我が家の四季の花。9月。                09,09,20

  秋冷の心地よい季節である。春の七草は食を楽しむのに対して秋の七草は花を見て楽しむといわれている。
 女郎花、薄、桔梗、撫子、藤袴、葛、萩がそれである。我が家の庭には萩が真っ盛りに咲いている。1年前の
 備忘録を紐解いて9月の欄を見たら、「今年は辞任の年」と書いてあった。福田首相の退陣、麻生内閣の誕生
 と直後の中山国交相の失言辞任が9月。目を世界に転ずると、リーマン・ブラザーズの経営破綻が9月。アメリ
 カ発の金融不安は全世界に及び、その後遺症から今も回復することができていない。
  あれから一年、総選挙を経て世界が注目する日本の政治の仕組みの大改革という壮大な実験の幕が切っ
 て落とされた。実験とは決して一度で成功するものではない。失敗が繰り返されて初めて果実を得るものだか
 ら多少の頓挫には目をつぶる我慢が必要だろう。大事なことは、政・官・マスコミだけでなく国民すべてが、こ
 の壮大な実験が今の日本にどうしても必要だと心から認識することなのであろう。
  かって優れた経営者だったS会長から熟読を勧められた「貞観政要」(呉 兢著)は経営者必読の書と言わ
 れたが、その一節に「帝王の業、草創と守成といずれか難き。」と太宗が侍臣に問うくだりがある。つまり現代
 風に言えば攻めと守りについての問いだが、「変化「と「継続」についての問いともいえる。いうまでもなく国民
 は現在の政治風潮に危機を感じて「変化」を求め今その船出に向かっている。鳩山首相の印象を菅直人は
 「真っ暗闇の絶壁の下が水なのか岩なのか判らなくても、スタスタと進んで飛び込んでしまう」大胆不敵で度
 胸があり、勇気と「危うさ」の同居する人間。と活写した(天声人語より)が、一億の民の命運を道連れにして
 絶壁に飛び込もうとしている首相に、我々は未来をを賭けたことになる。鳩山・一郎内閣などと揶揄されても
 怯む事のない前進を期待して見つめよう。
  「改革とは痛みを伴うもので、痛みを伴わないのは改革とは呼ばない。単なる変更にすぎない。」かって座
 間工場の閉鎖と3000人の人員削減を柱とする経営建て直し計画を発表した日産自動車の辻義文社長の宣
 言を思い出す。幸いなことに現在では「セーフティネット」という便利な受け皿造りの思想が定着していて弱者
 救済の方策も講じられつつある。勇気を持って時に蛮勇を奮って改革に猛進してもらいたいものである。
  特に私は地球温暖化対策として2020年温室効果ガス90年比25%減を宣言した先見性を高く評価する。
 この大目標はオバマ大統領の核兵器根絶宣言と並んで、人類を破滅から救い新たな活路を示す21世紀の
 最も優れた先見性ある宣言だ。現実直視の産業界の大反対はあってもこの二つの目標は必ずや第2、第3
 の産業革命の呼び水になることは間違いない。
  秋の七草を愛で、西日に輝く相模湾の夕暮れを見ながら、時に静かに時勢を思うのも悪くはない。

  我が家の萩はご覧のとおり赤紫。毎朝の散歩
  道には白や赤紫の萩の花が一面に咲いている。
  その他、七草にはないが道端には薄い水色の
  「るりまつり」が可憐な五瓣の花びらを咲かせて
  いて目を楽しませてくれる。


  「秋の野に 咲きたる花を 指折り(おゆびおり)
  かき数ふれば 七種(ななくさ)の花 、萩の花
   尾花葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝貌
  (あさがお)の花」 (山上憶良 、万葉集)