久喜市議会議員 いのまた和雄 市政報告『声と眼』303号 2005年11月28日 |
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「2名減」程度では話にならない
議員定数、大幅削減すべき
現在の久喜市議会の議員数は25名。
−−私たち議員としても「大幅に減らしても審議は十分に確保できる」というのが実感で、市民からも「議員数が多すぎてムダが多い」という声が強くなっています。昨年12月議会で、大地は「定数16名(9名減)案」を作って各会派に提示しましたが、その後、議会活性化委員会や代表者会議で協議することになったため、いったん撤回しました。しかし定数削減について、議会全体では合意することができず、削減に賛成する会派同士で話し合い調整することになりました。
今議会ではすでに議員提出議案の提出期限は過ぎてしまいましたから、定数削減の条例改正は来年2月議会に持ち越されることになりますが、いまだに会派間の協議すら開けない状態です。
いちばんの問題は、削減幅を何名にするかです。大地の案は「16名」。他の会派で「20名以下」という意見もあります。
ところが最近、ある会派から「23名」という声が聞こえてきました。−現在の25名から「2名減」くらいで市民の理解を得られるでしょうか。たった2名の削減でお茶を濁すなど、あまりにも市民をばかにした話です。
近隣の同規模市の議員定数削減の取り組みは、
幸手市/現在25→20名(5減)、
加須市/現在24→18名(6減)、
羽生市/現在23→16名(7減)などが決まっています。蓮田市は現在22名です。
市政会と無会派が合同、第2勢力に
11月11日、久喜市議会に「市民力21」という新会派ができました。メンバーはこれまでの市政会に無会派の3議員が合同しました。
−−市議補欠選挙で復活当選した松村氏(前新政議員団団長・前議長)、市長選挙前まで後上氏とともに「みらい」を作っていた鈴木氏、民主党の井上氏、この3人がなぜ市政会と合同するのか、ここ数年間の議会内部のいきさつを知る人にとっては、政治の世界は本当に奇々怪々です。この新会派はいったいどんな理念で集まったのでしょうか。最大会派の新政議員団に対抗する第2会派になったわけで、「数は力」ということでしょうか。
大地 | 3名 | ◎石川、猪股、春山 | |
新政議員団 | 9名 | ◎鈴木、新井、川瀬、木村、内田、星野、福垣、岡崎、荒井 | |
公明党 | 4名 | ◎戸ヶ崎、柿沼、角田、岡崎 | |
共産党 | 3名 | ◎木村、砂川、稲木 | |
「市民力21」 | 6名 | ◎須藤、原、岸(旧・市政会) 松村、鈴木、井上(旧・無会派) |
「鉄道輸送力増強の決議」を提案
11月定例議会に、大地で決議案を提案することになりました。
G4月からのJR宇都宮線〜東武日光線の直通運転が始まりますが、久喜駅停車を求める、
G東武線の地下鉄日比谷線直通列車の久喜駅乗り入れ、
G特急りょうもう号の久喜駅停車、
G東武伊勢崎線の列車増発および最終列車の時刻延長などを求めるものです。
鶴寿荘の増築、200年オープンへ
現在、市内の特別養護老人ホームは鶴寿荘と久喜の里の2か所で、定員は合わせて140人、久喜市内からの入所者は約100人。それに対して入所申し込みをしている“待機者”は133人です。
数年前から、鶴寿荘の増設が計画されてきていましたが、ようやく具体的な事業計画ができ、来年秋ごろに着工、2007年4月オープンに向けて動き出しました。
−−場所は鶴寿荘、ナーシングホーム、ケアハウス鶴寿の里の隣接地。旧・老人福祉センター跡地を市が無償で貸与します。2人部屋12室、個室16室で合計定員は40名です。
駅西口活性化へ、構想を発表
市は、久喜駅西口商店街の活性化へ向けて、地元商店街との話し合いを進め、「西口周辺再生整備計画」の構想をまとめました。国のまちづくり交付金も導入して、整備期間は5年、総事業費総額16億円を予定しています。
◆提灯祭り通り=旧バス通りを、現在8mの道路幅の両側2mをフラワーポットなどで仕切って歩道にし、車道幅は4mで、久喜駅方向への一方通行にする。
◆さらに提灯祭り通りに面する商店や建築物は自主的に3m後退して、歩行者空間を広げる。
◆街路灯や祭りをイメージした飾り付け、商店街の屋根や外壁なども統一していく。
◆六間道路〜新井病院の西側〜西口広場に通じる道路を駅方向への一方通行とする。
◆西口広場〜新井病院東側〜六間道路まで2車線道路(車道幅7m、片側のみ歩道2.5m)を新設する。
◆提灯祭り通りの駅から400mくらいの所に、現在のバス通りとを結ぶ、延長約100m、幅30mの用地を買収して道路を新設し、工業団地や大学の送迎用バスターミナルを作る(両側に4mの歩道とバス停車用地4m、中央の車道幅9m)。
11月議会の補正予算で、用地測量費335万円が計上されています。
今後、地元負担がどうなるか、また個々の商店の負担と商業の担い手の確保などが課題になってくると思われます。また、2路線が駅方向への一方通行になり、六間道路からの新設道路ができると、西口広場への車の集中、混雑も心配です。
子ども医療費支給を拡大
11月議会に、乳幼児医療費支給条例の改正が提案されました。−「子ども医療費」と名称も変えて、入院は15歳まで、通院は小学校就学前まで、公費で負担することになります。
もともと子育て支援のために乳幼児医療費無料制度があったのですが、4年前の田中市長2期目の時に、入院時の給食費の半額と1か月1000円の自己負担制度を導入して有料化されていました。今回の改正で、本来は医療の一部である給食費は公費で全額負担、一部自己負担もなくして無料に戻すことになり、来年4月から適用します。
…来年就学する児童の保護者は、この4年間、一部自己負担させられてきて、来年からの通院時無料の恩恵にもあずかれない…、4年間の自己負担分を損した感を否めません。−そもそも、久喜市政の子育て支援という政策方針がしっかり確立できていなかったことが問題です。
放置自動車禁止条例を制定
市内の公園や公民館の駐車場などに自動車が放置され廃棄されています。危険でもあり、これまで議会で何度も、行政の判断で放置自動車を処分できるように条例を新設するように求めてきましたが、やっと放置自動車禁止条例が制定されます。−市は、所有者等の調査、撤去の勧告、撤去命令を出します。撤去されなかった場合には市が「廃物」と認定して処分し、所有者に費用を請求します。さらに、撤去命令に従わなかった場合には、20万円以下の罰金刑を科することなどを定めた条例です。来年4月から適用されます。
ただし、この条例によって放置自動車をなくすためには、速やかに実態を把握、調査し、勧告や命令などの手続きを機動的に活用していく、市の職員の積極的な対応が不可欠です。
★久喜市では今、「行財政緊急改革計画(案)」に市民の意見を募集している。問題は、その「計画案」がどこに置いてあるのか、市民に全然わからないことだ。★
久喜市議会議員 いのまた和雄 市政報告『声と眼』302号 2005年11月14日 |
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「自民党新憲法案」を読んでみる
10月28日、自民党が「新憲法草案」なるものを発表しました。今回の主要な「改正」点は、『前文』他6項目。−憲法改正論者たちのホンネはいったいどこにあるのでしょうか。
天皇を元首にし、愛国心や国防を国民の義務として明記し、基本的人権の本格的な制限や、政府批判のマスコミや市民運動に対する規制強化など、彼らが本当にやりたいことは先送りにして、とりあえず今回の「改正」で次の2点だけはどうしても変えておきたいようです。
(1)不戦・非武装の「9条」に「自衛軍」を明記、
(2)96条の「憲法改正手続き」を緩和する。
つまり、改正手続きさえ簡単にしておけば、あとの改正は容易になりますから、残りの問題はだんだんと改正していこうということでしょう。
ただ、以下の4点については、今回、いっしょに「改正」しておこうということのようです。
◆日本国憲法の基本理念を述べている『前文』は、9条改正と矛盾するので全面削除。−替わりに天皇制の尊重、愛国心と国防の強調、さらに日本が海外で軍事行動することも容認します。
◆12条に「国民の責務および義務」を設け、国家優先、国益優先で、公の秩序のために基本的人権の制限もあるとします。…「沖縄の米軍基地の移設反対運動などは認めない」ということ。自衛軍の戦闘行為や戦争に関して、ジャーナリズムや反戦運動、市民運動も規制されることになります。
◆20条の政教分離を緩和して、社会的儀礼や習俗的行為に参加することは容認。…つまり首相の靖国神社参拝を「合憲」にすることが目的でしょう。
◆76条で「軍事裁判所」を設置します。……要するに「軍法会議」で、軍隊内部の規律や軍人の行為は、警察や一般の裁判所の干渉を受けない、治外法権ということです。
【日本国憲法】 |
【自民党新憲法草案】 (裁判所と司法権) 第七十六条 3 軍事に関する裁判を行うため、法律の定めるところにより、下級裁判所として、軍事裁判所を設置する。 【新設】 |
9月定例市議会 3
豪雨による浸水被害、対策は
9月4日の台風による豪雨で市内各地で道路冠水、青葉5丁目、東3丁目、栗原3丁目などで床下浸水の被害が出ました。特に青葉や東町などは数年前まではたびたび浸水被害が発生していましたが、排水溝の整備などで最近は家屋への被害は減っていました。今回は2〜3時間で100oという雨量に排水能力が対応できなかったということです。−しかし住民にとっては“予想以上の雨量だったから仕方ない”ではすみません。
今回の被害が出た東3丁目のバス通り付近や栗原の地域は周辺の雨水が集中し、排水が間に合わない状態でした。地盤沈下による影響も考えられます。一方、青葉5丁目では数年前から、排水ポンプの設置や、U字溝を容量の大きなものに取り替えて、U字溝に貯水機能も持たせて道路や宅地に水が溢れないようにし効果を上げてきました。今回はその工事が未着手の場所で被害が大きかったのが実態です。−排水路の勾配の点検や、青葉地域のような大容量のU字溝の設置を拡大していくよう求めました。
審議会の傍聴は、許可制ではない
審議会や懇話会など、久喜市の政策審議機関は、審議会等の会議の公開に関する条例で、原則公開、「何人も」傍聴することができることになっています。しかし7月に開かれたある懇話会の第1回会議で、『会長の許可があるまで傍聴者を入室させない』として、傍聴希望者がロビーで待たされるという事態がありました。この時は抗議して会議開催時から傍聴席に入ることができましたが、本来、傍聴は“権利”であって、“許可”は必要ありません。会議の開会前から傍聴者が入っても何の問題もなく、“許可”としたのは事務局の誤りです。−当局も「今後は条例を踏まえて市民への公開を推進していく」と答弁しました。
また、審議会等を傍聴しようとする場合、現在は受け付けで一覧表形式の傍聴申込書に氏名、住所等を記入させていますが、一覧表形式ではどこのだれが傍聴にきているかを見ることができてしまいます。これは個人情報保護法に反するので、1人1枚の傍聴券形式に変えるよう求めました。また「何人も」権利として傍聴できるのですから、本来は、氏名や住所を書かせる必要もありません。
当局も、「一覧表形式は好ましくないので、今後は傍聴券や番号札にする」「住所・氏名の記入を改めるよう、各課に周知する」と答弁しました。
市はサリアビル再生問題に消極的
西口再開発ビル・サリアは、ダイエーが02年5月に撤退してすでに3年が過ぎました。昨年末にはダイエーがビル売却の入札を実施、2社だけの参加で、1社は金額が低すぎ、もう1社はパチンコ屋が入る予定で調整していましたが、その後、ダイエー再建が産業再生機構に委ねられ、白紙に戻っていました。今年8月26日に再度、ビル売却の入札が行われました。−久喜市は9月13日にダイエーと協議していますが、その時点で、売却先はまだ調整中で、決定していないとのことです。
これまで市長は一貫して、「商業ビルとしての再生」が持論ですが、実際には全館が商業施設というのは経営的に成り立たないことは明らかです。このままでは市長の意に反して遊技場や飲み屋街の入った雑居ビルになる可能性が高いといわざるを得ません。サリアは市民の税金を投入した西口再開発で作った施設です。市が一部の床(階)を買い戻す形で、公共的・公益的な施設を配置していくことで、市民が集い賑わいを創り出すことができるのではないでしょうか。
しかし市長は「一部を行政が使ったり…、賑わいが取り戻せるか」と、行政が主体的な役割を果たすことに否定的です。当局も市長の“商業集積ビル”にしばられて、市の対応は「協議があれば検討する」「新しい所有者が決まれば、どのようなビルにしていくのか聞くことはできる」という、他人ごとのような消極的な答弁でした。
−−市長も当局も、サリアビルの再生を本気で考えてはいないのではないでしょうか。
★市は、西口周辺地区の活性化のために、商店街の提灯祭り通りの一方通行化、六間道路から西口広場への新たな道路建設などの構想を発表しました。★
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