ミミズの戯言85、人生70万時間。 17,07,15

  10年前、初孫が誕生した時の心境をHPに書いたことを思い出して読み返してみた。
 なかなか味のある文なので抜粋して再掲してみよう。

  「先日岐阜の友人から、古希記念に自費出版したという立派な自伝書が送られてき
 た。その一節に人生70万時間という話が載っていた。確かに人間80年生きるとして、
 80×365×24=70万時間ということになる。

  そして幼児から15,6歳までの義務教育の時間(14万時間)と、睡眠時間(20万時間)
 と仕事の時間(約7万時間)とを差し引くと、その人の考え方でどのようにでもなる自由
 な時間は30万時間ということになる。

  この30万時間を無為に過ごす人と有意義に過ごす人とでは人生の価値というか、
 膨らみが全然違ってくる。どうやら人の生き様は仕事に費やした7万時間と自由になる
 30万時間の使い方次第で価値が決まるといっても過言ではないようだ。

  そしてそのキーワードは人との出会い、人との交わりにあるように思える。ジャンルを
 問わず、優れた友人を持ち、折に触れ美しいものを見たり聞いたり食べたりして年輪を
 深めた人にはその人独特の味わい深い魅力がある。

  願わくば私もその道を辿り続け、それをさらにふくよかにしてくれる「人との出会い」を
 もっと大切にしたいものだ。人に学び、人と遊ぶ。それも ”ちょっと学んで、うんと遊ぶ” 
 これが人生の達人だ、と洒脱な恩師に教えられた。

  今70歳の私には80歳までの時間は10万時間も無いが、まだ膨大な10万時間がある
 と考えて、人との交わりを大切に心豊かで貪欲な余生を過ごしたいと思う。

  初孫よ!君らしい素敵な70万時間を送り給え!そして迷惑だろうが、これからたび
 たびこのHPに登場してもらうよ。」



  この文をHPに載せた時から10年の歳月が流れた。危うい時もあったが健康に恵
 まれて80歳になった。この10年間、正確に言えば9万時間を果たして有意義に過ご
 したかと自問してみると、はなはだ心もとない。

  しかし90歳までまだまだ9万時間もある。無為に過ごすのではなく、やれることを
 やるために、一歩でも前に進む「好奇心」と「「健康」を保ち続けたいと思う。

  釣りやゴルフや囲碁という生涯の趣味を満喫しつつ、読書に親しみ、世の中を慨嘆し、
 家族をいつくしみ、愚痴を言い続けてたしなめられ、1合の酒に舌鼓をうち、孫の成長
 に目を細め、たまには温泉旅行を楽しみ、半農半漁の田舎者で生涯を過ごし、2020
 年の東京オリンピックと翌年の金婚式を目標に、やりたいことをやり尽くして後悔のな
 い終末を迎えたいものだ。

  人生の終末といえば世界終末という概念もある。核戦争などによる人類の絶滅(終
 末)を「午前0時」とし、その終末までの残りの時間を「0時まであと何分」という形で象
 徴的に表す時計を、世界終末時計という。1947年から始まったこの時計は、今まで
 でもっとも危険な時が米ソの軍拡競争が激化した1984年の「3分前」だった。

  現在はトランプ大統領の登場と北朝鮮の跳梁によって2番目に危険な「2分30秒
 前」になっている。

  私の終末時計の残り時間は神のみぞ知るだが、まずは2021年の金婚式までの4年
 間、4×365×24=の3,5万時間を残り時間と仮置きして、その間、やりたいことをや
 り切り、悔いを残さぬように過ごすことにしよう。