鎌倉散策(花と文学)。   16,06,03

   梅雨前の好天が続いている。予定していたゴルフは止めて久し振りに鎌倉
  散策に出掛けた。6月の鎌倉のお寺は季節の花が見頃になっている筈だ。

   まずは北鎌倉に行き光照寺と建長寺で墓参を済まし、東慶寺と明月院に
  向かった。東慶寺では運よく本堂裏の岩肌に群生しているイワガラミの特別
  公開中で、普段は入れない本堂なのでこの機会に珍しいイワガラミを見てき
  た。大勢の客が行列を作って待つ人気ぶりだった。

   本堂裏の岩肌一杯に小さなイワガラミの花が咲いていた。一本の木が岩
  にからみつき、本堂裏の岩肌を覆い尽くす何とも華麗な景色だった。見物客
  が列をなしてカメラのシャッターを切っていた。

    

   本堂の傍に紫色の花菖蒲が咲いていた。本堂から少し山側の坂を上ると、
  山肌に、紫色で星形のイワタバコの花が一面に咲いていた。花びらが下に
  向かって咲くのでいかにも恥ずかしげで可憐な花だった。イワガラミと同様
  に山肌に這うように群生していた。

    

   道端にどくだみの花が咲いていた。今はどこにで咲いているドクダミだが、
  八重咲きのドクダミは珍しい。

   東慶寺は云わずと知れた駆け込み寺で有名だが、我々葉山の文化財研
  究会が昨年住職を招いて東慶寺の歴史を語ってもらっている。紹介したい
  いくつかの話題があるが別の機会にしよう。

   次にあじさい寺で有名な明月院に行った。明月院のアジサイは小振りな
  姫あじさいが90%を占めるそうで、やはり観光客で賑わっていた。我が家
  のアジサイと同じでまだ8分咲きといったところで6月中旬が見頃のようだ。

   明月院は室町時代に上杉憲方が創建した禅興寺の塔頭だが、明治初年
  に廃寺となって明月院だけが残っている。20年ほど前に禅興寺がどこに
  あったのか場所を調べてみたが結局わからず、私にとっては所在地不明
  の幻の禅興寺になっている。

   由比ヶ浜通りに行き昼飯を食べて鎌倉文学館に向かった。
  文学館では荻原朔太郎特別展をやっていた。若いころ詩集「月に吠える」
  を読んだが、カミソリの刃を思わせる鋭い感性は私の好みには合わずその
  後は敬遠している。

   鎌倉を根城にした多士済々の鎌倉文士達、文士たちの肝いりで開校した
  ものの、わずか4年で廃校になった鎌倉アカデミー(旧鎌倉大学校)の写真
  や資料が陳列されている。

   作家永井龍男が初代館長だったが、その昔学生時代に、寮近くの雪の下
  に住んでいた永井龍男の家の草取りに数人でアルバイトに出掛け、出来映
  えが悪いと苦情を言われたことを思い出した。文学館の庭園のバラが綺麗
  な時期だが、生憎剪定したばかりとのことだった。

   

   墓参りの為に建長寺に車を置き(因みに檀家なので駐車料は無料)、
  光照寺、明月院、東慶寺と歩き、さらに文学館周辺の駐車場に駐車して、
  かなり歩いたので2万歩は軽く超えていよう、帰宅したらへとへとに疲れて
  しまって早々と爆睡してしまった。体力の衰えをしみじみと実感した。

   ところで白状すると、花には何の知識もない至って無粋な男なので、イワ
  ガラミとかイワタバコ、八重のドクダミなどといわれてもすべて初めて聞く
  名前である。今回家内に教わりながら実物をしっかり観察して覚えたので、
  この花だけは少々知ったかぶりが出来る。

   ゴルフでは得られない花の知識を習得した貴重な一日だった。