ミミズの戯言35、小見川レガッタ。    12,07,19

    大学時代の学友S君とは最近旧交を温めていて、お互いに頻繁に誘いのメールを交換している。
   小旅行や、釣り、麻雀、会食、散歩、果ては居酒屋まで、時には夫婦そろっての付き合いをしてい
   るが、彼は74歳だというのに至極元気に動き回っている。春には桜見物に弘前から秋田経由の
   ドライブに出かけて珍しい土産を持ってきてくれたし、最近では横浜野毛にある桂歌丸師匠が座
   長をしている「横浜にぎわい座」で、一緒に新人や売れっ子漫才師の芸を見にいった。帰りに行
   きつけの焼き鳥屋で暑気払いをしたのは言うまでもない。

   中国には諍友(そうゆう)という言葉がある。率直に諌めてくれる友人の事で、日中友好に尽くした
   古井喜実氏が中国の人たちからこう呼ばれていたと聞いたが、S君は正に私の諍友(そうゆう)で
   生涯大事にしたい友人の一人である。暮れの入院時に真っ先に駆けつけてくれたのも彼だった。

    その彼がつい先週、千葉県の香取市民レガッタ(通称小見川レガッタ)に出場して予選・準決勝
   ・決勝と僅差で勝ち抜いて、とうとう優勝したと報告してきた。このレガッタは1艘にクルー(漕手)
   4人とコックス(舵手)1人の5人が乗り、400メートルの直線コースを競い合うボートの大会で、彼
   によれば予選・準決勝・決勝ともにそれぞれ5艇で争った末の優勝で、勝利を祝って若いクルー達
   とアルコール抜きの祝杯を挙げたと怪気炎の報告だった。

    コックスを務めた彼は参加者数百人中最高齢だったという。ボートはクルー全員が力を合わせる
   スポーツのため、仲間との一体感を味わうことができる最高のスポーツだと話していたが、全く元
   気なことだと改めて敬服してしまう。今週の日曜日には鶴見川で横浜市民レガッタがあり、同じク
   ルーで優勝を目指して参加するという。

    熱中症の心配やら体力に不安を抱えたまま、たかがゴルフでおたおたするのが全く恥ずかしい。
   私は彼のボートレースの前日の土曜日に今年2回目のゴルフをする。毎年恒例の箱根CC開場
   記念杯にエントリーしているからだ。ボートレースとゴルフでは体力の消耗は雲泥の差だが、なん
   とか1ラウンドを完走して彼の自慢話に一矢を報いたいものだ。週末のお互いの結果報告が楽
   しみだ。こんなたわいのない話を腹蔵なく出来る友がいることが最近とてもうれしい。