第15回湘南ひらつか囲碁1000面打ち大会。  10,10,11

    金紙をちぎって貼り付けたような、という表現がぴったりの金木犀の花が咲き始め、ほのかな香りがあ
   たり一面に立ち込める10月になると、あちこちで絵画展や書道展、菊花展などの文化的な行事が催され
   る。葉山ではこの日あいにくの小雨もようだが、我が家の近くの役場広場では「葉山ふるさとまつり」の行
   事があって、早朝から沢山の出店と来客で賑わっている。孫二人が早くも来宅して家内と娘と一緒に「ふ
   るさとまつり」に出かけていった。

    平塚市恒例の囲碁1000面打ち大会も毎年この時期に行われる。この大会に参加し始めて10年以上に
   なるが、いつも何か新鮮な感動と充実感を与えてくれるのでこの日は待ちに待ったイベントなのである。
   10月10日、昨夜からの豪雨、今朝の小雨もすっかり上がって爽やかな秋の空が顔を見せ始めた。心配し
   たのがうそのような秋晴れである。釣友会の会長のSさんとは去年から一緒にこの囲碁祭りに行き始め
   た。彼も滅多にない専門棋士と打てるチャンスを喜んで、この魅力のとりこになりつつある。会場は雨を
   予想して500面を並べた目抜き通りのパールロードの道路一面にテントを張り巡らす物々しさだったが、
   結局晴れ渡ったので無用の長物になっていた。あわただしく準備した関係者の苦労が偲ばれるというも
   のだ。

    ただ財政難からだろうが、去年から対局料を取り始めたので、全国から来る囲碁好きの対局希望者は
   めっきり減っている。以前は競争率の高い抽選だったが、今では希望者はほぼ全員対局できる競争率に
   低下した。特に小中学生の対局者が激減した。未来を担う子供達のチャンスをみすみす奪う愚策は即刻
   改めるべきだとつくづく思う。目先にとらわれた平塚市の失政である。

    私は、午後1時からの1回目と、午後3時からの2回目の両方の指導対局を受けた。1回目の指導棋士は
   木谷門下の筒井勝美五段。4子局で時間切れとなったが互角の勝負。2回目は坂田栄寿門下の中山薫
   女流三段。4子局で最後まで並べて40数目勝ちの圧勝だった。珍しくミスのない私の好局だった。
    大竹英雄理事長、石田芳夫24世本因坊、武宮正樹九段など木谷門下の大物はじめ、日本棋院のプロ
   棋士80名がそろって現れて指導してくれる日本でも屈指の囲碁イベントなので、彼らは囲碁の対局だけ
   でなく、親しく我々と雑談しては場の雰囲気を盛り上げるサービスに一生懸命に努めていた。
   同行したSさんは中押し負けだったが、失着を大いに悔やんでいた。私はほぼ半年振りの対局だったが、
   2局とも要所に打ててまずまずの出来映えだった。

    帰途鎌倉に降りて、以前パークホテルの利き酒大会でお世話になった”鉄砲串”に立ち寄り、焼き鳥数
   本と名酒数杯を味わい、Sさんと囲碁談義、釣り談義をしてご機嫌で帰宅した。


    中山薫女流三段。

  千葉県出身。
  23世本因坊坂田栄寿門下。
  昭和56年入段。
  平成22年三段。

  左指の結婚指輪がまぶしい人懐っこいプロ棋士
  で、対局しながら大いに笑い、大いに感想(褒め
  たりけなしたり)を話して和やかな雰囲気にして
  くれた。
  むっつり型の多い棋士の中でこんな指導棋士は
  滅多にいない。
  私の左右の対局者もいっぺんに中山ファンにな
  ってしまった。