真夏のシロギス釣りと天ぷら。     1,07,16

   政治は混迷を極め、経済はEUの通貨不安に脅かされ、私の出身会社では吸収だの合併だの
  と騒然として役員達が意見を求めてくる。語れば長くなるしこんな生臭い話はごめんである。東
  日本大災害勃発の時、いち早く日本のエネルギー政策の大転換の議論の必要性を提起したが、
  正に今その正念場の賛否両論が展開されている。
   陸地では熱中症で倒れる人が少なくない。かくいう私も去年箱根で熱中症になってひどい目
  にあったが、海上で熱中症とはあまり聞いたことがない。陽射しは陸地と変わらないが、海風が
  心地よいためか、用心して水をよく飲むためか今のところ被害にはあっていない。日焼け止め
  クリームを塗っても赤黒く焼けるので家族中の顰蹙(ひんしゅく)を買うだけである。節電で少し
  不便だが、いうなれば我が家は天下泰平ということである。
   真夏の釣り風景はシロギスがよく似合う。しなりのある細竿で25センチもあるシロギスを釣り
  上げる感触は堪らない。ダイヤのような銀鱗が揺らめいてシロギスが海中から姿を見せると、
  今夜は天ぷらか塩焼きかとついつい微笑む、激動の世界に住む世界とは遠くはなれた至って
  単純な釣りキチなのである。
   という訳で、学生時代の友人M・S氏と東京湾の長谷川丸からシロギス釣りに出かけた。私は
  今年3度目のキス、彼は20年ぶりというので少々私のほうが「お師匠さん」である。釣り場は近
  くの猿島周り。アジはこの所低調だがシロギスは今年当たり年だと船長が言うので彼も不安げ
  な様子がない。日差しは強いが心地よい潮風のため何の心配もない。およそ4時間で納竿した
  が、釣果は私が41匹で彼は25匹。まあ順当な結果だったが、ピンギスが少なく、15〜20セン
  チサイズがほとんどで25センチの大物が数匹混じるという大満足な結果だった。もっとも、私は
  ベテラン釣り師の真似をして2本竿を操ったので釣果が多いのは当然といえば当然だが・・・。
   船宿近くの馴染みの魚料理屋で一緒に昼飯を食べ、魚談義や昔話やらをして別れた。次回
  は太刀魚を是非と所望されたので、8月を予定することにした。

   さて41匹も釣ると料理が大変。家では孫達が来ていたので、この日のうちに41匹全部を捌き、
  夕食には塩焼を提供した。残りは後日天ぷらにしたが、一度では食べきれず、とうとう3日間も
  天ぷらを食べる羽目になってしまった。シロギスの天ぷらは淡白で上品な味で、定番の野菜類
  と一緒に少々食べ過ぎるくらい食べてしまった。勿論、近所の酒屋から取り寄せた琉球泡盛の
  水割りも少々度を過ごした感があったが・・。

 天ぷらの具材は、キス、ナス、ゴボウ
 とニンジン、タマネギ、シシトウ、椎茸。

 仕上げのかき揚げ丼は桜海老と三つ
 葉。