囲碁とビーフシチュー。  14,01,19

   逗子の親戚の91翁夫妻が拙宅を訪れ、今年初めての囲碁対局を楽しんだ。
  齢91歳になられても棋力はいささかも衰えない。正に驚異的である。
  おまけに健啖家で夕食はビーフシチューを所望された。晩酌は熱燗1合と決めて
  おられるが私との歓談では話が弾んでいつも2合は召し上がる。

   7年も通った横浜駅西口の料理教室「ベターホーム」で特製のドミグラスソースを
  買い求め、前夜から時間をかけてじっくりとビーフシチューを煮込んで肉を柔らか
  くして味をしみこませ、お酒は越乃寒梅を用意してお待ちし老夫婦を歓待した。

   今年初めての囲碁は互先で2局対戦し2局とも私の完敗だった。なんでもこの日
  の対局に備えて数日前から秘かに碁盤の前で囲碁雑誌と新聞を広げて囲碁の
  研究をなさっていた由を奥方から伺った。当方はそれとも知らずのんびりとテレビ
  や本読みに明け暮れていたので、その差は歴然。松浦静山や野球の野村監督
  ではないが、「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし、」だそうだか
  ら、定めしこの日の敗戦は不思議でもなんでもない。けだし当然の負けというべき
  だろう。

   それにしても91翁は強い。寸分の緩みもなく打ちまわされて翻弄されてしまった。
  鮮やかな打ちっぷりで、とても卒寿過ぎとは思えない。勝利の後の熱燗をさも美味
  そうに飲み干し高らかな笑いで終始ご機嫌だった。ビーフシチューをお代わりして
  2人前も召し上がり、”旨い!旨い!”を連発された。こちらもうれしい限りだった。

   しかしこのままでは私も引き下がれないので、次回に向けて私も俄か研鑚して
  リベンジすることを宣言してしまった。「敗者の誓い」である。

   まあニーズがあればそれなりに努力のし甲斐があるというもの。お互いに切磋
  琢磨してこそ好敵手といえるのだろう。 新年の敗者の弁、おそまつでした。