パンフレット

会社の言いなりでは労働条件は改善しない

闘う組合員の執行委員会からの排除弾劾

 

闘う労働組合を取り戻そう

 

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 職場の仲間のみなさん!
 9月1日、多摩バスから西東京バスへの「出向」が行われ、現在私たちは西東京バスの下で仕事をしています。会社は将来多摩バスと西東京バスの経営統合を狙っており、それに伴って労働条件がどう変わるのか、組合員の最大の関心事になっています。ただでさえ、わが多摩バスは同業他社と比較しても劣悪な労働条件であることは否めないところであり、全組合員がその早急な改善を望んでいます。

会社と闘う姿勢を堅持してこそ労働組合

 私は、これまで組合書記長として、全組合員のために、会社との交渉を通じて、劣悪な労働条件を改善するために粉骨砕身努力してまいりました。労働条件改善は決して「労使協調」ではできません。会社は、企業としてより多くの利益を上げるためには、労働者をより長時間、より低賃金で働かせようとしますし、それは当然労働者の利益と対立するからです。会社と断固として闘う姿勢を堅持しなくては、労働組合たりえません。
 私は、そういう立場で、これまで書記長としての役職を務めてまいりました。
 ところが、去る7月21日の「臨時大会」で、私AとB執行委員が突然役職を解任されました。私に至らないところがあるにせよ、解任には今もって全く納得がいきません。
 むしろ、わが組合が今後会社と闘う姿勢を堅持できるか、危惧を禁じ得ません。西東京バスとの経営統合という、わが組合員にとって将来にかかわる重要な時期にあって、少しでも組合員全体の利益に資するよう、「今こそ考えよう!行動しよう!」の発行を思い立ったわけです。

民主主義のルールを無視した「臨時大会」

 そもそも、「臨時大会」の議案書は、執行委員会でなんら検討することもなく提出され、しかも事前配布もされず、ほとんどの代議員にとっては当日初めて見るものでした。しかも「信任・不信任決議案」なるものは、「臨時大会議案書」に「執行委員会に於いても、話し合いました」とされていますが、これは事実ではありません。執行委員会では、何ら討議されておりません。
 「信任・不信任決議案」なるものは、提案者が「有志一同」と匿名で提出されておりますが、こんなことは労働組合運動ではあり得ない事です。責任の所在すら明示されないのでは、そもそも議論が成り立ちません。しかも「信任・不信任決議案」では、「対象者は執行委員9名」とされていますが、大会では私AとB執行委員のみが対象となりました。
 この経緯をみても、民主主義のルールを全く無視したやり方であり、断じて容認できるものではありません。
 問題とされている「解任」の理由は、「アルコール基準値オーバー・事務折衝乱入」とされています。しかし、「事務折衝乱入」とは会社の表現を鵜呑みにしたものです。実際は、執行委員会で何が議題であるかも討議されないまま労使協議が一部の執行委員のみで行われているため、紳士的に内容の確認に行ったまでです。このことは臨時大会の席上、私が説明したとおりです。しかし、ヤジと怒号が飛び交う臨時大会では、まともな論議すらできないまま一方的に私たち2名の「不信任」が決議され、「解任」に至りました。

「経営統合すれば労働条件は良くなる」?

 さらに「執行部内での不一致」が問題とされています。意志一致を獲得する道筋は、具体的事実や資料に基づいて徹底的に議論を尽くすと言うことではないでしょうか。確かに、執行部内でまだ議論が尽くされてない課題もありました。一言で言って現在の労働条件をどう改善していくかの路線をめぐっての意見の違いです。
 多摩バスの労働条件は、西東京バスや他社と比較してみても極めて劣悪です。低額な賃金、定期昇給もなし、まともな賞与もなく、深夜手当や車両清掃手当もなし、住宅手当なし、労働時間と休憩時間のあり方(○休問題)、拘束時間の長さ、年次有給休暇の保存日数、特別休暇もない等々、まさに低賃金で長時間労働が日常的となっています。生活はギリギリで、事故や病気などの不安に常に脅かされています。これでは到底多摩バスで長く務めようとはならず、転職・退職は後を絶ちません。いったい会社はバス運転手を人間扱いしているのかと言いたくなります。
 現執行部は、「西東京と合併したら労働条件はよくなる」と言っていますが、後に掲載した資料(「各社労働条件比較表」)を見てください。労働条件がよくなるどころか、ほとんどすべて悪くなるばかりじゃないですか! 西東京バスも多摩バス並、いやそれ以下に切り下げようとしている会社の意図は明白です。現執行部は、このどこを見て「良くなる」と言っているのでしょうか?!
 執行部内の「不一致」とは、経営統合すれば労働条件が「良くなる」と見るのか、会社の意図を正しく見抜いて断固闘っていくのかという「不一致」です。
 現執行部は「譲れないことは譲りません!」と、言葉では述べています。しかし、そのすぐ後で「が、協力するべき点は協力し」と述べています。どっちが本音なのでしょうか? こういう事は、事実に即して吟味することが重要です。
 例えば、36協定締結について、執行委員会では1ヶ月ごとの締結を取り決めていたにもかかわらず、C委員長らは独断で6ヶ月間を締結してしまいました。36協定締結という、会社との団体交渉が、労働条件改善の重要な契機であるにもかかわらず、その機会を投げ捨ててしまったのです。また○休問題での要求書提出も握りつぶしました。これらの事態は、その後の執行委員会で問題になり、C委員長らが謝罪したことは、ご本人も否定できないでしょう。しかし、独断での労使協議はその後も継続し、約束は守られませんでした。
 これらの事実を見れば、C氏らが執行委員会での約束よりも、会社の都合を優先したと言わざるを得ません。

「労使正常化」は組合員にとって果たして良いことなのか?

 また、現執行部は「労使の正常化が重要だ。A・Bらは正常化を乱している」と言っています。
 「労使の正常化」とは、つまり「もめない」ということのようです。「もめない」とは組合が会社の言うことをよく聞いてくれるということでしょう。そもそも「労使正常化」とは、経営側の言葉であり、労働組合の用語ではありません。
 先述したとおり、多摩バスの労働条件は他社と比較しても劣悪です。こんな労働条件の会社では、当然にも労働者の要求は譲れないものになり、労使の対立は激化して当然です。それが「正常化」だとか「うまくいっている」というのは、とどのつまり会社にうまくやられているということです。「正常化」している方がむしろ異常です。

労働条件を改善させるためには、何よりも団結が必要です

 では、これほどの劣悪な労働条件をどうすれば改善していくことができるのか。
 そもそも労働組合とは、会社にお願いする団体ではありません。労働組合とは、労働者が団結して会社と対決し、労働条件やその他の組合員の要求を闘いとるものです。
 「会社から給料をもらうのだから、会社あっての労働者だ」と勘違いしている人がいますが、全く逆です。会社の役員がいなくても、バスの運行はできますが、労働者がいなくてはバス事業は成り立ちません。社会の主人公は労働者です。
 従って、労働者が団結すれば、会社は労働者の要求も受け入れざるを得ないのです。逆に、労働者がバラバラの状態では、会社は儲けるために、低賃金・長時間労働を押しつけてくるでしょう。現に、現在の劣悪な労働条件の多摩バスの状態は、労働者の団結が破壊されているということです。
 団結を取り戻すこと、闘う労働組合を甦らせることが、労働条件をよくするためには何よりも求められることです。
 今、社会はとんでもない格差社会が進行しています。小泉構造改革以降、安倍、福田内閣の下で首切り・リストラ、民営化、が横行し「貧困と格差」が極限的に進みました。いまや3人に一人は非正規(不安定)雇用で、年収200万円以下の世帯が1000万人を超えました。ダブルジョブ・トリプルジョブでしか生活できない、命を削って働いてもワーキングプアという現実です。

闘わない指導部に取って代わり、組合を現場に取り戻そう

 私たち多摩バス労働者の生活もほとんど同じです。いったいこんな社会に誰がしたと言いたい。政府の責任はもちろんですが、責任の半分は連合・全労連という労働組合のナショナルセンター(の幹部)が、闘う方針を打ち出さないからです。傘下の多くの労働組合の幹部が「会社の経営が厳しいから仕方がない」「社長も大変だから、我々も我慢しよう」と屈服しているからです。その結果が、「貧困と格差」の現実です。
 とんでもありません。労働者には無限の力があります。社会を動かしているのは労働者です。労働者が生産(仕事)を止めたら、社会はストップしてしまうのです。労働者が本気で怒ったら、麻生政権など吹っ飛ばしてしまう力をもっているのです。
 問題は、この労働者の力を信じない組合指導部にあります。労働者の団結を組織しないで、あたまから「闘ってもムダ」と屈服している指導部の問題です。こんな組合指導部はほとんど会社と癒着しています。結局会社経営とうまくやって、現場労働者の利益には目もくれないのが現実です。
 こんな組合幹部をぶっ飛ばして、現場労働者の立場に立った組合をつくらなくてはなりません。それが職場を明るくする核心です。

 今、全世界を金融恐慌が襲っています。今までボロ儲けしてきたアメリカの金融機関が軒並み破綻。株の暴落、倒産、失業が襲っています。こんな時代だからこそ労働者の団結が必要です。闘う労働組合を甦らせよう!



経営統合で私たちの労働条件はどうなる?

 西東京バス(既存社員)、西東京バス(2007年11月19日入社以降)、多摩バスの3者の労働条件を比較すれば、いかに多摩バスの労働条件が劣悪か明白です。経営統合後の変更案(アンダーラインが引かれた部分)を見れば、ほとんどすべてが労働条件の改悪に向かっています。会社任せにしていたら、とんでもないことになります。

【労働時間】現在多摩バスは8時間00分。西東京バス(既存社員)の場合は、運転士の場合、現行7時間50分が8時間に延長されます。1週平均では、39時間10分が40時間00分になります。それだけ長時間働かされるということ。

【休暇】多摩バスには特別休暇がありません。その替わり精勤手当が年間6万円。西東京バス(既存社員)は特別休暇が14日。仮に多摩バスで14日働けばとても6万円では収まりません。それだけ安い賃金で休暇が買い上げられているということです。
 一方西東京バス(既存社員)の場合は、現行14日が経営統合によって新規採用社員に会わせられ年間3日〜12日に減らされます。
 一応、経営統合した場合は、多摩バスも整合性を検討するとしています。
 忌引休暇は、西東京バス(既存社員)7日、多摩バスでは5日です。保存年次有給休暇は、西東京バスは最大50日、多摩バスは最大20日と大幅に差があります。これらについては、経営統合しても変わらないとしています。

【賃金】西東京バスは日給月給制。多摩バスは年俸制。とにかく多摩バスの賃金は西東京バスと比べても目に見えて低賃金です。経営統合してこれはいったいどうするのか。会社は何の方針も示していません。経営統合してこんな二重賃金制が通用するのか。
 はっきりしていることは、西東京バスの時給単価が下がることだけです。

【住宅手当】西東京バス(既存社員)にはありますが、多摩バスはなし。経営統合しても、変わりません。

【家族給】多摩バスと西東京バスの新規採用者には配偶者手当がありません(西東京バス(既存社員)のみ4000円)。これは多摩バス運転士の女房は、共稼ぎが当たり前と言うことでしょう。ふざけるな!
 会社は西東京バス(既存社員)の家族手当を特別扱いとして、統合したらなくすつもりです。

【皆勤手当(精勤手当)】多摩バスと新採の西東京バスのみ皆勤手当が年間6万円。給料の安い分、皆勤手当でカバーしていると言うことでしょうが、特別休暇制度導入によって廃止するとしています。

【昇給】西東京バスと多摩バスで一番大きな違いは昇給制度にあります。西東京バス(既存社員)には毎年一律4000円の定期昇給がありますが、多摩バスにはありません。多摩バスには査定による昇進、昇給があるだけです。これによって、人によっては全く賃金が上がらない人まで出てきます。

【基準外労働時間計算の考え方】「所定外労働時間を超過した分」となっていますが、多摩バスの場合は「4週単位で所定労働時間に満たない場合」は差し引くとなっています。しかも、【中休手当】が西東京バスの場合支給されますが、多摩バスにはありません。これによって、今最大の問題になっている【最長拘束時間】16時間という2日分拘束されても賃金は1日分というとんでもない制度です。○休問題も解決していません。これとて、経営統合しても変わるどころか、西東京バスにとっては改悪です。

【基準外割増率】西東京バスの場合、平日1.28が1.25へ切り下げ。

【深夜勤手当】【車両清掃手当】【基準外付加手当】【バスカード発売手当】西東京バスの仕事毎400円、70円、1時間当たり350円、1枚当たり30円を廃止の方向。

【無事故手当】【接遇向上手当】これらは多摩バスだけにある制度ですが、経営統合でなくなります。

 こうしてみると、多摩バスは業績評価がかなり重視されていることが解ります。

【チーム・チームリーダー制度】チームリーダー制度を導入して、勤務成績をチーム員全員の責任にし、労働者に労働者を監視させる手法まで導入しようとしています。悪名高いQC(クオリティーサークル)運動の再来です。こんなことは民間大手では、むしろ業績を落とすとされ撤廃の動きが強まっています。

【退職金】多摩バスでは周知の通り「生活設計奨励金制度」に置き換えられています。賃金の低い分、年1回の支給で、目先をごまかそうと言う訳です。西東京バスと比較して計算してみれば、いかに生涯賃金が削られているか解ると思います。

【評価制度】いわゆる査定。西東京バスでは昇給、賞与に反映となっていますが、多摩バスでは基本年俸、業績年俸、昇進、降格すべてに反映します。

【待機時間】多摩バスでは休憩施設のある明神町折返場などは、折待時間4分以外はすべて休憩時間とされています。これも差別、そして改悪が狙われてます。



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