高遠の桜見物。                12,04,24

    長時間の遠出は出来るだけ避けているが、毎年この時期には桜見物に出かけている。
   躊躇はしたが家内同伴だから万一の時には心強かろうと思い、思い切って1泊の高遠桜
   見物バスツアーに参加した。ここ数年バス旅行には慣れてきたが、それでもバス車内の
   おば様たちの長時間のおしゃべりは度が過ぎると耳障りで若干閉口ぎみである。ここは
   腹を据えて雰囲気に慣れるしかない。

    4月20日(金)朝8時、横浜駅西口天理ビル前出発。天候は曇りで小雨が途中から降る
   あいにくの空模様だが、明日は快晴との事。バスは中央道八王子ICから一路山梨へ向
   かった。このツアーの目玉は、初日;@一宮・御坂の桃源郷の桃見物。A武川・実相寺
   の山高神代桜・エドヒガンザクラ(日本3大桜)。B真原の桜並木・ソメイヨシノ。2日目の
   目玉;@高遠城址公園のタカトウコヒガンザクラ。馬見塚のミツバツツジ。光前寺の枝垂
   桜と水仙である。
    宿泊地は上諏訪温泉。食べ物では2日目の昼食弁当の峠の釜めし(横川のおぎのや)
   が美味しかった。実相寺の神代桜は、福島の三春滝桜、岐阜の尾根谷淡墨桜と並ぶ日
   本3大桜として有名で、樹齢2000年といわれる古木は見事なものだった。桜はほぼ満
   開で一面に水仙が咲いていて桜と水仙のコラボが見事だった。
    高遠の桜はガイドさんの事前情報ではまだ5分咲きとの情報だったが、21日の土曜
   日は快晴にも恵まれ花はほぼ満開で、広い城址一帯がおよそ1500本のコヒガンザクラ
   の赤みを帯びた花びらで埋め尽くされる圧巻だった。花見客を乗せたツアーバスがひ
   っきりなしに到着して次第に混雑が激しくなってきた。ここは絵島・生島事件の絵島が
   高遠に追放された囲い屋敷のある場所としても知られている。

    伊那市の高遠城は古くは信玄に滅ぼされた高遠頼重、信長に滅ぼされた仁科盛信の
   居城で、江戸に入って保科正之、内藤清枚の居城になっている。2代将軍秀忠の側室
   の子で家光の異母兄弟の保科正之は高遠藩主になり、後に会津藩主になるが、有名
   な「会津家訓15条」を定めて幕府を支える重鎮になる。正之の子孫の会津松平家、
   とりわけ幕末最後の藩主松平容保は正之の遺訓を守り、佐幕派の中心的存在として
   最後まで薩長軍と戦っている。地元の有志たちは保科正之を題材にしたNHKの大河
   ドラマ制作を願ってキャンペーンを張っていた。

    最後に訪れた光前寺はここ諏訪地方の天台宗の寺歴の古いお寺で別格本山に列せ
   られる格式のあるお寺だった。寺領は広く鬱蒼とした松の古木が茂り、遊歩道が縦横
   に走っていた。このお寺の枝垂桜は有名だが残念なことにまだ蕾で、代わりに水仙が
   一面に咲いていた。

    目的地をすべて廻り、駒ケ根ICから中央道に入り20時ごろ横浜に到着した。2日間
   で300キロの旅だったが、どうやら無事に旅を終えることが出来た。