いのまた和雄トップページへ 『声と眼』のページへ テーマ別目次へ 市民活動のページへ メッセージのページ

久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』349号
2008年 1月 21日
『声と眼』
バックナンバー

市民意向調査で、議会審議は省略

 20歳以上の市民56000人を対象に「合併に関する市民意向調査」が行われています。本当は、久喜市・菖蒲町・鷲宮町・栗橋町の1市3町の枠組みを決める前に、意見を聞くべきだったと思います。

 調査票やハガキの印刷代・郵送料等約800万円の経費がかかり、補正予算を組まなければならないのですが、市は予備費を流用してまかなう方針です。臨時議会で補正予算審議を通じて、「市民意向調査」の啓発や実施方法、市民の声を正確に反映させ、公平性、公正性の確保についてきちんと審議する必要があったと思いますが、そうした議論は省略されてしまいました。
合併という大問題の出発点で市民の意見を聞くのに、市長はもっと慎重であるべきではないでしょうか。

 鷲宮では1月に臨時議会を開いて補正予算を審議しており、久喜でもできたはずですが、田中市長は、議会での審議を避け、“市長の判断だけで実施してしまいたい”というのが本音のようです。

回答ハガキの選択肢に疑問あり

 市民意向調査(アンケート)の「意向調査実施のお願い」と返信用のハガキが郵送されました。

 回答欄は『1.合併を進めるべきである 2.合併を進めるべきでない 3.どちらでもよい』の三択となっていますが、『進めるべきである』『べきでない』というのは強硬な推進派、逆に絶対反対という強いイメージです。
選択肢としては普通は「賛成・反対」でよかったのではないでしょうか。

 第3の選択肢は『どちらでもよい』ですが、これに ○ を付けたら、「反対」ではない⇒“賛成票”に算入してしまうつもりでしょうか。

 普通のアンケートでは「その他」という項目があります。今は合併そのものではなく、「合併協議に入る」ことの是非を問う段階なのですから、条件付き賛成とか、今の段階では判断できない、わからないという人もいるはずです。そうした多様な意見を吸い上げる努力をすべきです。

「新市も久喜市」は市長の公約か

 回答欄のすぐ下に、【合併協議に臨む久喜市の基本姿勢】として、「新市の名称は久喜市」「本庁舎の位置は久喜市」と明記されています。

 田中市長は合併に賛成してほしいために、市民にこの2つだけを約束したわけですが、それでは不十分です。
@合併時に公共料金や市民サービスの統一、
A久喜市の基本政策の継続、
B合併と同時に議員定数を減らして選挙を実施、
C合併協議の最終段階で住民投票の実施も公約すべきです。

 心配なこと−同時に住民アンケートを行っている菖蒲町や鷲宮町の住民は、合併後の新市の「名前は久喜市」というのを知っているのでしょうか。

回答ハガキにどう記入したらいいか

 私は“どうしても合併が必要だ”とは考えません。
現在の久喜の市民サービスより悪くなる危険性があれば当然「反対」ですが、市民サービスを維持し向上していく可能性があれば反対ではありません。
しかし議会でもまだ合併後の基本的な政策についての議論は行われていませんから、現在の段階では、「合併すべきである」「すべきでない」のいずれにも ○ を付けるわけにはいきません。

 かといって「どちらでもよい」というような無責任な立場を取るわけにもいきません。さて…。

★私は、回答ハガキに適正な選択肢がないので、どうしたらいいか考えている。@全部の選択肢に × を付けて出す、A自分で「4.その他」を作って記入する、B出さない。★


11月定例市議会   いのまた和雄の一般質問

市役所に障害者就労の場を

 久喜市役所の障害者雇用は、職員数460人に対して6人、雇用率1.36%(法定換算2.27%)です。2年前には2.9%まで達していたのですが退職などにより一時は1%台まで低下、現在は法律で義務付けられている障害者雇用率2.1%をやっとクリアしているのが現実。また県内市町村の平均障害者雇用率2.22%ギリギリです。
久喜市役所はこれまで障害者雇用率の目標を3%とし、障害者別枠採用制度も導入していますが、実際には2000年に実施後、06年に1人採用しただけでした。

 特に一般就労の移行を進める自立支援法が施行されたこともあって、全国的に公務員への障害者の採用が進んできています。
各地の教育委員会への障害者雇用の促進、都府県での知的障害者や精神障害者の嘱託や臨時職員、実習の受け入れなどが取り組まれています。
(インターネットで調べたら、滋賀県内ではほとんどの市が、08年度までに知的障害者を正規職員や臨時職員として採用する計画だそうです。)

 市は行政として、障害者の社会参加を支援し、民間企業などに障害者を採用するよう働きかけて障害者の就労を支援する立場ですが、みずからも市の職員への障害者の採用を進めるべきです。
またこれまでは、久喜市の障害者雇用は身体障害者だけに限ってきましたが、知的障害者や精神障害者の雇用にも広げていくよう求めました。

 答弁で、市は08年度にも障害者の別枠採用試験を実施する計画であることを明らかにしましたが、知的障害者や精神障害者の雇用については「課題」であり、「研究していく」と答えるにとどまっています。
障害者の雇用を進めるために、職種の検討や、職員が職場で障害者にどのように接するかといった意識改革も課題になっています。

 なお今後、養護学校生徒を市役所で実習生として受け入れていくことについては、具体的な受け入れ方策について久喜養護学校と協議していく方針を明らかにしました。
また精神障害者についても一般就労に向けた職場体験、就労トレーニングの受け入れに向けて検討し、就労支援センターなどと・調整していくと答弁しました。
精神障害者を臨時職員に登録してもらうことについては、勤務条件や職場環境の整備を進め、登録受け入れを促進していく考えです。

障害者の権利に対して認識不足

 10月20日に実施された市立図書館20周年記念式典・講演会で、手話通訳者を演壇の下の離れたところで通訳させ、障害者差別行為を行ったことについて、経過と今後の対応をただしました。

 通常、講演会などで手話通訳者はあいさつや講師など話者のそばに立って通訳します。
聴覚障害者は話者の表情や話し方と手話通訳を同時に見ることで話の内容をとらえることができるからです。ところが今回依頼した記念講演の講師は、事前の図書館事務局との打合せで、『手話通訳者がいると気が散る、めざわりだから講師から見えない所でやるように』と言ってきたのだそうです。

 これはこの講師が聴覚障害者のことや手話通訳者の役割をまったく理解していなかったわけで、本当なら事務局が講師に対して、手話通訳についてきちんと説明して理解を求めるべきだったのではないでしょうか。
講師の方が偉くて何でも言うことを聞くというのは間違っています。

 また当日は、式典開始前に手話通訳者の立つ位置について打合せをすることになっていたにもかかわらず、それもしないで式典を開始してしまいました。演壇上に来賓などが並んでいたので、その前に立つと失礼になると判断して、手話通訳者を演壇の下の窓際に立たせました。
事務局の職員も、手話通訳者は話者のそばに立つという基本を知らないで、来賓の方を大事に考えて手話通訳をないがしろにしたと言わざるをえません。

 教育委員会は聴覚障害者と手話通訳に対して配慮が不十分だったことを反省し、今後は「手話通訳者を配置する場合の留意事項」に基づいて事前の打ち合わせも行っていくと表明しました。

 なお、こうした経緯について、聴覚障害者団体や当事者に対して謝罪することと、『広報くき』に経過を明らかにしていくよう求めました。 

★安来市でも10月に有名な落語家が「手話通訳がめざわりだから見えないところでやってくれ」と言って新聞にも大きく報道された。手話通訳に対する無理解はまだまだ多い。★


久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』348号
2008年 1月 7日
『声と眼』
バックナンバー

議会の監視機能の充実で合意

 市議会活性化対策特別委員会で議会改革の議論が始まりました。
各会派の提案事項は、大地33項目、新政議員団10項目、共産党15項目、公明・改進・無会派の3グループ統一18項目で、同一内容の提案を整理すると62項目となっています。

 12月18日の委員会は「監視機能の充実のために」をテーマに協議が行われました。
◆2月議会の補正予算案、◆工事請負契約の議案、◆市道路線の認定・廃止の議案は、これまで本会議だけで審議していましたが、他の議案と同様にもっと深く掘り下げて検討するため、今後は委員会へ付託して審査を行うことで合意、決定しました。さっそく2月議会から実施に移します。

 また、◆定例会が開会されて途中で人事案件などの追加議案が提出されることがありますが、日程が取れなくて委員会審査を省略したり、議会側の議案調査や検討が十分にできない場合もあります。今後、追加議案はできるだけ行わないよう市長に申し入れることで合意しました。

 他に、▲議会の議決対象事件を、行政の基本的な計画などにも拡大する、▲工事請負契約の変更などで議会に諮るべき対象範囲をもっと拡大する、▲人事案件についても質疑を認める、などの項目は継続審査となりました。

 今後さらに、「政策立案機能の充実」「議会の公正化」「開かれた議会」「円滑で効率的な議会運営」などについて協議を進めます。


2007年11月定例市議会・全議案と各会派の賛否
大地
(5名)
新政議員団
(7名)
公明党
(3名)
共産党
(2名)
改進
(2名)
無会派
(3名)
可決 9月議会からの
継続審査
2006年度一般会計決算 ×
可決 2006年度国民健康保険会計決算 ×
可決 2006年度下水道会計決算 ×
可決 2006年度老人保健会計決算 ×
可決 2006年度集落排水事業会計決算 ×
可決 2006年度介護保険会計決算 ×
可決 2006年度水道事業会計決算 ×
可決 一般会計補正予算
可決 下水道会計補正予算
可決 農業集落排水事業会計補正予算
可決 介護保険特別会計補正予算
可決 水道事業会計補正予算
可決 市長選挙の選挙ビラを公費負担とする条例改正
可決 職員の育児休業制度の対象の拡大、充実する条例改正
可決 市民活動推進基金条例
可決 食育推進会議設置条例
可決 一般会計補正予算(職員給与、議員期末手当引き上げ分) ×
可決 国民健康保険会計補正予算(職員給与引き上げ分)
可決 下水道会計補正予算(職員給与引き上げ分)
可決 老人保健会計補正予算(職員給与引き上げ分)
可決 農業集落排水事業会計補正予算(職員給与引き上げ分)
可決 介護保険特別会計補正予算(職員給与引き上げ分)
可決 水道事業会計補正予算(職員給与引き上げ分)
可決 議員の期末勤勉手当を0.05か月分引き上げ ×
可決 職員の給与条例の改正
可決 人権擁護委員の推薦(榎本恭子氏)
議員提出議案・政府への意見書
可決 民法772条の運用の見直しを求める意見書
可決 取り調べの可視化の実現を求める意見書
可決 「非核日本宣言」を求める意見書 × ×
○賛成     × 反対     ◎提案した会派(議員)   

市民の常識、市議会の“良識”

 共産党が提出した「非核日本宣言」を求める意見書は『日本政府が核兵器の廃絶、非核三原則を改めて宣言し、非核日本宣言を求める』というもので、大地、新政議員団、改進の15人が賛成して可決しました。これは議会の良識を示したと言えるでしょう。−公明党と無会派の松村氏ら6人は反対。角田氏はわざわざ反対討論に立ち『すでに日本は非核三原則を決議しているから、改めて宣言する必要はない』と変な理屈…。

★「非核日本宣言」を求める意見書に、鈴木松蔵氏が反対討論で『外国の核兵器攻撃から日本を守るためには非核三原則を考え直すべき』と、日本核武装論を展開した。★


11月定例市議会   いのまた和雄の一般質問

防災無線の運用の改善を

 防災無線を「騒音」と感じる人もいるので、運用の改善をはかるよう求めました。
たとえば夕方の定時放送の「ふるさと」を短い曲に変更するか1小節だけにする、行方不明者の捜索依頼の放送などの繰り返しをやめる(1つのスピーカーから1回だけの放送にしても、ずらしながら流しているので隣接区域の放送が聞こえる)など、可能な範囲で配慮できるのではないでしょうか。
市は「定時放送は市民になじんでいるので変更すると混乱が生じる」「1回では聞き取れない場合、2回目で確実に聞き取ってもらう」と今のところ変更は考えないとの答弁でした。

 また、行方不明者の捜索依頼の放送は、現在は氏名や細かい住所(○番地○号)まで放送していますが、個人情報保護の問題や、かえっていたずらに使われる心配もあります。
他市では、住所は○丁目まで、名前は必要に応じて姓だけ(子どもは名前だけ)にする、年齢は「○歳位」など、必要最小限であまり詳しく放送しないところが多くなっています。
久喜でももっと個人情報に配慮するよう求めました。市は「今後は必要最低限の内容で放送していく」と答弁しました。

防災無線をメール送信しては

 現在は防災無線は放送したらそれきりなので、市役所の庁舎内にいる職員が防災無線の放送内容を知らなかったり、家の中にいる市民には、放送していることはわかっても内容がよく聞き取れない場合もあります。
そこで防災無線で放送した内容を市の職員や市民にメールなどで知らせ、情報の共有をはかるよう提案しました。

 市は、市職員に対しては「職務で使用しているパソコンの掲示板に情報提供していく」と答弁しましたが、市民の携帯やパソコンのアドレスを登録してもらって“防災メール”として流すことについては「システムの構築、財政負担、運用方法の検討が必要なので今後調査研究していく」と答弁しました。
−県内でも鴻巣や熊谷、川口など多くの市で、防災無線の放送内容をホームページに掲載したり、携帯メールに流して確認できるようにしています。久喜は情報発信の方法や考え方がたいへん遅れているといわざるをえません。

★今やほとんどの市民が携帯を持ち、メールを使っている。これを防災や緊急時に役立てない法はあるまい。全国の自治体でも広く行われているのになぜ久喜市ではできない?★

災害弱者の支援体制確立を

 大地震などの災害時に障害者や高齢者などを置き去りにしてはなりません。
阪神淡路大地震などで、障害ゆえに逃げられなくて被災住宅に取り残されて後で発見されたといった例が相次ぎました。行政はこうした“災害弱者”を「災害時要援護者」と位置づけて特別の支援体制が必要としています。災害発生前から、要援護者のリストアップと支援体制を作っておかなければなりません。
みんなが避難した後で、障害者や高齢者が取り残されていないか、安全に避難したかを確認するために、災害時に避難するのに支援が必要な人の登録と1人1人に対する支援者の確保、個別の避難支援計画の策定を急ぐように求めました。

 久喜市ではこれまでに、高齢者3061人、要介護3以上の介護保険対象者158人、障害児者579人、妊産婦など3803人について、本人・家族の同意を得てリストアップしていて、地域の民生委員や社会福祉協議会、消防署などともリストの共有化を進める計画です。さらに本人や家族の同意がない要援護者のリストについても災害発生時に限って支援者や機関とリストを共有していく方針ですが、個人情報保護の観点から慎重に取り扱っていくとしています。

 久喜市地域防災計画では「要援護者に対して災害に関する情報を伝達するとともに、被災状況に関する情報を収集する」「要援護者の安否確認及び救助するための必要な措置を行う」としています。
しかし事実上それらの措置を実行するのは地域の区長や民生委員などに任されていて、行政が最終的な情報の把握確認を行う体制までは作られていません。
政府は、自治体が個別の避難支援プランを策定するよう求めていますが、実際には進んでいません。久喜市でも今後、1人1人の安否を確認する体制を作っていくことが急務です。


メール アイコンメール
ご意見や情報はこちらへ
tomoni@eagle.ocn.ne.jp
トップ アイコン
トップ