快挙達成!!             
                                 
  2005年10月13日、この日ゴルフを始めて初めてのホールインワンを記録した。

 場所は名門箱根カントリーの10番ホール。午前中のハーフが53という悪いスコアだった
 ので、やややけ気味のアルコールが少し度を過ごし後半をスタートした。距離は175ヤード。 
 ドライバーの距離が190ヤードしか飛ばない私はいつもこのホールでは7番ウッドを使用
 してグリーン手前のラフにつかまります。キャディさんが首をひねるのに委細かまわずバッ
 グからドライバーをやおら引き抜きティーグランドに立った。

  風はややアゲインスト。ほろ酔いの頬に微風が心地よく、やや打ち下ろしのグリーンの
 ピンフラッグがひらひらと揺れて、まるで屋島の平家の小舟に掲げられた扇が「いらっし
 ゃい。」とあざ笑うかのように妖しく私を招く。那須与一張りに振った私のドライバーが一閃。
 高く上がったボールは秋空に放物線を描き見事にワンオンした。

  ツーバウンドしてスライス気味に2mほど転がりピンの根元でボールはスッと消えてしまった。
 一瞬「感激」とか「茫然自失」とはおよそかけ離れて頭がしびれ「事故がおきた。」「えらいこと
 になった。」という思いが頭を掠めた。平家の扇が見事に射止められて我が膝下にひれ伏し
 ているというのになんという情けないさもしい根性でしょうか・・。

  パートナーの3人に祝福されたり事後のマナーなどを教わってようやく我を取り戻しグリーン
 に上がりピンを抜いてカップを覗いたら間違いなくツアーステージno8のマイボールがカップの
 中に鎮座ましましていた。

  この日は三友会の定例例会。「三友会」とは明治、大正、昭和生まれの三代が仲良くプレー
 しようという趣旨で始まった会だが、今では「80代」「70代」「60代」の三代ということになって
 いて毎週木曜日に例会が開かれる。

  この日のパートナーは85歳の府川さん、73歳の天野さん、60数歳の鈴木さん、皆さん古く
 からの箱根カントリーのメンバーで特に府川さんは85歳でなお矍鑠としてドライバーが200
 ヤードを軽くオーバーする偉丈夫なスポーツマン。私にこのような場合の箱根カントリーの通
 例をいろいろと教えてくれた。キャディさんに寸志を渡しフロントで証明書の手続きをして、
 これからの交友の面々に対する謝意をどうするかを頭に描きつつ安全運転で帰路に着いた。

  今までパートナーのホールインワンを目撃した回数が5回、幸運のキューピッド、福の神に
 はなり得ても自分が主役になることは一生あるまいと諦めていた。40数年この種の事故に
 備えて多額の保険金を払い続け今年あたりからそろそろ減額を考えていた矢先の出来事で
 ようやくその恩恵に預かることが出来た。天災は忘れた頃にやってくる。昔の人はうまいこと
 を言う。皆さんもいつ何時私のような「幸運の事故」に巡り合えぬとも限りません。事故の予防
 対策をおさおさ怠り無くせっせとにゴルフ道にお励みください。
   多謝多謝!!

 後日談。
 ホールインワン証明書なるものがあって記載項目の中に
  「使用クラブ」の欄があります。いかに175ヤードとはいえ
  ショートホールでドライバー使用というのではみっともない
  事この上もありません。しばし迷った挙句いとも軽い気持
 ちで「7番ウッド使用」と虚偽の記入をしてしまいました。

 しかし帰宅後次第になんというばかげた記載をしたのかと
  いう自責の念がつのり頭を離れなくなりました。「虚栄。」
  「虚偽。」 私が最も唾棄すべきものとして嫌っていることを
  この期に及んで肝心要の場面で自ら犯してしまうとは・・・。

 「虚栄」が虚偽を生み「虚偽」が「隠蔽」を生み、「隠蔽」が
 「不正」を生むことは企業人として心すべきことです。

 68歳にもなってとうに無縁になっているはずの「見栄を張
 る虫」がまだ身中に巣食っていたとは、私の未熟さをつくづ
 く感じて情けなくなりました。

 私のもう一つの嫌いなこと「隠蔽」の愚をを犯さないために、
  そして虚偽の申請をした未熟さを戒めるためにこのことを
 公表し、誤記をした「ホールインワン証明書」は自戒のため
 の大切な宝物にします。まだまだ修行が足りませんね。
 恥ずかしい、恥ずかしい!。


  記念トロフィーにも「7番ウッド」
と印されています。

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