四国・よさこい祭り。      07、08、10〜12
 8月10日から3日間にわたる高知市のよさこい祭りが終わると、続いてお隣の徳島市の阿波踊りが始まり、
 四国のこの1週間は熱狂的な夏の踊り一色に包まれます。高知のよさこい祭りは今年で54回目になるそう
 ですが、いつの頃からか「新よさこい」と呼ばれる踊りに変わっています。1連が100名を超える若手の踊り
 手が今年は170連、つまり1万7千名強の踊り手が先導車のアンプから流れる強烈な高音のよさこい音頭
 に乗って激しく踊りまくります。衣装はそれぞれの連が趣向を凝らした派手なもので、なにか暴走族を思わ
 せるような衣装も多々ありました。札幌の雪祭りの時に見た北大生を中心としたよさこい踊りがそもそもの
 発祥のようですが、私はどちらかといえば若者が激しく踊りまくる「よさこい」よりも、優雅な阿波踊りのほう
 が好みです。どちらにしても南国四国の踊りは陽気で熱狂的で、東北地方の盆踊りや風の盆のような、秋
 近しを思わせる趣のある踊りではありません。Tグループ生管OB会の今年のよさこい見物参加者は最年長
 83歳のYさんを筆頭に10名。最盛期には20名を越す賑やかなものでしたが、皆寄る年波には勝てず、少
 しずつ歯が欠けるように参加者が少なくなってきました。それでも昔仲間はありがたいもの。幹事さんの適
 切な事前準備もあって3日間の夏の四国をドライブして楽しんできました。


 本州から四国に自動車で行くルートは3通りです。
 神戸から淡路島を抜けて鳴門大橋を渡り徳島県の鳴門市
 に抜けるルート。岡山から瀬戸中央道で瀬戸大橋を渡って
 香川県の坂出・丸亀に抜けるルート。広島県の尾道から
 しまなみ街道で因島など6つの島を渡り歩いて愛媛県の今
 治市に抜けるルートの3通りです。
 我々は岡山でレンタカーを借りて坂出に抜け、そのまま南
 下して高知市に行くルートを取り、帰りは松山から今治を通
 り、最も美しいといわれる写真のような絶景を見ながら、しま
 なみ街道を尾道に抜け、新幹線でそれぞれの家に帰宅しま
 した。さすがに四国を知り尽くしたKさんの選んだルートは素
 晴らしく、実に洗練された旅先案内人ぶりでした。
 よさこい祭りの1風景。
 このような若者の連が170連も続いて踊りまくります。
 少々耳がおかしくなるほどの音の大きさに閉口しました。
 私はもう少し日本情緒のある踊りのほうに魅力を感じます。
  
  南国の名城・高知城は高知市街の中央にある典型的な
  平山城でご存知山内一豊の居城。城内に一豊夫人の
  お千代と馬の像などがある。


  桂浜。(右の写真)
 土佐の傑物・坂本竜馬が幼少時代、ここ桂浜から毎日太平
 洋を睨み天下国家を考えていたのでしょうか。土佐は北側
 が四国山脈に遮られたおよそ都会の文化からは隔絶され
 た僻地。南に広がる雄大な太平洋を見つめる事だけが当
 時の若者の未来思考を高める場所だったに違いない。僻
 地の土佐が多くの偉人を輩出した謎をおぼろげに納得でき
 る思いがした。この桂浜に太平洋を睨んだ竜馬の大きな像
 が建立されている。


 この日の宿泊は土佐ロイヤルホテル。地元販売店の方の
 差し入れもあって少し度を過ごした夕食となった。因みにこ
 の日は近くのゴルフ場で全国中学・高校ゴルフ選手権大会
 が行われていて、今をときめく「はにかみ王子」こと石川遼
 クンもこのホテルに同宿していた。
高知から高速道路を西に約2時間半走ると松山に着く。
 ここは松山城。やはり市街地から一望できる姫路城など
 と並ぶ平山城の名城。天守閣を始め沢山の出城が残っ
 ていて見ごたえがある。
 この日は夏の暑さが厳しくて城内の茶店のビールのう
 まかったこと。「花より団子」ならぬ「景色よりビール」で
 あった。

 松山といえば正岡子規と夏目漱石が双璧だが、私には
 秋山好古・真之兄弟のほうに関心が高い。司馬遼太郎
 の「坂の上の雲」に詳しく登場する日露戦争の若き海陸
 軍人の兄弟出生の地だからだ。真之と子規は松山中学
 の同級生で、二人とも文学に志を持っていたことが子規
 記念館に展示されている資料にも明らかだった。
   左の写真は松山市内のおなじみ道後温泉本館。
 入浴値段は400円から1200円まであってお好みのコース
 を選択できる。
 夕方から夜までの時間帯は行列ができるほどの混雑振りな
 ので我々は朝6時に入浴した。湯船は1階から3階までに6
 つあるそうだが、日本最古の温泉と自慢するとおり石造りの
 古風な湯船などはなかなか趣があった。ただし次から次に
 入浴客が入ってくるので落ち着いて入浴できず、早々に引き
 上げてホテルの露天風呂に飛び込む始末になった。入浴を
 楽しむというよりも観光名所のひとつというほうが当たってい
 る。
 

 2日目の宿泊は道後温泉宝荘。昨日の土佐のホテルと違っ
 て商売っ気よりもおおらかな松山らしいほほえましい心のこ
 もったもてなしが好印象。夕飯に明石の鯛めしが出る。つい
 最近私の作った鯛めしよりも流石に旨い。だしを押さえ気味
 にしているところが上品な味に仕上がっている。大変参考に
 なった。
 ここ松山は古風なところと現代風のところが妙に溶け込んで
 マッチしている落ち着いた小奇麗な町並みで、住んでいる住
 民もさぞかし漱石の「坊ちゃん」に登場するほほえましい純朴
 な人種なのであろうと勝手に想像したものである。
 私の気に入った町の1つであった。


 
帰途、平山郁夫記念館などを見て四国探訪の3日間の旅は
 無事に終了したが、何といってもK名幹事の優れた事前準備
 が光った旅であった。このOB会の幹事は、関東地区、中部
 地区、関西地区が持ち回りなので、来年は私とO氏が幹事。
 皆さんの希望も入れて来年は浅草などを中心とした江戸の
 隠れた情緒探訪をテーマにすることになった。メンバーには
 大変この手の地理に強い方たちもいて幹事の手腕が試され
 る厳しいイベントになりそうで今から頭が痛い。
 とにかく参加者がもっと多くなるようにしなくちゃ。
 

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