ミミズの戯言36、ロンドンオリンピック。12,07,26

   4年に1度のオリンピックが始まった。開会式前から始まった女子サッカーの実況放送
  テレビを真夜中に見た。快勝なのか辛勝なのかとにかく初戦を勝ってなでしこの面目を
  保った。寝不足気味でこれでは先が思いやられる。ロンドンとの時差は8時間。日本の
  ほうが8時間進んでいるので、現地時間で昨夜の午後5時キックオフは日本時間で深夜
  の午前1時になる。

   日本選手の活躍が期待される種目、特に柔道や水泳、体操や女子サッカー、陸上の
  数種目はテレビや新聞で大きく報道され国民が熱狂的に応援するだろう。しかしほとんど
  放映されない種目もある。

   代表的なのがヨット種目である。ヨットは観客の動員が難しいうえに、動きも派手さが
  なく勝ち負けが判然としない。ほぼ10日間もレースを続けて平均的な順位で勝敗が決ま
  るので、他の競技のように勝利が一瞬で決まるエキサイティングな種目ではない。これで
  は観客が興奮しないし放映しても視聴率は上がらない。新聞の片隅に小さく結果が載る
  だけのマイナーなスポーツなのである。

   国民が熱狂するスポーツは放映されるが、関心の薄い競技は放映されないのは商業
  ベースで考えれば当然のことである。五輪種目から除外されたが最近世界大会で優勝
  した女子ソフトの報道姿勢を見れば一目瞭然である。女子サッカーもいずれ女子ソフトと
  同じ運命を辿ることになるかもしれない。

   私が2000年のシドニーオリンピックに行ったとき、沿道で高橋Qちゃんが走り去るのを
  目前で見送ったが、直後の状況を知りたくても現地のテレビはどこも放映していなかった。
  のんびりとボートの練習風景を映していた。オーストラリア人は代表選手がいないので
  マラソンに全く興味がなかったのである。仕方がなく仲間が日本に電話をして”マラソンの
  結果はどうなった?”と聞くという笑い話があったくらいである。

   マイナーな種目のヨット競技に私はひそかに注目している。
  2000年シドニーオリンピック。私は7月30日から8月10日までの11日間、ヨット競技に参加
  する会社のオリンピック選出選手達を応援するためシドニーに滞在した。470級の浜崎栄
  一郎、宮井祐二君、490erの中村健二君という3人の出場選手、コーチ、スタッフ達や賄い
  のシェフ達の総勢で20人ほどの引率という役割だった。

   結果は不本意だったが、日本セーリング連盟の秋田会長・山崎副会長たちと大いに
  日本のヨット競技強化の方策を話し合い親睦も深めてきた。そんなヨットとの関わりがあ
  って、その後も会社の施策として有望なヨット選手の採用・育成強化に努めてきた。
  その伝統が今に続いていて、このロンドンオリンピックでも中村健二監督、関一人コーチ、
  RS:X級富沢慎選手、49er高橋賢二・牧野幸雄選手の5人が選ばれ派遣された。

   わが社のヨットの歴史は古く、オリンピック出場選手を見ても1988年のソウル五輪では
  470級2人、トルネード級1人、1996年のアトランタでは470級2人、2000年シドニーでは前
  述のとおり470級2人、490er1人、2004年アテネでは470級2人、490er2人、2008年北京で
  は、RS:X級1人、490er1人がオリンピック選手になっている。

   なかでも2004年アテネ五輪470級の関一人・轟賢二郎選手は日本人初の銅メダル獲得
  という快挙を成し遂げている。ヨーロッパではヨット競技と云えば日本と違って非常に人気
  があり名誉ある競技といわれ、入賞者は格別の尊敬のまなざしで見られるようである。

   今年のロンドン五輪ヨット競技は7月30日から8月10日までの11日間、場所はロンドンか
  らおよそ220`、英国ドーセット州の都市ウェーマスのポートランドハーバーで開催される。
  新聞の片隅にしか結果は載らないだろうが、心ある本HPの読者にはどうか注目して頂き
  たい。日の丸を染めたセールがイギリスの海洋に激しくはためいてトップを疾走する姿を
  期待しながら・・・。