ミミズの戯言901億総評論家。  18,03,16

   連日のスキャンダル一色の新聞テレビ報道の過熱ぶりにはあきれるばかりである。

   新聞、特に朝日は特ダネをものにして以来、執拗なまでに森友学園の国有地取引
  をめぐる財務省の決裁文書の改ざん問題を追い続け、1面から3面まで公文書改ざ
  んと政治家の関与、元理財局長の偽証の記事であふれている。

   テレビは朝からどのチャンネルをひねってもいわゆる財務省OBをゲストに迎えて、
  財務官僚でしかわからない官僚と政治家の裏話や、もっともらしいご高説、ご託宣を
  報道している。森友学園騒動は当分おさまりそうにない。

   それにしてもマスコミのスキャンダル報道は執拗だ。庶民はこの手のスキャンダル
  報道は大好きだから、マスコミも心得ていて、いろんな情報を流す。特に主婦は私な
  どよりはるかに情報通でよく知っている。国民はにわか物知りの評論家になり、国民
  1億総評論家の様相である。

   国民が政治に関心を持つことは喜ばしいことだし、政治家や官僚の腐敗に対する
  批判や怒りはこれまた歓迎すべき事である。しかしこうしたスキャンダルのにわか知
  識を茶飲み話にしてうっ憤を晴らしても、すぐに忘れてしまうのが日本人の国民性で
  もある。

   ニュースバリューがあり、情報が新鮮なうちは新聞やテレビは大騒ぎするし、国会
  では野党が鬼の首を取ったように政府や官僚いじめをするが、次の新しい特ダネが
  生まれればすぐにそちらに関心が移ってしまうのは何度も経験している。

   多くのマスコミは政治の腐敗を正すことに正義を感じるらしく、連日大々的に報道し
  ているし、野党はこの時とばかり結束して官僚や閣僚を辞任させることに躍起である。
   
   野党や多くのマスコミに問いたい。公文書改ざんを見つけ出し、右往左往する官僚
  たちをつるし上げて、その果実として何を求め、何を国民に訴えたいのかと。

   公文書管理法を盾にして政権を揺さぶり、あわよくば倒閣に結び付けようとするの
  が民主主義とでも言いたいのだろうか。揺さぶった後をどうしたいのかの展望には
  一切言及していない。まるで韓国の大統領弾劾騒動と同じではないか。三文週刊誌
  の論調などは論外である。

   政府の政策を追及し、堂々の論陣を張り、次の政策展望を示してこそ政権交代の
  意味があるのではないだろうか。けたぐりで倒してもそれは王道ではない。

   国会は空転してまともな審議すら行われていない。今国内外では日本の運命を左
  右する大きな出来事が続発しているのにまったく話題にすらならない。スキャンダル
  の責任追及が無駄だというのではない。のめり込み過ぎるなといいたいのである。

   国内では改憲の動きが着々と進んでいる。1兆円を超える財政赤字の解消策もな
  い。関税をめぐる保護貿易の動きも加速している。雪解けかどうかが危ぶまれるもの
  の、韓国と北朝鮮の南北首脳会談や、歴史的な米朝首脳会談も実現しそうで、国際
  情勢は極めて急激に刻一刻と変化している。
 
   日本の立ち位置を確かにしておくことが、いま最も重要に思われる。

   日米、日韓、日朝、日中、日露、日欧の立ち位置の明確化が喫緊の課題であろう。
  拉致問題の解決を米朝会談にどう組み込ませるか、トランプ大統領が掲げる鉄鋼・
  アルミの関税アップ宣言にどう対処するかにも日本の外交力が問われる。
  英ロ関係も、ロシアの元情報スパイの暗殺未遂事件で一触即発の緊張関係にある。
  
   国会で審議すべき事項は山積している。スキャンダル追及一色の国会やマスコミ
  報道が早く鎮静化して、一日も早い正常な国会審議とマスコミ報道を期待したいもの
  だ。