江戸情緒探訪・3日間の旅。 08,10、04 江戸情緒と聞いて思い浮かべるのは何だろうか。街並みか?名所旧跡か?伝統芸術か?食べ物か? 感じ方は人によって様々だろう。そんな江戸情緒探訪をテーマに、広い東京の何処かに焦点を絞って、 3日間の探訪計画を立てるのはなかなか難しい。 恒例のTグループ生産管理OB会の今年の旅は、「江戸情緒探訪」と銘打って9月24日〜26日に実施 した。参加者は、大阪、名古屋、豊田、静岡、八王子、相模原など各地から集った13名。平均年齢が 70歳以上というベテランぞろいだが皆さん元気な顔を見せてくれた。今年の幹事は関東地区の当番で、 私と相模原に住むO氏。初日、日本橋の道標で全員集合したのを皮切りに3日間をスタートした。探訪 したい候補は沢山あったが絞りに絞って入念に事前準備をしたせいだろうか、やや総花的ではあった が、無事に探訪を終了でき、皆さんの評価もまずまずでホッと胸をなでおろした。一人一人がその人 なりの江戸情緒を感じてもらえただろうか。心残りなのは、例えば本所松坂町の吉良邸から泉岳寺 までの当時の道のりを古地図を頼りに歩くとか、鬼平こと長谷川平蔵の足跡を辿るとかの、テーマを 絞った探訪が出来なかった事である。これは私の楽しみに取っておこうと思う。 3日間のスケジュールは次の通りである。 第1日目;日本橋界隈の江戸時代からの老舗店舗巡り〜上野鈴本亭で真打昇進の落語鑑賞。 2 ;築地で朝食〜月島散策(もんじゃ)〜江戸・東京博物館〜相撲博物館〜人形町で夕食。 3 ;上野・浅草散策〜駒形泥鰌(昼食)〜隅田川下り〜浜離宮〜東京駅(解散) |
1、日本橋めぐりの会という町おこしのボランティアさん の案内で日本橋室町の老舗6店を見物した。いず れの店も創業数百年、日本橋に魚河岸のあった 時代からの老舗で、魚河岸、芝居町、遊郭の三大 繁華街の集中していた往時を偲ばせる逸話をたく さん聞かせてくれた。 はんぺん、蒲鉾の神様といわれる創業320年の 老舗「神茂」の大女将さんをはじめ、訪れたその 他の老舗は、佃煮の鮒佐、鰹節の八木長、池波 正太郎の愛した更科そば屋の利休庵、人形焼の 板倉屋など。 このあと水天宮に行き、鈴本演芸場へ向かう。 |
2、古今亭志ん太改め古今亭志ん丸の真打昇進 襲名披露を鑑賞した。真打昇進だから沢山の たにまちさんがお祝いに来ていると思ったら、 案外少ない入りで拍子抜けがした。これでは 演芸場の採算も難しかろうと思われる。 昇進の出し物は「火焔太鼓」。懐かしい古今 亭志ん生の得意の演目である。 鈴々舎馬風や古今亭志ん橋が、師匠として 真打昇進襲名披露の口上を述べていた。久 し振りに聞く落語は懐かしい。 |
3、築地場外の食堂で、それぞれ勝手に好きな 朝食を取り、市場を見物して、佃大橋を渡り、 佃、月島に向かった。 築地で私は数人で「深川丼」を食べたが、ミ ソ仕立てでアサリは愛知産とあって、名古屋 の連中は大喜び。店の女将と愛知県の話で 盛り上がっていた。それを見ながら、幹事の 私は”してやったり”と、にこにこ顔で悦に入 った。 |
|
4、隅田川にかかる佃大橋を渡って佃島に入ると、 そこは一転して寒村を思わせる静かな港町。T氏と K氏はかって学生時代にこの隅田川でボートを漕ぎ、 オリンピック候補にもなった猛者、しばらくはその話 題になる。佃島には佃煮の老舗が3軒あり味は絶 品。このあと月島に行き、月島独特の路地やもんじ ゃ屋の立ち並ぶ町を散策して、昼食は”もんじゃ”。 大江戸線で両国へ行き、江戸・東京博物館を見物。 夕食は人形町の馴染みの店「大観音」で盛大に宴 会。店主は広島出身で広島商業野球部の元監督 なので酒は賀茂鶴しか置いていない。しばらく野球 談義をしていたら突然、相撲取り2人とたにまちさん が来店。店主の顔なじみらしく我々に挨拶してお酌 までしてくれた。幕下と序二段の力士(名前は忘れ た)はなんと200キロ、170キロの巨体だが、実に 素直な相撲取りだった。 |
5、三日目、今日が最終日。上野の寛永寺を参 拝して浅草まで歩く。浅草寺界隈を自由散策に する。皆さんそれぞれの思い出を作った事でし ょう。私は久し振りに「神谷バー」で電気ブラン を飲み、昔立ち寄った事のある店で寅さんが よく食べたという饅頭を1個食べる。 スポーツマンのT氏は65歳を過ぎても矍鑠と して2年間東京マラソンを完走しているので、 腹が減ってもバナナも食べさせてくれなかった 話など、しきりに浅草周辺のこの通りを走った 思い出を語り聞かせて楽しませてくれる。 昼食は近くの「駒形どじょう」。上品な料理に なっているが、昔の泥鰌鍋を思い出させる懐 かしい味だ。Kさん夫人ら二人の女性のため に柳川を用意したが、二人ともどじょうがお気 に召して心配は杞憂に終わったのが嬉しい。 |
6、勝鬨橋の近くに東陽院というお寺がある。ここ に十返舎一九の墓があり墓石に刻まれた辞世の 句は、 ”この世をば どりゃお暇(いとま)に 線香の 煙とともに ハイ左様なら” 人生の大先輩が、こうも自分も世の中もしゃれの めせる人というのは根はすこぶる真面目な上、人 恋しい情濃やかな人だ、と見事に喝破されました。 最後は浅草から東京クルーズで約40分、隅田川 を三日目、今日が最終日。上野の寛永寺を参拝 して浅草まで歩く。浅草寺界隈を自由散策にする。 皆さんそれぞれの思い出を作った事でしょう。 私は久し振りに「神谷バー」で電気ブランを飲み、 昔立ち寄った事のある店で寅さんがよく食べたと いう饅頭を1個食べる。スポーツマンのT氏は65 歳を過ぎても矍鑠として2年間東京マラソンを完走 しているので、腹が減ってもバナナも食べさせて くれなかった話など、しきりに浅草周辺のこの通り を走った思い出を語り聞かせて楽しませてくれる。 昼食は近くの「駒形どじょう」。上品な料理になっ ているが、昔の泥鰌鍋を思い出させる懐かしい味 だ。Kさん夫人ら二人の女性のために柳川を用意 したが、二人ともどじょうがお気に召して心配は杞 憂に終わったのが嬉しい。り、浜離宮が最後の立 ち寄り所。由緒ある庭園を見ながら、K幹事長が 旅の総評をして解散となった。 |
7、さて江戸情緒探訪の旅はこうして終わっ たが、考えてみれば、訪ね歩いた場所の 良さもあるが、13人の仲間のお互いの思 いやりと親切、優れた見識と巧まざるユー モアが”江戸の情緒探訪”という難しい課 題を成功裏に終わらせることが出来た第 一の要因だったと、改めて感じさせられ た3日間だった。 来年は中部地区が幹事。どうやら中仙道 の飛騨路から上高地方面が候補地にな っている。 皆さんそれまで元気に体を鍛えましょう。 |