新春囲碁打ち始め。   19,01,15

   毎月第2木曜日は囲碁好きの昔の仕事仲間たちが集まる「天狗会」の開催日である。
  場所は新横浜の碁会所「白ゆり」。正月の初対局なので天狗会の会員12名全員が出席
  してにぎやかな例会になった。

   対局前の話題は当然、9歳のプロ棋士仲邑菫(なかむらすみれ)ちゃん誕生の話題で
  もちきりだった。4月から日本棋院が新設した小学生までの採用制度「英才特別推薦棋
  士」の第1号として迎えられる。まだ小学4年生、父親が関西棋院の仲邑信也9段、母親
  が囲碁インストラクターという恵まれた環境で育ち、3歳から囲碁を教わり、さらに韓国で
  しばらく修業するという英才教育を受けている。

   日本棋院は採用にあたって菫さんに張栩(ちょうう)名人と対局させた。対局を終えた
  張栩名人に「衝撃的。恐ろしい子」と言わしめ、同じく対局した井山4冠には「自分が9歳
  の時よりもはるかに強い。いずれ天下を狙う逸材。」と言わせた天才児だ。

   囲碁界でも将棋界でも若手、それも小中学生の台頭が目立っている。囲碁界では、故
  藤澤秀行9段を祖父に、藤澤一就8段を父に持つという囲碁一家に育ち、小学4年生10歳
  でプロになり、女流四冠を達成した今が盛りの藤沢里菜女流名人(19歳)が話題の中心。

   将棋界では言わずと知れた藤井聡太7段(高1)で、連勝記録と昇段スピードが世間の
  注目を浴びた。古くは江戸末期、10歳で故郷因島から上京して囲碁のプロ棋士になった
  不敗の名人本因坊秀策がいる。4月にプロデビューする仲邑菫新初段もきっと破竹の勢
  いを見せることだろう。なにせ彼女は平日は6時間、休日は9時間も囲碁の勉強をしてい
  る囲碁好きで負けず嫌いの少女なのだから・・・。

   さて、一向に上達しない81歳の老人の今年の初対局の相手は、12名の会員中最も高
  段者のMさん。棋力がほぼ同じなので席亭さんの指定で互先で対局した。2局対局して
  1勝1敗、かなり後悔の残る内容だったが、これは数手先まで読み切る根気が薄れてい
  るのが原因。歳とともに衰えてくるのは当然だが、何とも悔いの残る後味の悪さだった。

   猛省して帰宅し、思うところがあって翌日日本棋院出版部に囲碁の教本2冊を注文し、
  目下連日並べ直している。
              「基本定石の周辺」 安斉伸彰 著
              「白番で勝つ方法」 秋山次郎 著

   頭脳は使わないと衰える一方だそうだから、もう遅いかもしれないが磨き直せるうちに
  脳みそを駆使するのが老化防止にも健康にもよいだろう。いまさら上達したいのではなく、
  直観力の衰え、読みの力の衰えをこれ以上進ませたくない。ひらめき力と根気を恢復し
  たいという年寄りの切なくも悲しい性である。

   長年の好敵手だったK翁が亡くなり、今は天狗会しか腕試しをする機会がない。新横
  浜まで出かけるのは一苦労だが、今年はせっせと通うつもりである。昔よく通った横浜
  西口の「宇宙棋院」にも私を待っている友人がいるので、たまには顔を見せるのもよい
  だろう。

   他には地元葉山の釣りクラブの会長との指導碁対局がある。今は7子で指導している
  がそろそろ5子か6子に昇格させるつもりである。こちらは指導碁なので勝負というよりも
  「テスト」の意味合いが強い。