平塚囲碁1000面打ち。  18,10,14

   今年6月に師匠格の96翁が天寿を全うしてから、好敵手がいないので手ごたえのある
  囲碁は打っていない。

   昔、グループ会社の強豪達と時々仕事の合間によく打ったものだが、その中の一人が
  新横浜のさる碁会所で、毎月第2木曜日に昔仲間を集めて”天狗会”なる囲碁会をやっ
  ている。そのメンバーの一人に誘われて一度参加したら、すかさず無理やり会員に登録
  されてしまった。それはそれで楽しいので数回出席したが、如何せん新横浜は遠すぎて
  足が遠のく。というわけで最近はまともな囲碁の真剣勝負には縁が遠くなってしまった。

   10月14日、毎年恒例の ”湘南ひらつか囲碁まつり” が開催されて、釣り仲間のSさん
  と一緒に参加した。Sさんは囲碁祭りの前に訓練をしたいというので、4日ほど前に彼の
  家を訪問してお手合わせをした。彼とはこのところ7子を置かせているのだが、祭り当日
  のプロ棋士との指導碁は5子にしたいというので、私との訓練も5子で開始した。

   やはり私が勝ち続け、なんと6局も打つ羽目になり、ほとほと疲れて帰宅した。翌々日
  には例の”天狗会”があり、さらに2日後は”平塚囲碁祭り”なので、たまには天狗会に
  出かけて腕ならしをしようと思っていたが、Sさんとの指導碁をやり過ぎて疲れ果てたの
  で、新横浜は中止してぶっつけ本番で平塚に出かけた。

   九州から北海道までの囲碁ファンがこの日のプロ棋士との指導碁を楽しみにしてやっ
  てくる。平塚駅前の目抜き道路に500面の碁盤を並べ、さらにイベント会場なども一斉に
  並ぶので、商店街の人たちや役所関係者が法被を着て忙しく立ち回っている。
  
   平塚市は呉清源の好敵手木谷実9段の道場があったことで知られた囲碁のまちである。
  今日も木谷門下生や日本棋院の著名なプロ棋士が70名も参加して、1人1人が7面打ち
  をして指導してくれた。

   500面打ちが2回繰り返されるので「1000面打ち」となっているが、路上に並んでいる碁
  盤は500面で、見るからに壮観である。


     

   わたしは黒瀧正樹6段に4子を置いて指導を受けたが、途中でミスがあり不本意ながら
  途中で投了した。やはり手ごたえのあるプロ相手ではちょっとしたミスも見逃してくれない。
  つくづく実践の訓練不足を痛感した。


     

   たまたま入れ替えの空席があるというので、もう一度2局目を打つ幸運に恵まれた。
  今度のプロ棋士は若干20歳、プロになりたてのホヤホヤの鳥井2段。今度は序盤から
  中盤まで私が圧倒的に優勢を築き、プロは投了した。いくらプロ棋士とはいえまだプロ
  になりたての20歳に4子も置いて負けるわけにはいかない。巡回中の某プロも、終局
  の盤面を見て、”このまま打ち続けたら20目は違うね”と私の圧勝を認めてくれた。

   ところで、60年も昔の寮生時代に作った傑作と自慢できる「詰碁」の問題をたまたま
  書架から発見したので、この囲碁祭りに持参し、この詰碁の問題の出来映えをプロに
  評価してもらった。素人ではなかなか正解を見つけるのが難しい難問だが、武宮9段、
  日高8段はたちどころに正解を示し、「非常に良い詰碁の問題です」とお褒めの言葉を
  いただいた。

   さすがはプロ。私には彼らの頭は、今はやりのAIに匹敵すると舌を巻いたものであっ
  た。下の問題は <白先黒死>です。腕の覚えのある方は挑戦してみてください。

    

   例年、平塚の帰りには逗子の居酒屋に寄り、反省会をやるのだが、私もS氏も血糖値
  が高く、アルコール厳禁を続けている同病の仲なので、今年は控えて寂しく帰宅した。