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久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』560号
2018年 10月 29日
『声と眼』
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ごみ処理広域化を協議する条件とは?

 久喜市で菖蒲地区に新ごみ処理施設の建設計画を進めています。
7月に幸手市と杉戸町から共同でのごみ処理を求める申し入れがあったのに対して、10月15日、市から両市町に「回答」を送付しました。

 当局は「回答」の中で、協議を開始するための9項目の「条件」を提示しています。
内容は、《建設予定地は久喜市菖蒲地区とする。久喜市が施設を建設し、両市町はごみ処理を委託して、建設費用およびごみ処理費用を負担する。両市町はそれぞれのごみ処理に関する情報を提供する。必要に応じて宮代町とも協議する。協議期間は今年12月末を目途に方針を決定するよう協議に努める。施設建設費や施設維持管理費以外の経費等に関する負担についても協議する》となっています。
これらは久喜市が建設するごみ処理施設に、両市町からのごみを受け入れ、建設費や処理費用を負担してもらうという協議の前提を示したもので、「条件」と言えるものではありません。
期限も努力目標にすぎず、きわめて不十分です。

 久喜市では2023年の新ごみ処理施設の稼働へ向けて、今年は「ごみ処理施設整備基本計画」を策定する予定でした。コンサルタントにも発注済みで、市民参加の基本計画検討委員会の人選も終わっていました。
ところが急に両市町と協議を行うことになったため、現在これらの作業はすべて中断しています。
今から改めて計画を変更することになれば、すでに一昨年に策定した「基本構想」から見直さなければならず、新ごみ処理施設の稼働は2年遅れになる見込みです。

 いちばんの心配は、久喜宮代衛生組合の現在の老朽焼却炉があと7年間も維持できるのかどうかです。
久喜宮代清掃センターの焼却炉は毎年の修理費が1〜2億円もかかっています。これから新施設が稼働する予定の5年後までに8億円の修繕費が必要とされていて、2年間延長するためにはさらに3億円の修繕費がかかります。
八甫センターの焼却炉も5年間の修繕費が8億円で、延長のためにはさらに3億円かかります。こうした余分にかかる修繕費と、これまでの調査や計画策定をやり直すための費用を、久喜市民の税金で負担するのは理解が得られません。
これから幸手や杉戸と、ごみの共同処理の協議を開始するのであれば、遅れによる経費の増額分は両市町に負担を求めていくべきではないでしょうか。

 またこれまで分別の徹底とごみ減量で、燃やす量をできるだけ少なくする取り組みを進めてきて、リサイクル率は久喜市33%、宮代町は42%です。
幸手市と杉戸町のリサイクル率はいずれも25%程度です。
共同のごみ処理を進めるのであれば、久喜と同程度の分別・ごみ減量の徹底を求めるべきです。

し尿処理は八甫センターに統合へ

 久喜市と宮代町のし尿処理は市内外3か所で行っています。
公共下水道の普及で、くみ取りし尿、浄化槽、集落排水処理施設の汚泥は年々減ってきています。
久喜宮代清掃センターでは久喜地区と宮代町のし尿汚泥を処理していて、処理能力は日量70`リットルですが、実際の処理量は約26`リットルです。
鷲宮・栗橋地区のし尿汚泥を処理している八甫センターは、処理能力が日量53`リットルに対して、実際の処理量は約34`リットルです。
菖蒲地区の排出量は日量約10`リットルです。

 八甫清掃センターは現在はごみ焼却炉とし尿処理施設を併設しています。
衛生組合ではごみ焼却炉を廃止し、し尿処理施設を処理能力78`gに拡張して、2023年度から久喜市と宮代町の全部のし尿汚泥をすべて1か所で処理する計画です。
現在は八甫センターには、ごみとし尿で1日に合計74台の収集車が出入りしていますが、し尿汚泥の車だけなら1日36台に減るので、地元の理解が得られやすいのではないかという考えです。
地元では八甫センター全体の廃止を求める意見もあるようですが、衛生組合では今後も話し合いを続ける方針です。

★衛生組合の生ごみ堆肥化・減容化モデル事業は、新ごみ処理施設でのバイオガス化の検討に合わせ、2022年で終了の予定でしたが、突然、今年度末で廃止する方針転換が示されました。★

 東海第二原発再稼働反対の意見書を採択

 9月28日、久喜市議会定例会の最終日に賛成18、反対8の多数で可決し、政府へ送付されました。

提出者 猪股(市民の政治を進める会)
賛成者 岡崎(公明党)、杉野・渡辺(共産党)・田村(無会派)

東海第二原子力発電所の運転期間を延長しないことを求める意見書

 日本原子力発電(株)は昨年11月24日、東海第二原発の運転期間の20年間延長を原子力規制委員会に申請した。
これは「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律」に規定する原発の運転期間を原則40年に制限するルールから外れる申請であると批判されている。

 東海第二原発の半径30km圏内には、国内の原発として最多の約96万人が居住している。
にもかかわらず、事故が起きた場合の避難計画は不十分で、現状では、周辺自治体による再稼働への同意も見通せない。
避難計画では埼玉県にも4万人が避難するとされている。
しかし原発周辺住民の避難経路、避難体制、避難先の受け入れ態勢も全く不十分で、そもそも96万人の人々が短時間のうちに避難することなど極めて困難と言わざるを得ない。

 東海第二原発は2011年3月11日の東日本大震災により原子炉が緊急停止し、外部電源を喪失、非常用発電機も3機のうち1機が故障、かろうじて炉心溶融を免れた被災原発である。
その上、40年間の長期間の運転で機器や配管の劣化が進み、放射線に晒されてきた原子炉本体の劣化が進んでいると考えられる。
これまでに再稼働した原発では、2015年に再稼働した川内原発1号機で配管の損傷、2016年には高浜原発4号機で異常電流検出で緊急停止、今年3月にも再稼働したばかりの玄海原発3号機で配管から蒸気漏れで運転停止など、何年もの停止を経て再稼働した原発では予測のつかないトラブルも起きているのが現実である。

 万が一、東海第2原発で事故が発生すれば、広い地域が放射能で汚染され、埼玉県内にも汚染が広がることは免れない。
東海第二原発から約90km離れた埼玉県東部に位置する久喜市地域へも、高濃度の放射性物質が飛散すると予測され、被曝による乳幼児の健康被害や、農作物の汚染は食べ物としても経済的にも大きな打撃を受けるのは必至である。

 原子炉等規制法による運転の40年制限は、老朽化した原発の事故を防ぐための最低限のルールであって、その期限を超えての再稼働・運転延長は市民に大きな不安をもたらす。

 茨城県内では44市町村中、今年6月議会までに、県庁所在地である水戸市をはじめ、久喜市と災害時相互応援協定を締結している結城市、また埼玉県境に隣接する境町、久喜市に隣接する五霞町などの30市町村議会が、東海第二原発について「再稼働を認めないことを求める意見書」「廃炉を求める意見書」「運転期間延長を行わないことを求める意見書」等を採択した。
茨城県に隣接する千葉県、栃木県内の各自治体議会でも同趣旨の意見書の採択が続いており、埼玉県内の自治体議会として、また住民としても黙過することはできない。

 よって、運転開始から40年になる東海第二原発の再稼働・運転延長を認めず、速やかに廃炉とすることを求める。

 右のとおり、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。
久喜市議会
2018年9月28日

提出先
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、総務大臣、経済産業大臣、環境大臣、原子力規制委員会委員長 あて

 久喜市議会と同趣旨の意見書や請願は、埼玉県内では、新座、越谷、志木、熊谷、富士見、東松山、吉川、吉見、鳩山の11市町議会でも採択されています。
茨城県内では44市町村中33議会で可決、さらに栃木、千葉、東京でも拡がっています。

 日本原電は東海第二原発の施設や運転に関し、今年3月に東海村や、隣接する日立市、常陸太田市、ひたちなか市、那珂市、水戸市の周辺6市村と「実質的な事前了解権」を盛り込んだ安全協定を締結しています。
この中の常陸太田市議会で請願を採択している他、10月には那珂市長が再稼働反対の意思を表明していますが、日本原電は6市村で賛否が分かれた場合の対応は明らかにしていません。
那珂市長は原発事故が起こった際の広域避難計画の策定は困難であり、『住民のことを考えると原発を動かさないのがいちばん』としています。

 原子力規制委員会は9月に、東海第二原発の新規制基準への「適合」を認定、11月までに「運転延長」も認可する見通しと言われています。

★市議会教育環境委員会は月日に三箇小と太東中の雨漏りと、遅れているトイレ洋式化の現状を現地調査し、早急に原因調査と改修工事を進めるよう要望しました。★





久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』559号
2018年 10月 15日
『声と眼』
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新ごみ処理施設整備は1〜2年遅れ

 市は現在の久喜宮代衛生組合の3か所の焼却炉を統合して、2023年に新ごみ処理施設を建設する計画で、今年度にはごみの処理方式や規模などの基本計画を策定することになっていました。
これに対して6月に幸手市と杉戸町から両市町のごみも共同処理してほしいという広域化の話が持ち掛けられました。
その後、梅田市長は7月に両市町からの正式な依頼文書の提出を受ける形で、9月議会の一般会計補正予算に「広域化についてのコンサルタントへの調査委託料」280万円を計上しました。
基本計画策定作業をいったんストップさせたことで、ごみ処理施設の整備は数か月遅れ、もしも広域化を推進することになれば、基本構想からやり直しとなり、新ごみ処理施設の完成はさらに2年間遅れることになります。

 新ごみ処理施設整備計画はこれまで4年以上かけて検討されてきて、予定地周辺住民の理解も得ていますが、幸手や杉戸のごみも処理することについては住民への説明も行われていません。
久喜宮代清掃センターの焼却炉(1号炉)は1975年の竣工で全国で最も古い炉です。
2023年まで48年間も炉が持つかどうかさえ限界に近いと言われており、さらに2年(以上)も延命させることができるのかどうか危惧されています。

 市議会予算決算常任委員会で、公明党の岡崎議員が、補正予算から広域化の検討費用を削除する修正案を提案し、市民の政治を進める会も賛成しました。修正案は否決されましたが、その後、住民や市民への説明を求める付帯決議が採択されました。

9月定例市議会の全議案と各会派の賛否

東海第二原発を廃炉に! 意見書を可決

 私は、茨城県の東海第二原発の40年間の運転期間延長による再稼働に反対する意見書を提出しました。
 9月28日に採決の結果、市民の政治を進める会、公明党、共産党、無会派の田村、新政の新井・盛永・春山・柿沼・井上の18名が賛成して可決されました。
運転期間の延長を認める立場から意見書に反対したのは川内・貴志・成田・平沢・園部・宮崎・鈴木・並木の8名でした。

★東海第二原発再稼働反対の意見書や請願を、県内では久喜、新座、越谷、志木、熊谷、富士見、東松山、吉川、吉見、鳩山で採択しています。
茨城では44市町村中33議会で採択、東京や千葉、栃木県内でも拡がっています。★

猪股市議の一般質問 2
9月12日の本会議で、6項目の一般質問を行いました。


【一般質問】 公共施設に太陽光発電システム設置推進を

 市では市役所本庁舎、学校の体育館などの公共施設21か所に太陽光発電システムを設置していて、2017年度は281万円の売電収入がありました。
環境基本計画で、2022年までに30か所の公共施設に設置すると明記しています。
あと4年間で9か所に設置していく計算ですが、今のところどこの施設に設置するか具体的な計画は作っていません。
そこで既存の公共施設の屋根や市の遊休地などに、積極的に設置していくよう提言しました。

 環境経済部長は「新施設を建設したり大規模改修工事の際には原則として導入する」と答弁しました。
しかし現在は、小中学校で設置されているのは3か所だけ、総合支所にも設置されていません。
公共施設の新設や大規模改修に合わせて設置するだけでなく、公共施設の中で設置可能な施設を検討していくべきです。

 さらに民間発電事業者に屋根貸しして賃貸料をもらって、太陽光発電システムを設置させることも検討していくべきではないでしょうか。

【一般質問】 同性パートナーシップ認証制度を求める

  LGBTなどの性的マイノリティは人口の7.6%と言われ、これらの人々の人権を保障する取り組みが進んでいます。
同性カップルを公的に認証するパートナーシップ制度は世田谷区から始まり、現在は大阪市など全国で10市区に拡がり、さいたま市も制度化の方針を明言しています。
自治体によって、パートナーシップ登録制度や当事者カップルが宣誓書を出して自治体が認証する制度などの違いはありますが、今後、全国に拡がっていくことは確実です。

 久喜市でも市長のリーダーシップでパートナーシップ制度を実現するよう求めました。市長は「制度の導入によって性的マイノリティの人々が自分らしく生きられる社会の実現につながる、有用な制度である」と答弁しました。
しかし制度化については、「国や他の自治体の動向を注視し、調査研究していく」と答えるにとどまりました。
市長は性的マイノリティの人権保障の社会的な流れを推し進める立場に立つべきです。先進的な政策を率先して実現していく、市長の人権感覚と政治的決断力が問われています。

小中学校での取り組みも進んでいる

 私は6月議会で、小中学校の教育現場における取り組みを提案しました。
その後、具体的な取り組みの状況を明らかにするよう求めました。

 教育長の答弁によると、
(1)市立中央図書館では8〜9月に「LGBTを含む性的マイノリティに関する図書の特集」を実施しました。
(2)7月には校長会などで、児童生徒が性的マイノリティについて相談しやすい環境作りや、教職員の研修を実施するように依頼しています。
(3)その後、各小中学校で、全教職員を対象に性的マイノリティの研修を実施、図書室への関係図書の配架、ポスターの掲示、多目的トイレを『だれでもトイレ』に名称変更などが進みました。

 議会後に、ある小学校の校長先生にお会いした時に、授業で性的マイノリティの人権を取り上げ、その後に子どもたちから寄せられた感想のお話を聞かせていただきました。

【一般質問】 市長交際費の大幅節減を求める

 久喜市の市長交際費支出額は3年連続で県内3位で、昨年度は人口120万人のさいたま市よりも多くなっています。
梅田市長当選後の5、6月は昨年よりもさらに支出が増えており、このままでは交際費支出の増大に歯止めがかかりません。
これまで、市長あてに案内状が来たものにはほとんどすべて出席して、途中であいさつだけして帰る場合でも儀礼的に会費や祝金を置いてくるのが慣例になっています。
これらの支出の他にも、小中学生が市長の表敬訪問に来た時の図書カードの贈呈、公職者や家族の香典の支出なども見直すよう求めました。

 総務部長が、「今後はあいさつだけで退席する場合には食事や土産は辞退する」「市長交際費は社会通念上妥当と認められる範囲内で、必要最小限の額を支出するものであり、市民感覚と乖離が生じないよう、適正に執行していく」と答弁しました。
今後の支出状況を厳しくチェックしていく必要があります。

 ※8月末の支出合計は昨年比4万円増の69万円!

市長交際費 毎月の支出額
2018年度 2017年度
4月 102,000 145,900
5月 173,000 145,500
6月 88,000 56,500
7月 192,000 195,700
8月 141,400 103,200
4〜8月合計 696,400 646,800
9月 57,500
10月 68,850
11月 88,500
12月 172,400
1月 311,850
2月 157,500
3月 94,200
1年間の合計 1,597,600

★し尿処理は久喜宮代センターと八甫センター、菖蒲地区は北本衛生組合の処理施設で行っているが、八甫のし尿処理施設を拡張して1か所に集約する計画で、8月に地元説明会が開かれた。★