ミミズの戯言68、
カウンターデモクラシー。15,09,21

    もはや何をか云わんやである。安保関連法がとうとう参議院も通過して成立した。
   どんなに野党や国会内外で反対の声が上がろうと、数に勝る政府与党の数の力の
   前では空しい抵抗に終わる。

    各報道機関が一斉に今回の安保法制成立に関して世論調査を行った。
   安保成立反対は、朝日51%、日経54%、毎日57%、読売58%で、国民の概ね
   6割近くが反対だった。また国会で議論が尽くされたかの問いには各紙8割がNO
   と答えている。憲法違反だと思うが毎日では60%に及んだ。

    一方内閣支持率を見ると、朝日35%(不支持45%)毎日35&(不支持50%)
   読売41性のはき違えだ。社会の声はどうしても多数派の声には
   おさまりきらない。代表制とカウンター・デモクラシーは相互に補完しなければなら
   ないものだと思う。

    デモは国民の健全な意思表示だ。60年安保同様に国民の直接行動は安倍総
   理によって無視された。おそらく55年前の岸首相が安保改定反対のデモを無視
   したと同様に、今回の反対デモの無視で、さぞかし”尊敬する祖父と同じことをや
   った!”と心中快哉を叫んでいることだろう。

    憲法違反の疑い濃厚な安保法制、憲法の解釈改憲、悪知恵の報いは必ずや
   ってくる。SEALDs(Students Emergency Action for Liberal Democracy - s)等、
   若者の政治への急速な関心の高まりと行動力に、その萌芽が見え始めた。

    憲法学界の重鎮、京大名誉教授の佐藤幸治氏は「内閣には、憲法の<根幹>
   を安易に揺るがす事は決してしないという「賢慮」が必要だと強く思う。」と述べて
   いる。その「賢慮」の一片すらない内閣に若者はようやく危機感を覚えた。

    憲法9条の下では集団的自衛権は認められず、その憲法解釈を便宜的に変更
   することも認められないという歴代内閣の立場を安倍政権は根本から打ち捨てた。
   まさに「根幹」 憲法で政治権力を縛るという立憲主義をも無視した。

    国際情勢の変化に現憲法がふさわしくないなら堂々と改憲の道を進めばいい。
   改憲のハードルが高いので解釈改憲の道を選ぶのはあまりにも姑息ではないの
   か。

    岸信介が好んでいたという中国の思想家、曾子(そうし)の詩にあるではないか。
   「士はもって弘毅ならざるべからず/ 任重くして道遠し/ 仁もって己が任となす/
   重からずや/ 死して後やむ/また遠からずや」と・・・。

    賢慮に欠け、知性に欠け、民意を軽視し、暴走する長州の亡霊2代目の政治に
   心からの懸念を表明する。

           戦前と 戦後を生きて 今戦前。