箱根CC開場記念杯。    18,07,22

   今年も開場記念杯の季節がやってきた。ゴルフ場の食堂とベランダに和洋中華それぞれの
  コーナーをしつらえ、それぞれのコーナーのシェフが自慢の料理を取り分けてくれる。

   ステーキもあれば、シュウマイや小籠包、サラダからチャーハン、天ぷらからソバから冷や奴、
  お寿司もある。屋外の屋台では、威勢のよい板前が焼き鳥、焼きそば、おでんなどを皿に盛っ
  てくれる。生ビールからソフトクリーム、ウーロン茶などの飲み物も用意されている。

   家族を含めてすべて無料だからメンバーさん達とご家族には大変好評で参加者は多い。また
  メンバーは当日のプレーはすべて無料。1年に1度のイベントで、他のゴルフ場ではお目に掛か
  れない箱根CC独自の特色あふれたイベントである。

   今年も家内同伴で行ってきた。土曜日は数え年で70歳以上のA組のみ、日曜日は70歳未満
  のB組に分かれ、それぞれの入賞者にはゴルフ場から記念品とゴルフ場専用の商品券が授与
  される。かって私は参加者ほぼ100名中2位になり、立派な盾を細川理事長から渡されたことが
  ある。この盾はホールインワンの2つのトロフィーと一緒に応接間に飾ってある。

   今の理事長は、細川さんに代わって岩崎俊男さん。曽祖父が三菱財閥の総帥・岩崎弥之助
  (弥太郎の弟)という毛並みの良いエリート御曹司である。

   連日の猛暑が続くので熱中症が心配されたが、さすがに箱根CCは海抜700メートルで外輪
  山に囲まれた「壺中天地」と謳われた別天地だけあって、下界とは気温が4度は違う心地よさ
  だった。加えてゴルフ場に到着したときに、支配人が私に特別の配慮をしてくれてカートを用意
  してくれた。お陰で箱根のメンバーになって初めて乗用カートのお世話になったから、18ホール
  を疲れることもなくラウンドできた。真夏の乗用カートの有難味を十分に感じた。

   スコアは56,54と相変わらずの悪いスコアだが、まあこんなものだと納得している。パート
  ナーのSさんが植物に詳しく、コースサイドの花をいろいろ教えてくれたので、もっぱらスコアよ
  りも花の写真撮影に関心があったラウンドだった。

   写真の左から、①ヤマユリ(神奈川県の県花) 次に②ハコネカンゾウ(ユリ科) 下段がシシ
  ウド(せり科の多年草)。Sさんが解説してくれたこれらの花がラウンドするプレーヤーの目を癒
  してくれる。こんな素晴らしい箱根CCを今年で退会する予定だが、後ろ髪引かれる思いがして
  気持ちがぐらついてしまう。


   
 
  

   余談だが、箱根CCの前理事長の細川さんは湯河原で陶芸や書や絵画を楽しむ悠々自適
  の生活をされているが、政界引退後の処世訓に「跡なき工夫。」というのがあるそうだ。

   この意味は自分の過去の足跡を残さない。すべて消し去ることだという。真意の程は聞くべ
  くもないが、自分の過去に未練のない私にとっては我が意を得たりと思わず膝を打ちたくなる。
   足跡を残す工夫をする人がいるかと思えば、私のように足跡を消そうとする人間もいる。

   思えば企業から去って16年。私は至る所で「跡なき工夫」を実践し、また仕掛けてもいる。
  これは生涯変わることがなかろう。

   生まれてから郷里を離れるまでの18年間、花の都での学生時代の5年間、寝食を忘れて
  仕事に没頭した42年間、現在が老境に入った第4期にあたる。

   純真無垢の第1期、社会の矛盾に怒った苦学生の第2期、企業の盛衰の真っ只中で苦闘
  した第3期、現在がようやく趣味に安寧を求める第4期である。下手なゴルフもいよいよ終末
  期に近い。振り返れば、人生すべてうたた荒涼である。