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11月市議会の議員提出議案
11月定例市議会には、11件の議員提出議案が提案され、その内の10議案が可決されました。「TPP反対の意見書」は継続審査となりました。
市が締結する契約は議会の議決を得るのが原則ですが、地方自治法180条で「議会の権限に属する軽易な事項」で議会があらかじめ認めたものについては、市長が専決で処分してもよいことになっています。
各会派で協議した結果、11月市議会に「市長の専決事項の指定について」の議案を全会派の共同提案で提出し可決されました。
市長の専決処分を認める範囲は、
(1)工事請負契約で当初の契約金額の3%以内、あるいは300万円以内で変更する場合、
(2)市が50万円以下の損害賠償を支払う契約の締結とし、それ以上の金額については議会の議決を得なければなりません。
これは合併前の旧久喜市議会と同じ規程です。
以前は「工事請負契約は5%以内、または500万円以内、損害賠償は100万円以内」でしたが、議会活性化で監視機能を強化するために、2008年に市長の専決事項の範囲を狭める決定をしました。
地方議会の権能強化を進める意見書
地方自治は“二元代表制”と言われながら、実際には議会の権限が弱いため、阿久根市などでは議会を無視した市政運営がまかり通っています。
議会の機能を発揮させるために国会と政府に対して次の地方自治法の改正を求める意見書です。
▼議会の招集権を議長に付与すること
▼専決処分が不承認となった場合に、関係する未執行の予算を執行停止とする
政策会議の提案で石川議員が説明に立ち、全会一致で可決されました。
「警察署の管轄変更」の意見書は時期尚早だ
飛翔が「久喜市の警察行政の一元化を求める意見書」を提案。
政策会議と無会派の田村議員が反対しましたが、賛成多数で可決されました。
久喜・菖蒲・鷲宮地区の管轄はもともと久喜警察署ですが、栗橋地区は合併前から幸手警察署の管轄になっています。
意見書は、管轄が分かれていると「警察署関連事業が煩雑」であり、市の行政区域と一致が望ましいので、栗橋地区の管轄を久喜警察署に変更してほしいというものです。
しかし防犯対策や交通安全対策などはどちらかの警察署と協議すればよく、管轄が分かれていても市民生活にとっての不都合はありません。
栗橋地区のほとんどは幸手警察署の方が近いため、久喜警察に変更されては困るという意見もあります。
県内には他にも警察の管轄が分かれる市も多く、合併のたびに警察の管轄を変更するというのも非効率です。
基本的には栗橋地区の住民の意見を尊重すべきであり、一部の議員の判断だけで管轄変更を進めるのは時期尚早ではないでしょうか。
TPP参加反対の意見書は継続審査
共産党が「TPP交渉への参加方針撤回を求める意見書」を提案しましたが、最終日に“継続審査”となりました。
2月定例会までの間に環境建設水道常任委員会で、採択にすべきか不採択にすべきかを検討することになります。
飛翔の岸議員が、『TPP問題は大切なので、農業政策や産業政策についての議論を深める必要がある』として継続審議にする動議を提案したのですが、実情は飛翔の中の意見がまとまらなくて、苦しまぎれに先送りしたということのようです。
しかし委員会で簡単に結論が出せる問題とも思われません。
会派の中で賛成・反対に分かれてしまったから、結論を棚上げにして議会の採決も先送りというのは無責任です。
★継続審査となった「TPP交渉反対の意見書」、審査を担当する環境建設水道委員会では、これから勉強会で検討するらしいが、2月議会までに結論が出せるのだろうか。★
3
昨年の決算委員会で、久喜市立図書館の活動が県内最低ランクであることを指摘しました。
21年度の公立図書館活動調査によると、久喜市立図書館の市民1人あたり年間貸し出し冊数は「3.6冊」(合併した1市4町の合算)で、県内40市の下から2番目という低さでした。
県内平均は5.8冊、市の最高は鶴ヶ島市の11.8冊でした。
その原因の一つは図書購入費予算の低さです。
人口1人あたりの県内平均156円に対し、久喜市はわずか56円で、40市中最下位でした。
旧1市4町の図書購入費の合計は859万円で、以前は旧久喜市だけでも1600万円を計上していたのに、2004年から半減されました。
読みたい本をリクエストしてもなかなか購入しないで、他市の図書館から借りるため、忘れた頃にやっと回ってくるというのでは、図書館に期待できなくなってしまいます。
また図書館職員は新久喜市全部で19人ですが、その中で「司書」が6人しか配置されていません。他市の図書館では少なくとも2分の1〜4分の3の司書が配置されています。
久喜市では司書の資格を持った職員でも機械的に異動させてしまい、図書館活動の充実のための職員配置は考慮されていませんでした。
図書館は本を貸し出すだけでなく、あらゆる図書資料の相談に応じるレファレンスサービスの役割が重要なのですが、司書が少ないので相談したくてもできない、調べ物を頼んでもすぐには対応してもらえないのでは、図書館の役割が果たせません。
一般質問でこうした状況をどのように改善していくのかを質問しました。
教育部長は、
(1)図書館サービス基本計画と子ども読書活動推進計画の策定を進める、
(2)レファレンスやリクエストに応える図書館サービスの充実を進める、
(3)図書館ホームページの充実、専門職員の確保と職員の資質向上に努める、
そのために図書購入費予算の確保、司書有資格者職員の確保と職員の研修の充実を進めると答弁しました。
現在、新年度予算編成が進んでいますが、市立図書館の「図書購入費」の予算要求額は1600万円、市民1人あたり100円です。
これまでの低さを反省すれば当然満額を予算化すべきです。
市長も「図書購入費を増額していく」考えを明らかにしましたが、しかしこれでも県内平均1人あたりの図書購入費156円の3分の2程度に過ぎません。
さらに大幅に拡充していくべきです。
総合支所の空きスペースを、市民活動支援に活かすべき
鷲宮や菖蒲の総合支所は、1・2階の事務室と一部が市の会議などで使用される以外は、実質的にはほとんど“空きスペース”になっています。
当然、市民のために有効活用をはかっていくべきで、市民活動の場として利用を検討するよう求めました。
久喜地区ではふれあいセンターに市民活動支援室が設置され、福祉団体やボランティア、女性団体などのロッカーが置かれ、日常的な活動に自由に使えるスペースがありますが、他の地区にはありません。
鷲宮や菖蒲総合支所にも“市民活動支援スペース”を設置するよう求めました。
また鷲宮総合支所のとなりに市立の障害者作業所がありますが、たいへん老朽化しているので、鷲宮支所の中に移転するよう提案しました。
市は、「これから市の組織や事務を整理して、本庁舎と総合支所に必要な執務スペースを確保した上で、なお総合支所に空きスペースが生じた場合には、有効活用の方法を検討する組織を作って調査研究していく」「庁舎の管理上の問題もある」などと答弁しました。
だれが考えても、総合支所に空きスペースがあることはわかり切っているのに、これから組織を作って調査研究してみるというのは、市民に使わせたくないか、単に問題を先送りしているだけに過ぎません。
空きスペースを市民活動のために活用するのはあたりまえです。
早急に検討を進めるべきではないでしょうか。
市は今後、市民活動団体との話し合いを行い、意見を聞いていく考えを表明しました。
なお、菖蒲総合支所については4階をコミニティセンターとして活用していく方針で、新年度に整備工事を行う予定です。
学童保育の公設・保護者の運営参加
市内の学童保育はすべて市の施設で実施していますが、運営方式はさまざまです。
鷲宮と菖蒲の7か所は直営、1か所が保護者組織への指定管理、久喜の9か所は保護者や市民で作る運営協議会への委託、栗橋の4か所は保護者組織、個人、私立保育園への委託です。
私は9月議会で運営方式の統一を進めるよう求め、市では新年度から学童保育運営協議会や保護者組織への指定管理に移行する方針を打ち出しました。
そして11月議会に学童保育条例の改正が提案され、可決されました。
▲これまで久喜と栗橋地区の学童保育は条例に規定されていませんでしたが、明確に位置付けられました。
▲菖蒲と鷲宮の7か所は市の直営でしたが、今後は運営協議会などに管理が移行されることにより、保護者の運営参加が進められることになります。
▲指導員は“非常勤特別職”という名目の臨時職員でしたが、待遇改善や常勤への採用も可能になります。
▲久喜や栗橋の運営委託は毎年更新する形でしたが、5年間の指定なので経営が長期的に安定できます。
また保護者の自主運営に近かった学童保育にとっては財政的にも安定します。
▲事業者から事業計画や財政計画を提出させて議会でも審議することで、事業の透明性が高まります。
指定管理者制度は市が運営費を負担して、施設管理と運営の事業全体を委任する制度です。
旧来の委託とは違って、事業者の自主的な事業計画に基づいて幅広い裁量を発揮しての運営が可能になります。
11月定例市議会の全議案と各会派の賛否 |
稲の高温障害で農家を支援
猛暑による高温障害で、埼玉県農業のコシヒカリに次ぐ主力品種である「彩のかがやき」に白未熟粒が大量に出て品質が低下し、多くが「規格外」になってしまいました。
このままでは販路が絶たれて農家の収入が大幅減となるため、埼玉県や久喜市を含む各市町村が農家の支援対策を講じています。
具体的には、
◆埼玉県農業災害対策特別措置条例に基づいて特別災害に指定し、農家に補助金を支出(久喜市内で1990万円)、
◆県内のJA、スーパー、小売店などと協力して特別販売を実施、
◆市の職員や教職員に呼びかけて「彩のかがやき」の特別販売を実施(久喜市内で2205s)、
◆学校給食の米飯給食への購入、今年10月まで全量を規格外の「彩のかがやき」を使用する(久喜市内の出荷総量の13%、102トン)、市立保育園の給食にも使用するなどです。
11月市議会に共産党が「『彩のかがやき等』品質不良に対する農家支援を求める意見書」を埼玉県知事あてに提出するよう提案しました。
しかし“すでに県は対策を講じている”という反論が出て、最終日に急遽、あて先が農林水産大臣に変更されました。
県と国では役割が違うので、内容も書き換えなければおかしいのですが、そのまま賛成多数で可決されました。
実際には県も国も取るべき対策は取っているので、すでに実施済みの対策を形だけ要求してみせるやり方は、『我が党がやった』と宣伝するためのパフォーマンスではないかという批判を免れません
★『農家支援』に反対する人がいるわけはないが、すでに実施済みのものを意見書で出すのはスジが通らない。政策会議の新井・猪股、無会派の田村の3人が、この意見書に反対した。★
2
学校給食の改善をできるところから
市内の学校給食は、栗橋の小学校では直営自校調理、鷲宮や菖蒲は市直営小規模センター、久喜地区と栗橋の中学校は全面委託センターと、調理方式も運営も大きく異なります。
市では今後、給食のあり方について時間をかけて検討を進めることになっていますが、できることから改善していくよう、具体的に提案しました。
強化磁器製の食器への改善
菖蒲・栗橋・鷲宮ではプラスチック製の食器を使っていますが、早期に久喜地区と同じ強化磁器製に変更すべきです。
教育委員会は給食審議会に食器改善を諮問していく方針を明らかにしました。
鷲宮給食センターの活用
新年度に栗橋南小学校の校舎と調理室を改築する計画です。当然、自校調理方式を継続すべきですが、改築工事中の調理をどうするかは決まっていません。
一方、直営の鷲宮給食センターは老朽化しているものの調理能力には余裕があるので、工事中の給食を鷲宮センターで調理するよう提案しました。
さらに、栗橋地区の2校の中学校では行田産業給食センターに委託していますが、これも鷲宮センターに移行させるよう求めました。
久喜の給食調理時間の繰り下げ
久喜の給食センターの調理は10時ごろには終了しています。
一方、鷲宮センターの調理終了時間は11時半ごろ、栗橋の自校調理では12時ごろです。
久喜の調理時間をできるだけ繰り下げて温かい給食の提供をするよう求めました。
教育委員会でもセンターに要請していくと答弁しました。
給食の地産地消を進めるべき
市として給食食材の地産地消を取り入れていますが、これまでのところ、久喜地区では“減農薬の特別栽培野菜”に限定しており、他の3地区でも地元産野菜の使用量はまだ少ないのが実情です。
農産物の使用を特別栽培以外にも拡大し、まず各地区産、久喜産、その次に県内産という優先順位で積極的に拡大していくよう求めました。
エイム不正事件、現状と市の見解は?
エイムによる障害者自立支援費の詐取事件については、荒井代表を刑事告訴した後の捜査状況もわからず、損害金の回収の見通しも立っていません。
税金がだまし取られたのに、これではあまりにも無責任です。
現在の状況について市民に報告すべきだと提案しましたが、市では『進展があれば知らせていく』という答弁に終始しました。
進展がまったくない現状と、それに対する市の見解をこそ、市民に明らかにするべきです。
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