ミミズの戯言33、後期高齢者入り  12,06,27

   高校時代の友人C氏がネットでブログを公開している。美しい写真と彼の誠実な人柄
  をにじませた平易な文章が好きで毎回読むのを楽しみにしている。2か月前に後期高
  齢者になったことを少々ユーモラスに書いていたが、遂に自分のところにも「神奈川県
  後期高齢者医療広域連合」といういかめしい名前のところから赤紙ならぬ「後期高齢
  者医療被保険者証」が送られてきた。

   7月10日が75歳の誕生日なのでこの日以降はこの保険証を使用せよということだった。
  早速今まで使ってきた国民健康保険証を返却に町役場に行き、ついでにいろいろこの
  制度についての説明を聞いてきた。

   美しい日本語にこだわるある友人は後期高齢者という響きを大いに嘆き、また口さ
  がない友人はいっそ「末期高齢者」にしたらと揶揄していたが、いよいよ悪名高き後期
  高齢者制度の仲間入りとなってしまった。75歳というと4分の3世紀を生きたことになり、
  ほぼ男性の平均寿命に達したので、長生きする老人はいままでの国民健康保険から
  は脱退し、新たに老人集団だけの医療保険制度の加入者になって、若い人たちとは
  別勘定の健康保険にしようということらしい。

   財政負担の割合を国が5割、現役世帯が4割、自己負担1割にするから、老人は国
  や現役世帯に感謝して節約して病院に掛かりなさいということだ。かって健康保険組
  合の理事長を兼務していたから、増大する老人医療費の肩代わりが企業の健保財政
  を圧迫していたことは熟知している。それを承知だからこれからは尚更肩身の狭い病
  院通いになる。病院通いをしないで済む元気な老人になりなさいと言われてもむなしく
  聞こえる。病院の待合室にたむろする老人には国や若者から厳しい目で見られる受
  難の時代である。

   先日、1年更新の掛け捨て生命保険の更新をしたが、75歳になると保険料が飛躍的
  に上昇する。つまりは死亡率が高くなるため、保険会社はリスク回避のため保険料を
  上げるのは至極当然のことだが、いざ当事者になると何とも切ない話である。

   愛車にも枯葉マークが義務づけされそうだし、国からも保険会社からも75歳になると
  「姥捨て山予備軍」にされる。せめて家族からはつまはじきされず、もうしばらくは世の
  中を楽しませてもらおう。

   先日発病以来半年たったのでカテーテル再検査をしたが幸いなことに結果は良好
  だった。これからはどうも5年刻みの人生設計となるのだろう。無事に80歳の関所を
  くぐることが出来るだろうか。所有していた健康保険証も、企業健保、国民健保、後
  期高齢者健保と3度も変わった。後期高齢者医療被保険者証よ、これが最後の手形
  だから、80歳の関所を無事に通過するまで大切にします。どうぞ末永くお付き合いく
  ださい。