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久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』583号
2019年12月23日
『声と眼』
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【11月市議会】 長期的な公共施設管理計画を策定

 久喜市は道路や上下水道などのインフラ資産の他、174か所の公共建築物を保有しています。
多くの施設が老朽化していて、人口減少へ向かう中で、公共建築物の維持管理や改修・更新費用の抑制、施設の統廃合も課題になってきています。
市では2016年に「公共施設総合管理計画」を策定し、今後40年間で更新費用を20%削減する目標を掲げました。
これに基づいて施設ごとの「個別施設計画」を作る方針でしたが、いまだに具体的なたたき台も原案もまとまっていません。

 11月市議会に、公共施設個別施設計画検討委員会を設置する条例が提出されました。
委員の一部を公募し、検討委員会を来年7月ごろに立ち上げて、来年度中に6回の検討委員会で「個別施設計画」をまとめる予定です。
しかし実際には、施設の統廃合や改修計画の策定には各団体や地域の利害関係もからんできます。
本会議で、これまでに市の各部署で所管する施設の個別計画をどのように検討してきたのかを質問しましたが、市はすべてこれから検討委員会で協議していく考えです。
こんなやり方で、短期間で実効性のある個別計画が作れるのかはなはだ疑問です。
原案の検討段階から公開し、市民の理解を得ながら進めていくよう求めました。

【11月市議会】 マイナンバーカード取得は低調

 私は11月市議会に、『マイナンバーカードの取得「押しつけ」を行わないよう求める意見書(案)』を提出しましたが、新政と公明党の反対で否決されました。

 マイナンバー制度は2015年にスタートしましたが、今年8月の交付率13.8%(1755万枚)、久喜市は12月1日現在14.4%(2万2100枚)にとどまっています。
今年6月、政府は22年中にほとんどの国民にマイナンバーカードを保有させる方針を決定しましたが、これから3年で1億枚以上を交付申請させるなどというのは現実には不可能です。

 昨年の内閣府の世論調査では「マイナンバーカードを今後も取得する予定はない」53.0%、「マイナポータルを利用してみたいとは思わない」62.2%という結果でした。
一方で、「個人情報の漏えいが心配」27%、「紛失や盗難が心配」25%となっています。
プライバシー侵害への不安を放置したままで、政府は当初、納税と社会保障、災害関連の3分野に限るとしていた利用の場を拡大しようとしています。

強引なカード「押しつけ」はやめて

 2021年からはマイナンバーカードを健康保険証の替わりにも使えるようにする予定で、久喜市の補正予算でも国保の電算システムの変更が盛り込まれました。
しかし医療機関はセキュリティ対策や窓口でのトラブルなどのデメリットが予想されます。
健康保険証があるのにマイナンバーカードを持ち歩く必要もなく、診療情報の漏洩にもつながりかねません。
また自治体に「交付円滑化計画」を作成させ、市役所に来た住民をカードの申請窓口に誘導する、公務員と家族にカードを申請させる、マイキーIDを登録して自治体ポイントを付けるなど、強引なカード取得促進を進めています。
本来、マイナンバーカードの取得は、あくまで本人の任意です。このようなカードの押しつけはするべきではありません。

 マイナンバー制度は導入の初期投資に2700億円もかかっていて、運用にも毎年300億円が必要とされます。
その上、医療機関にカード読み取り機を設置したり、国保のシステム改修、自治体ポイント制度などに巨額の費用がかかります。
費用対効果も大いに疑問があって、税金の無駄遣いとしか言いようがありません。

★『マイナンバーカードの取得「押しつけ」を行わないよう求める意見書』は、12月19日の採決で、賛成は市民の政治を進める会と共産党、無会派の8名。
新政と公明党の名が反対に回った。★

猪股市議の一般質問 1
12月5日の本会議で、6項目の一般質問を行いました。


【一般質問】 プラスチック削減の取り組みを提言

 マイクロプラスチックによる海洋汚染が深刻になっています。
久喜市で「プラスチックスマート宣言」を行うことと、使い捨てプラの排出削減−市長と職員がマイボトル運動に取り組み、庁舎にウォーターサーバーの設置、レジ袋をもらわない、職員の弁当のプラスチック容器の使用抑制を弁当業者に働きかける、などの具体的取り組みを提言しました。

 市長が『プラスチック削減へ、久喜市としてどのような取り組みができるのか研究を命じた』と答弁し、環境経済部長は、
(1)職員や市民にマイボトルを呼びかけるが、新たなウォーターサーバー設置は考えていない、
(2)レジ袋をもらわないよう職員に周知していく、
(3)弁当用プラスチック容器の抑制のために業者に働きかけていきたいと答弁しました。

 なお、審議会等の会議でペットボトル飲料を出さないように求めたのに対して、市は『原則として出していない』と答弁しましたが、実際には一部の審議会の会議でペットボトルを配っていたことがわかっています。

 越谷市は8月に市長が「プラスチックスマート宣言」、所沢市も「プラスチックごみ削減」を宣言し、率先してプラごみ削減に取り組んでいます。
両市とも市役所にウォーターサーバーを置いてマイボトル運動を進めています。
久喜市はまだ市長が『研究を命じた』という段階ですが、市長のリーダーシップで積極的なプラごみ削減対策を進めるべきです。

【一般質問】 久喜駅前広場の喫煙所、早急に改善を

 久喜駅東口・西口広場の喫煙場所は、周辺への受動喫煙させ放題になっています。
市では9月議会の私の質問で『好ましくない状況にある』と認めたものの、どのように改善するのかいまだに決められないでいます。
早急に対策を講じるよう求めたのですが、環境経済部長が『設置場所や改善方法を検討したが、改善案がまとまっていない』と、言い訳答弁に終始しています。

 改善方法は、◇通行者が少ない場所への移動、◇2〜3mの高い壁で囲む、◇コンテナ型の喫煙所を設置する》の3つしかないのはわかり切っています。
それなのに半年間も結論が出せずにこれ以上先送りするのは怠慢としか言いようがありません。
年度内にはどうするのか決めるべきです。

市内飲食店の受動喫煙対策は

 改正健康増進法で、来年度から飲食店の原則禁煙が義務付けられます。
市内の飲食店がそれぞれどのように対策を取るのか、久喜市としても把握していくよう求めました。
飲食店の禁煙対策の届け出や指導監督権限は都道府県にありますが、市も市民の受動喫煙防止の観点から、各店舗の受動喫煙対策の状況を把握しておくべきではないでしょうか。

 埼玉県では受動喫煙対策を行っている飲食店等の認証制度があります。
県とも連携して、市内の禁煙店舗の情報などを積極的に把握し、市民に知らせていくよう求めました。
また市で独自に《受動喫煙ゼロの見せステッカー》などを作成して配布している市もあります。
久喜市も積極的に行動するべきです。


【一般質問】 『徘徊』という表現をどう考えるか

 福祉行政の分野で「徘徊」という表現があたりまえに使われていて、久喜市の福祉サービスでも、「徘徊高齢者・障がい者探索システム」「徘徊高齢者・障がい者見守りオレンジシール」の2つの事業名があります。
しかし実は認知症高齢者も障害者も判断力がなくなっているわけではなく、当事者は目的をもって外出して道に迷った状態だと言われています。
「徘徊」と決めつけるのでなく、当事者に寄り添うことが大切だと言われています。
厚労省も最近では『徘徊の言葉を新たな文書や行政説明では使わないようにしている』としています。
久喜市でも「徘徊」という表現の見直しを求めました。

 福祉部長が『できるだけ使わない。ケースに応じて使い分けていく』との考えを示したものの、『2つの事業名の「徘徊」の用語は変えない』と答弁しました。
実際には防災無線でも「徘徊」とは言わないで『行方不明者についてお知らせします』と放送しているのですから、事業名だけ「徘徊」の表現を残す必要はないはずです。

★『徘徊』の表現をどうするか。
「道迷い」「認知症高齢者見守り制度」「ひとり歩きSOS高齢者・障害者探索システム」などに変更する自治体が増えています。★







久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』582号
2019年12 9日
『声と眼』
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【11月市議会】 市議会で“電子採決”を試行へ

 久喜市議会ではICT化の一環で、本会議で“タブレットを使った電子採決”の導入を検討しています。
県内では吉川市議会が押しボタン採決を実施するなど、全国で10市くらいが電子採決・押しボタン採決を取り入れていると言われます。

 議会では議案の表決は起立による採決が原則で、起立=賛成者が出席者の過半数を超えた場合に可決となります。
その他に7名の議員が求めれば記名投票による採決が行う方法もあります。
これまでの起立採決では、時としてタイミングがずれて起立したかどうかがあいまいだったり、たまには間違えて立ったりする議員もいたりいました。
また賛否入り乱れて拮抗しているときなどは集計が混乱したこともありました。

 久喜市議会で検討している電子採決は、議員に貸与しているタブレット画面で 賛成 反対 のボタンをタップして賛否を表明します。
採決結果は議場正面に設置したモニターとインターネット中継の画面に、議員の名前と賛否、票数が瞬時に表示され、1人1人の賛否が傍聴者にも一目瞭然でわかります。
電子採決であればケガや障害で起立や挙手が困難な人でも賛否の表明が明確にできるので、議会のバリアフリー化も進むことになります。

 今回はコンサルタント会社から、電子採決システムを2年間の無償供与を受けることができたので、当面の費用は操作用のパソコン等の購入費用約50万円です。
しかし現在提供されているシステムにはいくつかの問題もあります。
採決をしている最中に、だれがどちらのボタンを押したかがモニターで見えてしまう、再投票もできるので票数の増減もモニターに出てしまって、後から押す議員は後出しじゃんけん状態になってしまうなどです。
また現在のシステムには 棄権 ボタンも設定されていますが、議会には本来は「賛成」か「反対」しかないので、システムの改修が必要です。
また職員によるシステム操作にも課題があることがわかりました。

 久喜市議会では、12月19日の定例議会最終日に、一部の議案で電子採決の“試行”を実施する予定です。
そのために、会議規則を『議長が必要があると認めたときは、電子採決システムにより表決を取ることができる』と改正することで合意しました。

委員会のインターネット中継も模索

 久喜市議会はすべての会議は原則公開で、本会議でも委員会でも、だれでもいつでも傍聴席に出入りすることができ、許可は必要ありません。
今年2月議会には180人、6月議会は82人、9月議会は71人、年間では約500人が傍聴に訪れています。
委員会の傍聴者は普段は多くありませんが、請願の審査が行われるときなどは数十人が傍聴に来るときもあります。
傍聴席は本会議は定数50名、委員会は15名ですが、傍聴希望者が定数を超えた場合には、別室に音声を流したり、委員会ではイスを足して詰めて入ってもらっています。

 本庁の市議会議場まで来られない方のために、本会議はインターネットでライブ中継していて、録画でも見ることができます。
昨年1年間でライブ中継を見た人はのべ1万3869人、録画中継はのべ5869人が利用しました。
今年も2・6・9月議会のライブ中継はそれぞれ2500〜4000人、最高では1日1500人が視聴し、録画中継は月平均375人が利用しています。

 さらに市議会ICT推進委員会で、委員会のライブ・録画中継を検討しています。
ユーチューブに映像を流し、だれでもインターネットで視聴できるようにする予定です。
委員会室に固定カメラを設置しておいて、発言者のアップや編集はしないで映像と音声を流すだけという、できるだけシンプルに金のかからない方法を模索しています。
来年2月定例市議会で、一部の委員会審査の中継を“試行”で実施し、来年度から本格的なスタートをめざしています。

【11月市議会】 市長と議員の期末手当を引き上げへ

 市長や議員など特別職の期末手当の引き上げが提案されました。
期末手当を現在の年間4.45か月分から0.05か月分引き上げて、年間4.5か月分とする改定です。
市長の年間期末手当支給額は516万7800円(引き上げ額5万7420円)、議員の年間期末手当額は221万4000円(引き上げ額2万4600円)となります。

 これは市職員の勤勉手当の改定を、市長や議員にも準用しようとするものです。
職員は平均0.05%の給与引き上げ、さらに年間の勤勉手当を合計0.05か月分引き上げる条例改正案が提案されています。

 しかし、(1)市職員の給与や勤勉手当の引き上げは人事院勧告に準じたものですが、市長や議員にはそもそも勤勉手当の制度はありません。
(2)職員の勤勉手当は勤務評価に基づいて支給されますが、市長や議員の期末手当は全員一律の支給です。
(3)市長給与や議員報酬の額の改定は、特別職報酬審議会に諮問しなければならないことが条例で規定されています。
期末手当の引き上げは年間支給額の改定なのに、2014年以降の毎年、報酬審議会の意見を聞いたこともなく、5年間連続して引き上げられてきました。
他市では市長や議員の期末手当を職員と連動させていない市もあります。
私は久喜市も期末手当の改定を報酬審議会に諮問するように求めてきました。

 市長は10月に開かれた報酬審議会で「市長給与と議員報酬の額」について諮問するとともに、これまでの姿勢を変えて「期末手当についての意見」を求めました。
審議会は報酬額を据え置きとする一方で、期末手当の引き上げを「適当」とする答申を賛成多数で可決しました。

【11月市議会】
選択的夫婦別姓制度の国会審議を求める意見書(案)を提出

  11月25日に定例市議会が開会されました。私は議員提出議案で2件の意見書案を提出しました。最終日の12月19日の本会議で審議、討論・採決が行われます。
 

選択的夫婦別姓制度の国会審議を求める意見書(案)

 選択的夫婦別姓制度とは、結婚後に同性を名乗ることもでき、夫婦が望む場合はそれぞれの姓を名乗ることも可能とする制度です。

 法制審議会民法部会では、平成3年から婚姻制度等の見直し審議を行い、平成8年2月に、選択的夫婦別姓制度の導入を盛り込んだ「民法の一部を改正する法律案要綱」を答申しました。
法務省は、この答申を受け、平成8年と平成22年に改正案を準備しましたが、いずれも国会提出には至らず、今日まで審議されていません。

 民法第750条に規定される「夫婦同氏制」は、明治31年の民法成立によって制度化されましたが、当時は家父長制により、結婚後は「家」の姓を名乗ることが慣習となっていました。
それ以前は日本においても伝統的に武家の慣習によって「夫婦別氏(姓)」が一般的であったとされています。

 最高裁は、平成27年12月、民法第750条に規定される「夫婦同氏制を合憲と判断」しながらも、「選択権が設けられていないことの不合理」については裁判で見出すことは困難とし、「国民的議論」や「民主主義的なプロセス」により検討されるべきだとして、民法の見直しを国会審議に委ねました。

 選択的夫婦別姓制度を求める背景には、結婚後は男女いずれかの姓を名乗らなければならないとする「夫婦同氏制」の下で、多くの女性が事実上、男性の姓に変更することを求められ、改姓によってこれまで築き上げてきたキャリアが生かされないことや、改姓を避けるために結婚を諦める方や事実婚を選ばざるを得ない方が少なからずいると言われています。

 すでに世界中の国々では夫婦別姓、結合性などが一般的であり、昨年3月の衆議院法務委員会において、夫婦同姓を義務づけている国は世界中で日本だけであることが明らかになっています。

 そして、女性権利条約の批准や、男女同権意識の高まり、家族のあり方が多様化するなか、最高裁判決の趣旨を踏まえて議論を深め、選択肢を持てる法制度を求める声が広がってきました。
平成30年2月に内閣府が公表した世論調査の結果では、法改正に賛成・容認が66.9%と反対の29.3%を大きく上回るなど、選択的夫婦別姓制度の導入に向けた機運は、大変高まってきております。

 よって、国会および政府に対し、選択的夫婦別姓の法制度改正について、積極的な議論を推進するよう求めます。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出します。

久喜市議会

提出先/衆議院議長・参議院議長・内閣総理大臣・総務大臣・法務大臣宛て

★市民の政治を進める会は、月定例市議会にこの他に、『マイナンバーカードの取得「押しつけ」を行わないよう求める意見書』 『核兵器禁止条約への参加を求める意見書』の案を提出しています。★