件 |
| ■6ヶ月以上継続勤務した労働者 |
| →全労働日の8割以上出勤したこと |
| ■1年6ヶ月以上継続勤務した労働者 |
| 6ヶ月経過日から1年継続勤務するごとに全労働日の8割以上出勤したこと。 |
| ※対象労働者には、管理監督者や有期雇用労働者も含まれます。 |
| 出勤率=出勤日(全労働日のうち出勤した日)÷全労働日(労働契約上労働義務 |
| のある日) |
| (1)全労働日 |
| 全労働日とは、働く義務のある日です。派遣労働者の全労働日は、派遣先におい |
| て就業すべき日です。しかし、年次有給休暇を取った日、仕事に関連したケガや |
| 病気で休んだ日、育児・介護休業を取った日、産前産後で休んだ日は、全労働日 |
| に含まれます。(労基法39条8項)。また、違法・無効と判断された解雇により |
| 就労できなかった日、同様に、労働委員会の不当労働行為救済命令によって使用 |
| 者が解雇を取り消した場合の、解雇された日から復職する日までの不就労日も、 |
| 全労働日とされます。 |
| 他方、働く義務がある日でも、会社都合で休まざるを得なかった日、生理休暇、 |
| 慶弔休暇を取った日、正当なストライキのため働かなかった日は全労働日に含ま |
| れません。 |
| ※所定休日(休日労働しても含めない)、天災事変等の不可抗力の日も全労働日 |
| に含まれません。 |
| (2)継続勤務 |
| 継続勤務とは、在籍期間をいい、継続勤務かどうかは勤務実態から判断されます |
| 。定年退職後の嘱託勤務、短期の契約を更新した勤務、臨時労働者の正社員採用、 |
| 在籍出向は継続勤務となります。 |
| (3)年次有給休暇の事前申出 |
| 年次有給休暇の取得者の代替者を確保するなどのため、会社が就業規則などで年 |
| 次有給休暇請求は事前に行うなどと定めることは違法ではありません。 |
| (4)半日年次有給休暇・時間年次有給休暇 |
| 年次有給休暇は原則として一労働日(暦日)が単位なので、労働者から半日年次 |
| 有給休暇が請求されても、会社は与える義務はありません。時間単位の年次有給 |
| 休暇請求も同様です。ただし、会社の判断で、半日や時間単位の年次有給休暇を |
| 与えるのは違法ではありません。なお、現行労基法の年次有給休暇制度では、過 |
| 半数労使協定の締結を経て、歴日数5日以内の範囲で時間単位の年次有給休暇を |
| 取得することが可能とされています。 |
| (5)事後請求・事後振替 |
| 年次有給休暇の事後請求は本来成立せず、欠勤を事後的に年次有給休暇に振り替 |
| えることは使用者の判断に委ねられています。ただし、事後請求の理由として労 |
| 働者が申し出た事情を考慮して、その休みを年次有給休暇として処理することが |
| 妥当なのに年次有給休暇を与えない場合は違法になります。 |
| (6)年次有給休暇の繰越し |
| 年次有給休暇の繰越しで発生している未取得の年次有給休暇の権利は、翌年度ま |
| で繰り越すことができます。 |
| (7)年次有給休暇の買上げ |
| 年次有給休暇は、労基法39条1項が定める客観的条件が揃うことで発生する権利 |
| のため、買上げ予約をしたり、本来なら請求できるはずの年次有給休暇日数を減 |
| らしたり与えないことは、違法です。未消化の年次有給休暇を事後に使用者が買 |
| 上げる義務はないが、未取得分の年次有給休暇日数に応じて手当てを支給するな |
| ど事後に年次有給休暇を買上げることは違法ではありません。他方、年次有給休 |
| 暇は、現実に労働者が取得することを要するものであるという制度趣旨から、労 |
| 働者が使用者に対して未取得日数分の年次有給休暇に応じた金銭の支払いを請求 |
| することはできません。 |
| (8)年5日の年次有給休暇の確実な取得 |
| 年5日の年次有給休暇を、取得時季を指定して労働者に取得させることが使用者の |
| 義務となりました。対象者は年次有給休暇が10日以上付与される労働者です。但し、 |
| 既に5日以上の年次有給休暇を請求・取得している労働者に対しては使用者による |
| 年5日の取得時季を指定する必要はなく、またすることもできません。(時間単位 |
| の年次有給休暇は対象とはならない。) |
| (9)計画年休 |
| 5日を超える分の年休について、事業場の過半数労使協定で年休を与える時季に関 |
| して定めたときは、会社はこの労使協定に基づいて労働者に年休を与えることがで |
| きます(計画年休制度。) |
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