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久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』288号
2005年3月28日
『声と眼』
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国民健康保険税の増税を可決

 国民健康保険税の大幅引き上げを可決【詳細は前号】。−大地と共産党が反対討論を行いましたが、賛成の討論をした議員は1人もいませんでした。議員は自分の政策的立場を、市民にちゃんと説明すべきです。


2月定例市議会、全議案と各会派の賛否

正副議長の「辞職願い」
新井議長は留任、副議長は公明党に

 定例市議会最終日の18日、議長の「辞職願い」が提出されました(本来の議長任期は4年ですが、これまでの久喜市議会の慣例では2年で交代)。
 本会議で「辞職の許可」を諮ったところ、

起立=賛成(辞職を許可する) 9名 共産党、市政会、大地、後上・鈴木
不起立=反対(辞職を許可しない) 13名 新政議員団、公明党、井上

みらい(3人)の中で、後上・鈴木が賛成、井上が反対に分かれた。

 新井氏は本人なので退席、石川氏は議長席で採決に加わらず、みらいの賛否が分かれ、「辞職の許可」は賛成少数で否決されました。
 その後、石川副議長の「辞職願い」は『異議なし』で辞職を許可。副議長選挙は投票で、公明の角田氏が副議長になりました。

公明党・角田 16票 新政議員団(9名)、公明党(4名)、市政会(3名)
共産党・砂川 3票 共産党の3名だけ
大地・猪股 2票 大地の2名だけ
白票 3票 みらい

 新政議員団の新井議長の辞職願いを否決・留任するのに公明党が協力し、その見返りに副議長選挙では、新政議員団が角田氏に投票して、副議長にしてやったことになります。


2月定例市議会   いのまた和雄の一般質問

行財政改革は市民参画で進めるべき

 05年度予算編成を進めるために、『久喜市行財政改革戦略会議』が設置され、1月に「平成17年度予算編成に向けての行財政改革」の検討結果が示されました。市役所の各課からの提案に基づいて、約200項目の検討を行い、「17年度に実施」「17年度以降に実施」「17年度に検討」「18年度から実施」などの「検討結果」が並んでいます。
 しかし問題は、これまで障害者の社会参加の促進などノーマライゼーションや、少子・高齢化対策、男女共同参画社会の実現、環境対策、市民への公開と市政への参画の促進など、重要な政治的・政策的目的をもって進めてきた事業の多くについて、単に「経費節減」を優先させて後退させようとしていることです。−公民館等の有料化、ボランティア育成事業の削減、障害者の福祉タクシーやガソリン代助成事業の見直し、介護保険の低所得者に対する利用者負担軽減策の見直しなど、特に福祉政策でのこれまでの久喜市の先進的政策を、みずから否定するような項目が多くあがっています。
 しかもこれらは市役所の『戦略会議』の中だけで検討され、市民にはその結果だけが示されてそのまま実施に移されようとしていることも問題です。こうした政治手法は、久喜市自治基本条例にも明記された、“市民への説明責任、市政への市民参画”をも否定するものです。
 そこで、一方的に「検討・決定」して市民に結論だけを押し付けるのでなく、行財政改革検討懇話会などの市民参画の場で協議すること、市民への説明責任をきちんと果たすよう求めました。
 当局は、「政策的にも検討し、すぐに実施できるものは新年度から実施した。検討に時間を要するものは17年度以降に実施とし、引き続き検討していく。市民参加のあり方についても合わせて検討する」と答弁しましたが、市民参画で検討を進めていくことについては明言しませんでした。

 また、戦略会議の検討項目・検討経過の中で、各種の審議会等(市民参加の政策審議機関)の「会議録の簡略化・要約のみとする」方向が示されています。しかし審議会等の会議録は、市民が政策検討過程を知る上で大切なもので、議論のかんじんな部分や都合の悪い発言を省いて要約だけにしてしまっては、後で市民が政策の検討経過を知ることができなくなってしまいます。しかも今回は全部で50以上もある審議会等の内、10くらいのほんの一部についてしか検討していません。これでは戦略会議の検討自体が“欠陥”といわざるをえません。−『行財政改革戦略会議』といいながら、実際には久喜市の行財政改革のあり方を総合的に検討したとはとてもいえません。

団体補助金のあり方、総合的な見直し

 『戦略会議』で、団体に対する補助金・助成金のあり方についても、「見直し」を行っていますが、これも実質的には10団体くらいの補助金についてしか検討していません。しかも政治的に弱い団体や削りやすい団体について「削減」の方向が打ち出される傾向も見えます。この団体補助金についての「見直し検討」も“欠陥”です。
 現在の『久喜市補助金等の交付に関する規則』では『交付の対象となる経費は、補助事業者等が要する経費とし、その補助率は、市長が別に定める』、各団体に対する補助金交付要綱では『対象となる経費は、その目的を達成するために実施する会議及び事業に要する経費とする』となっていて、事実上、団体の運営費でも何にでも使えるようになっています。補助率の規定もありません。
 そこで、団体補助金について、部分的な見直しでなく、久喜市の補助金交付規則や補助要綱について総合的に見直して、団体補助金はこれまでの運営費補助から、できるだけ事業費補助へ移行させ、補助金を既得権的にしないためにも、補助金申請を公募方式にするよう求めました。
 当局は、「今回の検討は短期的なものであり、新年度に補助要綱の大幅な改正・見直しをしていく」と、公募方式についても検討する姿勢を明らかにしましたが、それも、行政の中だけでなく、市民参画で検討していくべきです。


★市議会活性化検討委員会が設置され、各会派から提案された具体的な議会改革案の検討が始まりました。次回は4月18日(月)朝9時からです。★



久喜市議会議員 いのまた和雄
市政報告『声と眼』287号
2005年3月14日
『声と眼』
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久喜の国民健康保険税を大増税
低所得世帯を直撃する

 05年度、国民健康保険特別会計が5億5000万円の歳入不足(赤字)になるとして、一挙に平均20%もの国保税の引き上げ・増税案が提案されました。中間所得層(年間所得500万円前後・3〜4人家族)では年間4万〜6万円の増税(税額40万円前後)。特に低所得世帯層(年間所得200万円以下)の値上げ率は50%を超える世帯もあります。−周知期間もなく、4月から実施されます。
 これまで国民健康保険税は、低所得世帯の税率を抑制する一方で、中高所得世帯の負担を重くしてきました。しかし今回の改定は所得に関わりなく、世帯ごと・世帯人数に応じた一律の負担額を大幅に引き上げたため、低所得世帯層を直撃する増税となります。県内市町村で国保税の見直しにあたって、こうした税負担方式に転換するのは久喜市が初めてで、田中市長の政治姿勢が問われます。−市長は、2月に公表した新年度の『主要事業の概要』でも、議会初日の施政方針演説でも、国保税の大増税には一言も触れませんでした(新聞報道もなし)。したがって国保加入者は5〜6月に納税通知が届いてから大増税を知らされることになります。−市民に全く説明もせず、知らせない内に決定し、4月から実施してしまうというやり方も、“市民の目の高さに立った市政”【田中市長の公約】とは無縁です。
 国民健康保険会計はもともと自営業や農家が中心でしたが、今は退職後の高齢者世帯が多く加入しています。加入者の内、無所得世帯が25%を占めるなど低所得世帯が多く、65歳以上の高齢者が36%と、医療を必要とする人々の割合がきわめて高くなっています。そのため医療費の伸びも大きく(05年度は18%増)、国保会計の財政構造はきわめて脆弱で、国保税や国庫補助だけで医療費をまかなうことは不可能な状態です。

増税で収納率はさらに悪化する

 久喜市の27000世帯中、46%もの世帯が国保に加入し、今は働いている人も退職すれば国保に入ることになりますから、今後も高齢者・年金生活者の割合は増え続けます。したがって市民の健康を守る行政の責任を果たすために、これまでも一般会計から毎年1億5000万円を国保会計に繰り入れて財源不足を補ってきました。05年度は繰入金を2億円に増やしましたが、残り約3億円の不足額を増税によってまかなうという計算です。
 しかし実際に、机上の計算通りになるかどうかはきわめて疑問です。−現在、久喜市の国保税の収納率は68%、滞納額が30%を超えてしまっています。当局は、今回の増税で滞納がさらに増えると予想して、収納率は66%に下がると見込んでいます。大幅増税しても、計算上の賦課徴収税額に対して、1/3もの税が滞納で入ってこないことを前提とした予算というのは異常で、国保会計そのものが空洞化し破綻寸前だということを意味しています。

一般会計からの繰入れ、医療費抑制
国保制度自体の見直しも

 すでに国保税の負担は限界に近づいているのですから、国保会計の財源不足を増税によってまかなうというのは、明らかな政策判断の誤りです。不足分については、当面、一般会計からの繰入金をさらに増やすしか方法はありません。もう一つは医療費の抑制です。−健康診査の拡大充実、予防など保健事業を充実して、国保加入者の医療費増を抑え、国保会計を黒字で運営している自治体も多くあります。
 国民健康保険制度は、現在は市町村単位で運営されていますが、このままでは近い将来、運営できなくなることは明らかです。そのため、都道府県負担の導入、県内の保険料の統一、県単位で国保を運営する方向で進んでいます。さらに将来は他の健康保険との統合・医療保険制度の一本化も議論されています。−こうした状況を踏まえれば、今の段階で、久喜市でこれほど大幅な国保税の増税を行うことは避けるべきです。

★議員の中には、制度自体の問題を無視して、『払えなくったって払ってもらうんだヨオ!』と、増税は当然だと公言する人もいます…。★


2月定例市議会   いのまた和雄の一般質問

市役所窓口の対応改善を

 今の久喜市役所の窓口は完全タテワリで、転入や転出手続きを行う場合など、市民がいくつもの窓口を回らなければなりません。先進的な自治体では逆に職員と書類が動いていって、市民は1か所で手続きがすむ、総合窓口にしているところも増えています。久喜でもこれまで何人もの議員が『総合窓口の設置』を提案していますが、当局は「研究・検討」と言うばかりで一向に進みません。具体的に総合窓口化を検討するよう求めました。
 本来、市役所はサービス業で、市民は“お客さま”です。しかし実際には、窓口に行っても職員が気付かないで出てこなかったり、どこの課に行けばいいのか迷っていてもすぐに案内してくれなかったり…、そんな経験はないでしょうか。−そこで当面、銀行の窓口のように、◆窓口業務の職員の机を、市民の方を向くように並べ変える、◆基本的にカウンターでお客さまに座ってもらって手続きする、◆管理職をフロアに配置して、職員から先に声をかけ、先に市民の用件を聞いて担当窓口に案内する、ことなど窓口対応の改善を提案しました。

公共施設で非常ベルが誤作動したら

 昨年12月に、ふれあいセンターで非常ベルの誤作動がありました。しかし館内にいた市民に対して『誤作動だ』という連絡もなく(ベルが鳴り続けていたので、放送が聞こえなかった?)、2階にいた障害者のグループの人たちがボランティアといっしょに逃げようとしましたが、非常口にカギがかかっていて外へ出ることもできず、たいへん怖い思いをしたそうです。
 問題は、◆職員が、誤作動とわかっても、なかなか非常ベルを止めることができなかったこと、◆館内にいた人々に対して、『間違いだから安心してください。逃げる必要もありません』と、すぐに連絡徹底して歩くべきだった、◆また、誤作動でも、あわてて逃げようとして転んでケガをしたり、トイレで動けなくなったりしている人がいないか、非常口から出た人がいないか、職員は全館を回って確認して歩かなければならなかったはずです。実際には、非常ベルを止めるのにせいいっぱいで、利用者への対応ができずに、無用の混乱と不安を与えてしまったわけです。
 そこで、非常ベルが鳴った時に(誤作動の場合も)、職員がどんな対応をしなければならないかを明確に決めておくこと、まず市民の安全を確認する体制を作っておくこと、日頃から非常口のカギの状態のチェックをしておくなど、“危機管理”体制の確立を求めました。−その後、非常口のカギを改善して開け方もはっきりと明示し、今後、非常の際の職員の行動マニュアルを策定していくことになりました。
 他の公共施設についても、これまでは、非常ベルの誤作動の場合の対応は想定していなかったといいます。−今後、本当の災害発生か、誤作動か、利用者への情報提供と徹底をはかり、行動マニュアルを策定し、非常ベルを職員が操作できるようにするなど、改善することになりました。

放置自動車防止条例を制定へ

11月定例市議会で、市内の公共施設の駐車場などに8台の放置自動車が置かれたままになっていることが明らかにされました。その後、一部を市で撤去しましたがまだ5台が放置されたままです。車の周りにごみも散乱し、ガソリンもれや放火なども心配です。早期に放置自動車防止条例を制定し、車の所有者に対する高額の罰金、市の強制撤去などを行っていくよう求めました。当局の答弁で「条例制定へ向けて検討していく」と積極的な姿勢が示されました。

地域福祉基金、取り崩して活用を

 久喜市地域福祉基金は、1億5000万円の積立金の利子をボランティア育成などにあてていますが、この低金利時代、昨年度の利子はわずか35万円。これでは税金をムダに眠らせているようなものです。そこで、この基金を取り崩して地域福祉の充実に活用するよう提案しました。


★3月18日、市議会最終日に、正副議長の改選が行われる見込み。舞台裏でいろいろな工作が進んでいるもよう……★


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