プロ棋士の妙手に感服。  13,10,14

   毎年平塚市で開かれる「湘南ひらつか囲碁まつり」はおそらく日本最大級の囲碁イベントだろう。
  「1000面打ち大会」といって駅前の目抜き通りに500面の碁盤が並べられ、全国から囲碁ファンが
  プロとの対局をお目当てに集まってくる。抽選で当たった1000人が500人ずつに分かれて路上の
  碁盤の前に並ぶ光景は壮観である。

   対して指導するプロ棋士は木谷門下の大御所や新鋭が今年は82名も集まった。大竹英雄名誉
  棋聖、24世本因坊秀芳(石田芳夫9段)、宇宙流の武宮正樹元名人・本因坊、依田紀基元名人・
  棋聖など錚々たる第一線のプロ棋士たちである。

   私の指導をしてくれたプロ棋士は前田良二7段、大平修三9段門下の中堅有望棋士である。
  昨年同様4子を置いて指導を受けたが、中盤過ぎまで優勢を保持しこのまま終局かと楽観視して
  いたら、劣勢を意識したプロが突然隅の私の陣地に奇手を放ってきた。プロが遂にプロ根性をむ
  き出しにして本気モードになり牙をむいてきたのだった。

   そんな手がある筈がないと思ったが、よくよく読んでみると確かに妙手で、良い対応が思いつか
  ずに苦慮した。とうとう「効」に持ち込まれ、それがきっかけであちこち打ちまわされ、遂に無念の
  投了となった。

   終局後、プロから健闘を讃えられたが、あの隅の「奇手・妙手」を聞いたらにやりと笑って「私も
  プロですから。」と感想を述べられた。その場面をカメラに収めておいたので囲碁に興味のある
  方は隅に置かれた前田プロの白石(十九の4)をご覧になって黒の最善手を考えてみてください。

      

   こんな場所に手があることを覚えておいたら囲碁の醍醐味を少しは感じられるでしょう。それに
  つけてもプロ棋士とはなんともすごい手をいとも簡単に打つものだと改めて感服した。せいぜい
  「十七の2」の挟み付け位しか手はなかろうと軽く思っていたのが甘かった。

   下の写真は前田7段とのツーショットです。優しい風貌だがアマにも厳しい指導をする若手棋士
  なのです。この日は秋晴れの好天気。路上の対局だから少し汗ばむくらいだったので、帰路一緒
  に行った友人と逗子で生ビールを飲んでお互いの貴重な指導碁の感想を述べ合った。