久し振りの囲碁対局。   17,06,20

  逗子に住む家内の伯父95翁宅を訪問して、今年4度目の囲碁対局をした。
 先日秋田旅行をした時の土産の地酒「出羽鶴」と秋田名物のいぶりガッコ、それ
 に先週千葉の洲崎沖で釣ったイサキとメジナの刺身、名物の房州ビワ、今朝畑
 で収穫した大根、カブ、ナスと盛り沢山の土産を持参した。

  ご夫妻とも90歳を超えてなお矍鑠として元気で何よりだった。6年前に翁夫妻
 と我々夫婦で長崎の五島列島の旅に出掛けた思い出話を懐かしく語り合ったが、
 お互いに、もうあのような長旅はしたくても出来ない。年月は容赦なく老人の体を
 少しずつ蝕んでいく。

  翁は明日、かっての部下2人が逗子を訪れ、どこかの居酒屋で旧交を温めると
 いうので、今日は酒を控えるように私はあえて車で訪問して酒のお相手をしなか
 ったが、それを大変残念がって独酌で土産の「出羽鶴」をちびちび飲んでは奥方
 にたしなめられていた。

  さて囲碁対局だが、今年に入って私が2連勝と分が良い。今日勝てば3連勝に
 なり互先に昇格する。序盤に翁に失着があり、私が有利になって中盤を迎えた。
 翁が渾身の勝負手を放ち、局面が複雑になり勝負がどちらに傾くか予断を許さ
 ない展開になった。お互い好手を放ちあい最善手で応酬した結果、大きな振り
 替わりがあり、混沌としたが、何とか私の7目勝ちで終了した。

  翁との対局はいつも熱戦で長時間かかるが、今日も3時間を越す熱戦だった。
 これで次回からは待望の互先になる。翁の技量は全盛期に比べてやや衰えた
 とはいえ、まだまだ私の技量を凌駕している。

  折しも将棋の加藤一二三9段が若手棋士に敗れて遂に引退に追い込まれた。
 14歳で当時史上最年少の中学生プロ棋士になり、「神武以来の天才」との異名
 を取ったが、今年77歳、寄る年波には勝てなかった。一方では14歳の中学生
 の少年が28連勝に王手をかけている。将棋界も新旧交代の波が激しい。

  我々の局後の話題は、コンピューター囲碁ソフトが囲碁界を席巻した話題。
 囲碁AI「AlphaGo」が、人類最強といわれる中国の若手棋士・柯潔との3番勝負
 に圧勝した。人間とコンピューターが争うなどは邪道だという点で話は一致した。

  囲碁は勝ち負けを争うゲームではあるが、礼で始まり礼で終わる対局者同士
 の無言の対話で、おのずから「品」が備わっていなくてはならない。ただ勝てば
 いいというのは無法者の道場破りの邪剣に過ぎない。われわれはそんな囲碁を
 一生の趣味にしているのではない。翁と私は完全に意見が一致し、翁はうまそ
 うに又お猪口を口にした。

  次回は我が家にお呼びして対局する。翁の大好物の肉料理を振る舞う。トン
 カツもよし、ビフテキもよし、すき焼きもよし、健啖家の翁が喜ぶ顔を見るのは
 なにより楽しい。今度は心おきなくお酒のお相手が出来る。囲碁とお酒で私が
 お相手するのが翁の何よりの楽しみなのである。