北海道の旅。 ![]() 初秋の旅情を求めて、北海道道南の旅に出掛けた。 札幌と苫小牧にいる昔の仕事仲間が是非立ち寄って欲しいというので、 当初レンタカーの旅も考えたが、世話になるのも面倒なので、旅行会社 の2泊3日のプランを利用することにした。 自由な行動が出来ない不便さはあるが、団体行動だから気楽な旅を 楽しめる。北海道道南の旅は何年振りだろう。仕事で札幌に行き、つい でに雪まつりを見て以来だと思うので十数年ぶりになろうか。それとも 札幌に住む従兄弟に会いに行ったのが最後だろうか。それとも高校の 同級生10数人で修学旅行の思い出の場所を忠実にトレースする旅を したのが最後だろうか。どちらが最後かは忘れたが、道南の各地には 思い出が色々詰まっている。道東には数年前に流氷を見に知床に行 ってきたのでよく覚えている。 3日間の旅日程は大変ハードなスケジュールだった。ほとんどバスで 駆け巡り、観光地での自由時間は30分足らずという駆け足の忙しさだ った。やはり北海道は広いと実感した。 1日目;東京駅発新幹線9;35分、新函館北斗駅着13;30.なんと 4時間で函館に着く。昔は青函連絡船で青森〜函館間が4時間だった。 まさに隔世の感がある。 バスで江差〜松前〜湯の川温泉と巡った。夕食もそこそこに函館山 から夜景を見てホテルに戻り、10時過ぎになってようやく入浴できた。 湯の川は修学旅行の宿泊地だったし、夜景も数回見ている。江差〜 松前は初めての探訪だから楽しみだったが、余りにも移動の時間が かかり過ぎた。 江差のボランティアガイドさんによれば、最盛期にはニシンが大挙し て海岸に押し寄せ、ニシンをタモで掬い獲ったそうな。ニシン長者が 沢山生まれたが、ばったりとニシンがいなくなってからは、町は寂れ 人口は減り、今年は5匹だけ獲れたそうな。 それでも地元の古い姥神神宮には鯉のぼりならぬ「ニシンのぼり」 が翻っているし、北前船とのニシン交易の繁栄の跡が往時をしのば せている。北原ミレイの唄う物悲しげな「石狩挽歌」が思い出された。 ”あれからニシンはどこへ行ったやら〜♪” ガイドさんによれば、近年小樽近海でニシンが獲れ始め、江差でも 期待が持てるらしい。自然は判らなことだらけだ。 次に松前に行った。江戸時代、蝦夷地(北海道)の玄関口にあたり、 交易で繁栄を極めた松前藩がここにあった。北海道最南端の地、松 前には古くはアイヌとの戦い、そして函館戦争で松前藩が滅亡する まで、ここには戦いの歴史が詰まっている。 桜の木が1万本も植えられている景勝の地、小さな松前城を散策 しながら、日本人同士の不幸な戦争の歴史に思いをはせた。戊辰 戦争の爪痕がここにも残っていた。 2日目;湯の川〜函館朝市〜元町〜五稜郭〜大沼公園〜洞爺湖〜 登別温泉。朝市で海産物の土産をたくさん買い込み元町散策。 台風と台風の狭間を縫って快晴が続き、津軽海峡からは下北半島 の大間と津軽半島が良く見え、ガイドさんも珍しい好天気と喜んでい た。今年は北海道の道東に台風が直撃して農作物が被害を受けて、 ジャガイモなど野菜の値段が高騰するらしい。 山々はすっきりと見えた。函館から大沼公園までのバスから見える 駒ヶ岳、洞爺湖から見える有珠山や昭和新山、翌日の札幌郊外から 見える羊蹄山や手稲山は、いずれも素晴らしい山容を我々の前に 見せてくれた。 北大寮歌の一節”羊群声なく牧舎に帰り、手稲の頂き黄昏染めぬ” は、雄大で牧歌的で私の大好きな歌詞だが、思わず口ずさんだ。 大沼は高校の修学旅行で級友のA君とB嬢がこっそりとボートに乗 ったと後日友人達から聞かされたいわくつきの思い出の湖。眼前の 駒ヶ岳は函館からのバスで見た姿とは違った角度の姿を見せてくれ た。 洞爺湖も見晴し絶景で、有珠山と昭和新山がくっきりと見えた。 地獄谷を散策して登別温泉に宿泊。高校の修学旅行の宿泊旅館は 第一滝本旅館だったが、まだあるのだろうか。聞きそびれた。 3日目;登別温泉〜札幌〜小樽〜新千歳空港〜羽田〜帰宅。 札幌は大通公園と時計台などを慌ただしく見て小樽へ。小樽の寿司 は有名だから、旅行会社が選んだ寿司屋通りにある店で昼食。(日 本橋という寿司屋)。ツアーの用意した昼食にはいつも失望するが、 さすがに小樽。8貫しかないが美味しい寿司だった。運河や街並み を散策して、ガイドさんお勧めのスイーツを食べ、一路新千歳空港へ。 駆け足の札幌、小樽だったので、ろくな散策も出来ず、北海道は 初めてという観光客はかなり不満だったようだ。 しかし3日間案内してくれた年季の入ったガイド嬢(?)の博識には 驚いた。歴史、地理は勿論、文学や化学、音楽など、どこで勉強した のかと驚くほどの知識だった。今まで出会った中でも出色のガイドさ んだった。3日間に亘る長時間のバスの車中で、退屈せずに過ごせ たのは、何といっても名ガイドさんの懇切な案内による。 慌ただしい旅で、企画全般には大分不満の残る無理な日程だった が、開通したばかりの新幹線とH5系の新型車両初乗車、3日間とも に快晴に恵まれた雄大な初秋の北海道の山々や、紅葉し始めた木 々と田畑、遠く津軽半島や下北半島を見渡せた太平洋と日本海の 眺望には大いに満足した。 そして初めて訪れた江差と松前の古い歴史に触れたのも収穫で、 疲れはしたものの、欲張りな2泊3日の北海道道南の旅はそれなり に合格の旅だった。 |