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久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』518号
2016年 9月26日
『声と眼』
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【6月市議会】 マイナンバーカード申請は9%程度

 マイナンバー制度が昨年から始まりました。
11月以降、番号通知カードが全市民6万4724世帯に郵送されましたが、不在などのために多くが本人の手元に届かずに、3月末の時点で4468通の通知カードが市に戻ってきてしまっていました。
その後に市で改めて簡易書留で送るなどしてきましたが、8月末の時点でなお445通(全世帯の0.8%)が市に保管されています。
これは約600人の市民のもとに通知カードが届けられていないことになります。
この制度は、税と社会保障をすべて番号で管理するものですが、全国民に番号通知が届かないこと自体が制度の根本的な欠陥です。
一部は死亡や市外に転出した方がいたことがわかって、市で通知カードを廃棄しましたが、住民基本台帳で市民の所在を把握できていないのではマイナンバー制度も機能しません。

 希望者は市に申請して、個人番号カードを作ることができますが、3月末までの申請者は1万2288人で、その内3483人にマイナンバーカードが交付されました。
4月以降の申請者は1993人にとどまっていて、8月までの申請者合計は1万4281人、交付済みの人は1万1212人で、人口の1割にも達していないことがわかりました。
マイナンバーカードは住民票等のコンビニ交付などにも使えますが、実際には市民が住民票を取るのは年に1回あるかないかです。
それらの手続きは市役所や支所でもでき、市民カードも使えますから、結局、マイナンバーカードは身分証明書くらいにしか使えないということになります。
わざわざ個人番号漏出の危険のつきまとうマイナンバーカードを持つ必要はありません。

 マイナンバー制度のシステム整備などに、久喜市は2014、15年度の2年間で1億9101万円を支出(内、国補助金は9015万円)してきました。
国家レベルでは壮大な無駄遣いと言うしかありません。

通知カードを送付して
届いた件数と返送された件数
(2015年3月末まで)
送付件数(世帯数)   64,724件
 市に返送されずに届いた件数 60,256件 
 市に返送された件数 4,468件 

市に返送された通知カードの処理内訳
(2015年3月末まで)
市に返送された件数 4,468件 
その後に届けた件数 3,121件 
 市で保管している枚数
(件数)
1,146枚
(894件)
 死亡・手出による廃棄対象件数 453件 

市内に居住していないことがわかった世帯数と人数 14世帯(14人)

マイナンバーカード申請・交付件数
3月末までの申請件数   12,288件
4〜8月の申請件数 1,993件 
 申請件数の合計 14,281件 
 JLISから市にカードが来た件数 13,535件 
 8月までに市民に交付した件数 11,212件 

議員も個人番号の提出を求められたが…

 9月に、議員に対して「個人番号入力シート」が送られてきました。報酬支給手続き(源泉徴収票作成事務)のために各議員の個人番号を提出し、通知カードか個人番号カードで確認すると書かれています。
しかし報酬支給や課税の事務処理のために必要であれば、市のシステムで職権で調べることもできます。
わざわざ届け出る必要はないので、私はこの書類を提出しないことにしました。
なお、私はマイナンバーカードは申請していません。
通知カードも家から持ち出さないことにしています。


理科大からの寄付金1億円の使途は

 『声と眼』517号で、理科大からの寄付金1億円が「理科大の跡地利用のための校舎改修費ですべてなくなってしまう」と書きましたが、これは直接に校舎改修費にあてられるわけではありません。

 9月議会の質疑で、市は1億円の基金は市の図書購入費に充て、10年くらいで取り崩していく方針を明らかにしました。
市内の小中学校の図書室、市立図書館の図書購入、理科大跡地に開設する予定の子ども図書館の図書を購入する計画です。

 一方、理科大の校舎を無償譲渡してもらって、当初は若干の改修をすれば10月くらいから一部の施設を利用していけると見込んでいましたが、実際には大規模な改修をしなければ利用できないことがわかりました。
今後3年間くらいをかけて改修工事を行って、2020年から全面的な供用開始となります。
今後の管理費と来年度の1期工事の改修費だけで1億円以上、全体の改修には数億円はかかるだろうと推測されています。
とすると、「寄付金1億円」は維持管理費や1期工事の費用にも見合わない計算です。

 理科大は撤退に際して校舎解体費用もかけずにすんだことになります。
久喜市としては理科大から4割の敷地と校舎の無償譲渡、1億円の寄付金を受けましたが、校舎の改修費に寄付金額を大幅に超える費用がかかってしまうことになりました。

★理科大跡地の6割部分に、延べ床面積14万uの巨大物流施設建設計画が報道されている。
市では開発規制を協議している段階だが、補正予算に物流センターの進入道路用地買収費が計上された。
生活環境はどうなる?★


猪股市議の一般質問 1
9月12日の本会議で、5項目の一般質問を行いました。


【一般質問】 「とねっと」の登録、参加拡大を求める

「とねっと」は久喜市や加須市など7市2町で構成している“地域医療連携ネットワーク"です。
かかりつけ医と病院間で、持病や投薬、検診結果などの患者の医療情報を共有して診察や治療に活用しようというものです。
「とねっと」に登録すると「かかりつけ医カード」が交付され、緊急時などには救急車のタブレットから患者の医療情報にアクセスして、初期治療に役立てることができることになります。

 2012年からスタートしましたが、9市町全体の登録者は今年5月までで住民の4.3%(3万人弱)にとどまっています。
久喜市民の登録者はさらに低い3.1%(4715人)にすぎません。
圏域内で登録率が高いのは、加須市が人口の10.9%(1万2259人)、杉戸町7.1%(3247人%)などとなっています。
地域医療の連携や特に救急医療に対応していくためにも、久喜市でも「とねっと」の登録者を拡大していくことが求められています。
市では登録者が少ないことを認めながら、パンフレットの配布や制度のPRにとどまってそれ以上の有効な対策を持っていません。

 一方、医療機関の「とねっと」への参加は、加須市では市内の医療機関の中で76.1%にまで達していますが、久喜市内では26.7%(75医療機関の中の20)が参加しているにすぎません。
市民がかかっている医療機関の参加が少なければ、病院とかかりつけ医の間で医療情報を共有するといっても実際にはできません。
市民(患者)の登録拡大のためには医療機関の参加を増やすことが大前提ですが、久喜では医療機関の参加もまったく増えていません。
 現在、9市町全体では106の医療機関が参加していて、システムに参加するための初期費用や通信費などのほとんどの経費を「とねっと」事務局で負担しています。
今後、医療機関の参加を増やすためにはそれらの財源を保障しなければなりません。
当局は、2年後に「とねっと」のシステム更新が必要になるので、それに合わせて医療機関の参加を200を目標に取り組んでいく計画であることを明らかにしました。

 「とねっと」に登録すると、自分の医療情報ページが開かれて、インターネットで閲覧・確認することができますが、ログインとアクセスがきわめてわかりにくいので、改善するように求めました。

★市長や部長たちの多くも「とねっと」に登録しているが、自分の医療情報のページにはだれもアクセスしたことはないらしい。
市民に登録を勧めるなら、まず自分で使ってみるべきだろう。★


【一般質問】 ビオトープ管理の改善、管理指針を

 久喜市は、古久喜公園(北2丁目)、香取公園(久喜本)、沼井公園(桜田)を「多様な生態系」を実現するビオトープに指定していますが、必ずしも適切な管理ができているとは言えません。
古久喜公園は草木や樹木の繁茂、野鳥の営巣などで周辺住民からの苦情が大きくなってほとんどの樹木を伐採してしまいました。
沼井公園のビオトープでは、池の中に外来種のミドリガメが繁殖してしまっています。
植物をただ繁茂するにまかせておいたり、外来生物の繁殖を放置しておくのではなく、多様な生態系を生かしたビオトープとしての管理計画を策定していくべきです。
特に住宅地のまん中にある古久喜公園は、今後も全体をビオトープとして位置づけるのか、公園の一部を指定していくのか、近隣住民の理解も得ながら管理方針を立てていくよう求めました。

 学校ビオトープは、子どもたちが多様な生態系を学ぶことを目的に、久喜地区の全小学校と菖蒲、鷲宮地区を合わせて12校に設置されています。
地域住民の協力も得て良好に管理されている学校もありますが、一方ではセイタカアワダチソウやアメリカザリガニなどの外来生物が入り込んでしまっている学校もあります。
担当していた先生が異動したり保護者の協力体制が変わったりしても、適切な維持管理をしていけるように、学校ビオトープ管理指針(マニュアル)を作っていくように提言しました。

【一般質問】 資源ごみ民間回収への移行をどう進めるか

  久喜宮代衛生組合は2023年に解散して、久喜市・宮代町のそれぞれ独立のごみ処理行政に移行する計画です。
現在、衛生組合では、紙・布類の資源ごみの公共回収をやめて、全面的に民間回収に変更する方向で検討していて、2年後からモデル地区での実証実験を行っていく方向です。
この実証実験の経過も久喜市単独のごみ処理行政に引き継いで、市で実施することになります。
現在は衛生組合のごみ減量推進審議会で協議していますが、その審議経過を踏まえて密接な連携を取っていくよう求めました。




久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』517号
2016年 9月12日
『声と眼』
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【9月市議会】 臨時職員の賃金をすこ〜し引き上げ

 埼玉県の最低賃金が10月から改定されて、時給820円から845円に引き上げられることになりました。
現在の久喜市の臨時職員の賃金額は一般事務職員の時給840円で県の最低賃金を下回ってしまうため、市の「臨時的職員取扱要綱」を改正し、わずかながら賃金額の引き上げが決定されました。
臨時職員の賃金は昨年4月に約20年ぶりに改定されたのですが、1年半を経過して再度引き上げられます。

臨時職員の職種 現行額(円) 2016年10月〜 (円)
時給 日給 時給 引上額 日給換算
一般事務 840 6580 870 30 6742.5
学校給食調理員・プール監視員
・司書・学芸員・自動車運転手
920 7160 950 30 7362.5
保育士・幼稚園教諭・栄養士 920 7160 1000 80 7750
ホームヘルパー 970 7550 1000 30 7750
看護師 1150 8950 1180 30 9145
保健師・助産師・主任介護支援専門員
・社会福祉士
1350 10500 1450 100 11237.5
※ 一般事務 940 980 40
※ 学校給食調理員・プール監視員
・司書・学芸員・自動車運転手
1030 1070 40
※ 保育士・幼稚園教諭・栄養士 1030 1130 100
※ ホームヘルパー 1030 1130 100

※ パートタイマーで、定められた勤務時間が8:30〜17:15以外の時間帯に及ぶ者に支給する金額(全勤務時間適用)


 今回の引き上げでも一般事務職は最低賃金すれすれです。
また保育園の待機児童解消のためには、正規・臨時を問わず保育士の増員が不可欠ですが、現在の臨時職員の賃金額ではほとんど応募がありません。
今回、時給80円程度の増額で応募が増えるのかどうか疑問です。
もっと大幅に引き上げなければ…。
 市は「臨時職員は“臨時的・補助的な仕事(だから正職員との賃金格差があっていい)”としているのですが、ほとんどの職場では正規職員と同じ仕事をしているのが実態です。
「同一労働同一賃金」の原則からすれば、特に保育士などの専門職は正規職員の給与水準にもっと近づけるべきです。


学校給食費、来年4月から値上げへ

 7月28日に学校給食審議会で給食費保護者負担分引き上げの答申が出されました。
来年から小学校月額4150円に、中学校は4960円に値上げされます。
[自]自校調理方式 [セ]センター方式
給食費を最近改定した市の保護者負担
小学校 中学校 
入間市 4400 1 5100 3
川越市 4350 2 5250 1
上尾市 4300 3 5200 2
草加市 4300 3 5100 3
幸手市 4300 3 4900 8
白岡市 4300 3 4900 8
所沢市 4210 7 4930 6
蓮田市 4200 8 4880 13
朝霞市 4200 8 4800 18
八潮市 4180 10 4920 7
久喜市/改定 4150 11 4960 5
鶴ヶ島市 4150 11 4800 18
深谷市 4100 13 4900 8
吉川市 4100 13 4900 8
行田市 4100 13 4850 14
ふじみ野市 4100 13 4850 14
本庄市 4100 13 4830 17
東松山市 4100 13 4800 18
さいたま市 4100 13 4800 18
富士見市 4100 13 4800 18
志木市 4100 13 4700 23
坂戸市 4000 22 4900 8
越谷市 4000 22 4850 14
和光市 4000 22 4600 24
川口市 3895 25 4565 26
久喜市/現在 3880 4600  
熊谷市 3800 26 4600 24
蕨市 3780 27 4536 27

 久喜市の学校給食は調理方式は各地区で異なっています。
給食費だけは2012年に統一されましたが、5年目で値上げとなりました。
給食費は食材料費は保護者負担、調理費などの人件費は公費負担が原則です。
最近、牛乳や主食などの食材料費の値上がりが続いているため、今年度は副食の材料費を減らしたり、赤字分は市が負担していました。

【小学校】 現行給食費の積算(円) 
牛乳 主食 副食 1食単価 年額 月額 徴収額
46.05 46.38 138.54 230.97 42729.45 3884.50 3880
給食費引き上げの積算 月額270円の値上げ
牛乳 主食 副食 1食単価 年額 月額 徴収額
53.28 49.97 139.14  243 45684  4153 4150
【中学校】 現行給食費の積算(円)
牛乳 主食 副食 1食単価 年額 月額 徴収額
46.05 61.00 171.27 278.32 50654.24 4604.93 4600
給食費引き上げの積算 月額360円の値上げ
牛乳 主食 副食 1食単価 年額 月額 徴収額
53.28 66.32 175.36  295 54575  4961 4960

[年間給食回数は小学校188回、中学校185回。徴収月額は11か月(年11回)で算定しています。]

★久喜市の給食は、栗橋小・栗橋西小が自校調理方式、他は各給食センター調理です。
市は4年後に理科大跡地に1万2000食の大規模給食センターを建設して統合する方針を発表しました。★

議会定数削減の協議がスタート

 6月議会に、市民団体から議員定数削減の陳情が提出され、会派代表者会議で協議を進めることになっています。
8月18日の代表者会議で各会派の話し合いの経過が報告されました。

【新政・代表/井上】
 新政久喜は15人いるので15通りの考えがある。まとめるには時間がかかる。話し合いは始めている。

【公明党・代表/岡崎】
 合併時の34名から2年前に1割4名を削減した。
34から30に削減したことも考慮に入れながら今後の定数削減を考えるべきだ。

【共産党・代表/杉野】
 報酬引き上げの際に財政規模を考慮するべきという付帯意見があったが反対だ。
すでに議員定数は削減してきており、合併前の市町議会の議員定数からは半減になっている。
議会と議員の信頼をどう回復するかを議論していけば、適正な規模はおのずから出てくるのではないか。

【市民の政治を進める会・代表/猪股】
 会派の中では定数に対する基本的な意見の違いもあり、会派の見解としてはまとめていない。
積極的に削減すべきという意見がある一方で、消極的な意見もある。現数の「27人」程度が基準になるのではないか。

 1回目の各会派代表者会議での発言から明らかになったことは、現段階では、公明党と共産党が定数削減に反対ないしは消極的、新政はこれから実質的な話し合いを進めるという状況です。
これまでの話し合いで、次回(2018年)の市議選の1年くらい前までには結論を出すことで一致しており、今後、代表者会議で時間をかけて協議していく予定です。

 私の所属する市民の政治を進める会では、次のような意見を出し合いました。
【猪股】
『議員定数が少なくても議会機能は果たすことはできる。
県内同規模市の中で現在の久喜の30名はいちばん多い。
同規模市平均は26なので、「26」か「25」まで引き下げるべきではないか』

【川辺議員】
『基本的には市民の意見を代弁する議員の削減には反対だが、現状維持では市民の理解を得ることはできないだろう。
久喜市議会は現在の27名で議会としての機能を果たしているので、削減する際には現数の「27」が基本になるのではないか』

【田中議員】
『菖蒲地区など周辺部の議員が少なくなっており、基本的にはこれ以上減らすべきではないと考えるが、それでは市民の理解が得られない。
ある程度の削減はやむを得ないと思う』

★議員数が多ければ議会が活性化するわけでもない。地域や団体の利益代表にとどまらず、議員が政策立案能力をもって議会内の議論を活発化させることこそが重要であって、議員の数には関係ない。★

理科大寄付金を「教育振興基金」に積立て

 東京理科大は跡地の6割をすでに物流企業に売却し、流通センターの建設を進める計画です。
市がこの開発を容認するのと引き替えに、理科大は残りの4割部分を久喜市に無償譲渡するとともに、1億円を寄付しました。
市はこの1億円を「東京理科大学教育振興基金」に積み立てることにしています。

 しかし低金利時代でほとんど収益は期待できませんから、基金自体を取り崩して使うことになります。
今年度の理科大跡地管理費は3461万円、9月議会の補正予算に理科大校舎改修の設計費592万円、来年度予算の改修工事費は9000万円と見積もっています。
2期工事、3期工事の費用はまだ算定されていませんが、これらの改修工事で1億円の基金はすべてなくなってしまうと見られています。

ふるさと納税寄付金の収支は“赤字”

 2015年度の久喜市のふるさと納税寄付金は1年間で656人670万円でした。
市は一昨年からふるさと納税の返礼品を一新して目標額を1000万円としていたのですが、結果は残念ながらきわめて低調でした。
しかも企画や寄付の受け付けなどいっさいをコンサルタントに委託した事務費や返礼品の費用などを差し引くと、久喜市に入るお金は250万円足らずです。

 ふるさと納税は所得税や住民税の控除対象になります。久喜市民が市外に寄付したことによる15年度分の市民税控除額は1160万にのぼっています。
久喜市への寄付額と市民税の控除額の差し引きでは900万円程度の赤字だったことになります。

 隣接自治体のふるさと納税寄付金は、宮代町が1億1766万円、白岡市6363万円、幸手市3052万円、加須市1281万円、蓮田市914万円に達しています。
同じように返礼品も用意し、ホームページでのPRもしているのになぜこんなに違うのでしょうか。
他市町はふるさと納税を「わがまちへの応援団」と位置づけて、特色あるまちづくりのPRに力を入れています。
久喜市は“返礼品と引き替えの寄付”という印象が強く、他市と同じような返礼品では寄付も伸びないということではないでしょうか。