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久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』317号
2006年 7月24日
『声と眼』
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市の「政策実行計画工程表」
重要課題は“継続実施”に…

 昨年の市長選挙で田中市長が掲げたマニフェストについて、4年間の年次計画=「工程表」が市のホームページに発表されました。
 ◆総合病院の誘致については、2006〜08年に基本構想、基本設計、実施計画を作成し、09年度に着工と明記されていますが、その他の重要課題については「継続実施」の表現が目立ちます。
 《すぐに実現・着手》の政策で、
▼サリアビル再開への取組は「継続実施」…「市、ダイエー、再開発ビル管理会社、地権者と協議を続けていく」としています。
サリアビル再生への見通しはまったく立っていません。《4年以内に実現・着手》の政策で、
▼ごみ焼却炉・生ごみ全量たい肥化施設の建設は、工程表は09年度まで「継続実施」だけ。
用地買収や環境影響調査、焼却炉の設計などの年次計画はなし。もともとの計画では07年(来年)度に新設焼却炉を稼働させる予定でした。
工程表では2011年度実現に先送りしましたが、現状は地元住民との話し合いもできず、実現どころか見通しも立っていません。
▼再度、「市町村合併の推進」を掲げたものの、工程表では「継続実施」だけ。年次計画はなし。実際には合併の話を進める気はないようです。
▼「市立保育園の計画的な改築」も、ひまわり保育園の改築以外は、「継続実施」とあるだけです。
 またこの工程表では、「市議会議員の定数削減」は定数22名が可決(来年の市議選から)されて、“すでに実現した”ことになっていますが、多くの市民は「もっと大幅削減」を求めています。


市長の退職金はいくら?

 市の3役を含めた職員の退職金は、県内65市町村と44の一部事務組合が埼玉県市町村退職手当組合に加入し、負担金を拠出して共同で運用しています。(今年から「市町村総合事務組合」に改組)。
 今年度の負担金は全職員の給料の18%で、久喜市の負担額は約3億8000万円。最近は団塊の世代の退職者急増に伴い、負担率、負担額とも大幅に増えています(昨年度比で約2000万円増)。
 市長の退職金支給額は[給料月額×勤続月数×0.35×1.25]で、1期ごとに受け取ります。昨年、2期目の田中市長の退職金は4年分で[給料91万円×48か月×0.35×1.25]=約1900万円でした。
 一般職の職員の場合の退職金は最高で59か月分。35〜40年勤続、部長級で2900万円前後です。

★最近は退職職員の増加と退職金支給総額の増加に伴い、次第に支給率も引き下げられています。3期目の田中市長の退職金は1750万円くらいになる見込みです。★


小学校の着替えは男女分けて

 市立小学校10校の多くで、体育の着替えを男女同室で行っていることが明らかになりました。
 教育委員会の調査で、体育で1年9校、2年9校、3年8校、4年5校、水泳でも1年7校、2年7校、3年5校、4年3校が男女いっしょの教室で着替えさせていました(5年生以上はなし)。−教育長は「児童の発達に応じて3年生あたりから別室での着替えをしている」と説明していますが、実際には4年生でも、プールの着替えで3校、体育では5校が男女いっしょだったわけです。
 男女同室で着替えさせいるのは、更衣室がない、教室の余裕がない、教室で時間を分けて交代で着替えすると時間が間に合わない、別室にすると先生の目が行き届かない、などが理由のようですが、これらはいずれも学校や先生の側からの管理上の都合です。また『子どもたちがイヤだと言っていないから』というのも、微妙な年齢の子どもたちの気持ちや人権に対する配慮があまりにも欠けているのではないでしょうか。−本来、着替えは男女別室があたりまえです。


6月定例市議会   いのまた和雄の一般質問

戦時」における国民保護とは何か

 “武力攻撃事態”における『国民保護計画』の策定が全国で進められています。これは事実上、国内での地上戦を想定し、戦時における国民の避難や対処方針を定めるもの。−久喜市では4月に、市役所職員や自衛隊、警察、消防組合、東電などの公共的企業など34名で『国民保護協議会』が設置され、『計画』を審議しています。すでに『国民保護に関する久喜市計画(原案)』が公表されました。−『計画原案』は久喜の地域において市街戦などの戦闘状態が起こることを想定していて、戦争が避けられないものであるかのような前提で書かれているようです。文章などはほぼ埼玉県計画をなぞったものです。
 最大の問題点は、住民の避難誘導、救援、武力攻撃災害の応急の復旧などについて、「自衛隊の部隊等の派遣要請を行う」「自衛隊の部隊長に対し、避難誘導を行うよう要請する」などと明記されていることです。−本来、戦争=戦闘状態に陥った中でも、軍隊=戦闘部隊と市民とを厳格に区別しなければなりません。これはジュネーブ議定書など戦時国際法の最低限のルールであり常識です。非戦闘員である市民の避難誘導を軍隊が行えば、市民は軍隊もろとも攻撃目標となるのであって、市民の避難誘導は非武装の自治体行政当局や赤十字などの“文民保護組織”が担わなければなりません。その意味で久喜市の『計画(原案)』は軍隊と民間との役割を混同し、かえって市民を戦闘に巻き込む危険性をはらんでいます。
 市当局は「ジュネーブ議定書については、国会で判断する問題。国会で、国民保護法に自衛隊の派遣を入れた。国民保護法の規定に基づいて市の計画を作っている。市民保護のために自衛隊に支援要請する」などと答弁。戦時国際法の軍民分離原則についてはあまりにも無頓着…。“考慮する必要はない”という考えのようです。

国際武力紛争の犠牲者の保護に関し、1949年8月12日のジュネーブ諸条約に追加される議定書
〈第一議定書〉
いわゆる「第一追加議定書」

議定書T 全文へのリンク
日本赤十字社のホームページ
国際人道法の解説
第4編 文民たる住民
第1部 敵対行為の影響による一般的保護
第1章 基本原則及び適用範囲


第48条(基本原則)
 紛争当事国は、文民たる住民及び民用物に対する尊重及び保護を確保するため、文民たる住民と戦闘員とを、また、民用物と軍事的目標を区別しなければならず、従ってまた、その軍事行動を軍事目標に対してのみむけなければならない。

第51条(文民たる住民の保護)
1 文民たる住民の保護及び個々の文民は、軍事行動から生ずる危険に対して一般的保護を享有する。この保護に効果を与えるため、他の適用範囲な国際法の規則に追加される次の規則を、すべての場合において、遵守しなければならない。
2 文民たる住民全体及び個々の文民を、攻撃の対象としてはならない。文民たる住民の間に恐怖を広めることをその主たる目的とする暴力行為による威嚇は禁止する。
3 文民は、敵対行為に直接参加しない限り、かつ、その期間中は、この部により与えられる保護を享有する。
【4〜8 省略】

第4章 予防措置

第57条〈攻撃の際の予防)
【省略】

第58条(攻撃の影響に対する予防措置)
 紛争当事国は、可能な限り最大値まで、次の措置をとらなければならない。
(a) 第4条約第49条を害することなく、自国の支配のしたにある文民たる住民、個々の文民及び民用物を軍事目標の直近地域から移動させるように努めること。
(b) 人口周密の地域の内部又はその附近に軍事目標を設置することを避けること。
(c) 自国の支配の下にある文民たる住民、個々の文民及び民用物を、軍事行動から生ずる危険に対して保護をするため、必要な他の予防措置をとること。

★1949年のジュネーブ4条約を補完するために、これらの「追加議定書」が、1977年に作成され、1978年に発効しました。日本は2004年に加入しました。(加盟国162か国)。★


久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』316号
2006年 7月10日
『声と眼』
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「権利の放棄」を多数で可決
議会は司法判決よりも優先する?

 6月議会最終日の29日、議案の討論・採決が行われ、「権利の放棄について」の議案が、賛成14名(新政議員団・公明党・市民力)、反対6名(大地・共産党)で可決されました。採決に際して、須藤議員は区画整理組合理事長で利害関係者なので除斥、他に3名が退席しました。鈴木、井上議員は、市民力の内部で調整した結果、“棄権”という対応になったようです。
 この議案は「吉羽土地区画整理組合に職員を派遣した際の給与、補助金などについて、市が有する損害賠償請求権を放棄する」というもの。
 市民からの住民訴訟に対して、さいたま地裁は「職員の派遣は地方公務員法、公益法人等派遣法に違反。法の解釈を誤り手続きを欠いた、田中暄二の過失」を認定。また2人の2年分の給与2900万円の内、「少なくとも2分の1」の1462万円を久喜市の損害と算定して、「久喜市は、田中暄二と区画整理組合に対して1462万円を支払うよう請求せよ」との判決を出しました(今年3月29日)。
 これに対して、市は5月に東京高裁に控訴しました。今回の議決は、仮に上級審で市の損害と市長の過失・責任が認定されても、「請求権の放棄」の議決が優先して賠償請求できない=市長らは支払う必要がないと宣言したことになります。
 しかし、田中市長が自分自身に対する賠償請求権を放棄する議案をみずから提出して、自身の責任を帳消しにしてしまうというやり方、法治国家・日本で、議会の議決によって司法の判決を覆すというやり方は、“市民の目の高さ”からは理解できません。−新聞では「権利放棄の議決は地方自治法を逆手に取った『正々堂々とした非常識』」という識者の批判も掲載されました。


6月議会の全議案と各会派の賛否

★議案に対する議員の表決は「賛成」か「反対」しかない。賛否を明らかにせずに「退席」して態度表明を避けた議員は、市民に対してその理由を説明する責任があろう。★


6月定例市議会   いのまた和雄の一般質問

「久喜弁」をCD-Rに残していこう

 ことばは地域に伝わる文化です。久喜周辺でも“久喜弁”と呼ばれる方言が残っていましたが、久喜弁を話せる人は都市化の進行とともに急速に減ってきていて、このままではもうすぐなくなってしまいます。久喜市では2002年に「久喜の昔のことば」という本をまとめましたが、当時は単語や文章だけで、微妙なイントネーションやアクセントは表現されていませんでした。そこで、日常会話や言い伝えなどをCD-Rに記録して“生きたことば”として残していくよう提案しました。
 教育委員会としても、「先人がどんなことばを使ってきたかを残すことは重要なことであり、調査研究していく。できるだけ早い時期に取りかかっていきたい」と答弁しました。

自動交付機の利用時間延長を

 住民票や印鑑証明、所得証明などの交付は、市役所の他、中央公民館とふれあいセンターに自動交付機が設置され、市民カードを使って土・日曜日にも取ることができます。ただし自動交付機の稼働時間は朝8時半から午後5時15分までで、通勤の帰りなどに寄っても利用することができません。−5時半頃に来てカードを差し込んで、そこで初めて機械が止まっているのに気付いた…という市民も多いのが現実で、改めて仕事を休んで出直し、ということになります。
 そこで自動交付機の稼働時間を延長し、住民票などを平日の夜9時まで取れるようにしてほしいと求めました。−当局の答弁によると、「現在は夜間にバックアップ作業を行っており、システム自体が古いため、自動交付機を稼働させる余裕がない。9月以降にシステムを改良し機能アップする予定であり、利用時間を延長できるかどうか検討する」と説明しました。


議員10年以上の“永年勤続”表彰
今後、見直しの動きも…

 市議会議長会で、10年、15年、20年…など、議員の勤続年数ごとの表彰制度があります。今年は、5月の全国市議会議長会総会で、正副議長12年以上1人、8年以上6人、4年以上56人、議員50年以上1人、45年以上2人、40年以上2人、35年以上116人、30年以上50人、25年以上61人、20年以上126人、15年以上1289人、10年以上526人など、全部で2236人が表彰されました。久喜市議会からは15年以上の議員2人が該当しました。全国市議会議長会と同様に、関東議長会、埼玉県議長会でも同様の表彰が行われています。
 議員の10年以上は3期で該当しますから、4年間では数千人が表彰されています。表彰状には「その功績は多大であり…」と書かれているのですが、実際には活動実績に関係なく、当選回数だけで表彰資格を得ることができます。
 表彰された議員には、表彰状と副賞(宝石の付いたバッジ)が交付されます。−宝石は人造石で1個数千円(50年表彰のダイヤモンドは15000円)のものですが、今年度の表彰の経費は、表彰状とバッジの費用総額で1800万円だったそうです。市議会議長会の運営費用はすべて税金から出ていますので、このバッジも税金から支出されているということになります。

表彰記念品
宝石 単価(円)
正副議長 4年以上 16金製・菊10弁 なし(彰 プラチナ張り) 6820円
8年以上 16金製・菊10弁 赤(ルビー) 6820円
12年以上 16金製・菊10弁 青(ブルースピーネル) 6820円
16年以上 16金製・菊10弁 白(ジルコン) 6820円
20年以上 14金ホワイトゴールド製・菊10弁 黄(ゴールデンサファイヤ) 7620円
24年以上 14金ホワイトゴールド製・菊10弁 緑(エメラルド) 製造時により異なる
(受注生産)
28年以上 14金ホワイトゴールド製・菊10弁 紫(アメジスト)
32年以上 14金ホワイトゴールド製・菊10弁 紅(ガーネット)
議員 10年以上 16金製・菊8弁 なし(彰 プラチナ張り) 5140円
15年以上 16金製・菊8弁 赤(ルビー) 5140円
20年以上 16金製・菊8弁 青(ブルースピーネル) 5140円
25年以上 16金製・菊8弁 白(ジルコン) 5140円
30年以上 14金ホワイトゴールド製・菊8弁 黄(ゴールデンサファイヤ) 5700円
35年以上 14金ホワイトゴールド製・菊8弁 緑(エメラルド) 5700円
40年以上 14金ホワイトゴールド製・菊8弁 紫(アメジスト) 5700円
45年以上 14金ホワイトゴールド製・菊8弁 紅(ガーネット) 6800円
50年以上 14金ホワイトゴールド製・菊8弁 ダイヤモンド 15000円

 最近は、こうしたいわば「内輪での表彰」に対する批判も出てきており、関東議長会での表彰は来年から廃止されることになっています。

★私自身はこれまでに10年、15年、20年、25年の4回の表彰を、あまり問題視することもなく受けてきたのですが…。★


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