93翁との囲碁対局。 ![]() 4か月前から、昔購読していた囲碁の月刊誌「囲碁研究」を再講読している。 数年前に購読を止めたのだが、何回も勧誘のパンフレットが届き、遂に根負けして 再講読することにした。以前は書架に積んでおくだけだったが、今度は少しは勉強 しようと決めて、毎日数十分だけでも碁盤に並べて沈思黙考をしている。 毎号「段級位認定テスト」の問題が10問出ていて、読者が解答用紙に答えを書い て投函すると翌々月号の紙面に回答者の名前と成績が載る。それを励みに読者 は棋力アップの研鑚を積むという仕組みになっている。 自分の実力が如何ほどのものか試したくて2か月前から投稿し始めたので、7月 号からはかなり上位の成績で誌上に私の名前が載る筈である。 6月号の問題の中の詰碁の1問が大変難問で、2日ほど熟考したがどうしても正解 を発見できず、放置するのもしゃくなので、遂に囲碁の師匠の93翁に助け舟を求め ることにした。4月で満93歳になった翁はまだまだ健在だ。先日は神田のやぶ蕎麦 近くにある昔から常連だった居酒屋で、昔仲間との飲み会が開かれて、1人で逗子 から神田まで出かけて参加してきた、と意気軒昂に語ったくらいである。 訪問すれば当然1局のお手合わせという事になるし、晩酌の御相伴に与かること にもなる。それもまた楽しみなので、先日旅先で買い求めておいた山陰の松江の 地酒を土産に逗子のお宅を訪問した。 93翁は先月逗子の囲碁大会で最長老、最高段者として出場し、見事4勝1敗で準 優勝して商品の米5キロを持って凱旋帰宅したと手柄話を聞かされたばかりである。 翁宅を訪問したらいつもの事だが大歓待され、我々夫婦は、土佐出身の93翁、ご 先祖が尾道か因島かの奥様に、ひとしきり長旅の土産話をした。写真を見ながら 懐かしそうに土地の思い出話をされる老夫婦としばし歓談した。 持参した難問の詰碁を並べて2人でしばらく検討したがさしもの93翁も正解が見つ からず、遂にギブアップし、お互いに宿題にしようという事にして対局することにした。 常先に打ち込まれているので私の黒番。序盤から優勢に打ち進め、中押し勝ち で完勝した。珍しく93翁はいつもの鋭さと着手の冴えが見られなかった。局後の感 想戦ではいつも通りの深い読みが見て取れたが、対局中の冴えがいまいちだった のが気になった。やはり歳なのか、勿論そんな気配はおくびにも見せなかったが 少々心配になった。お互いにしばらくは脳味噌を絞り切りましょうと激励しておいた。 土産に持参した松江の地酒を常温で旨い旨いと1合以上召し上がり、相変わらず かっての酒豪の片鱗を見せてくれた。永遠の囲碁の師匠であり人生の達人なので、 まだまだ元気で囲碁のお相手を願いたいものである。 師匠の事だから、多分数日のうちには持ち込んだ難問詰碁の解答が判ったと電 話がある事だろう。来月は拙宅で対戦することに即決した。待ち遠しい。 |