ミミズの戯言22。−デジタル機器ー ![]() 昨年末に、成る程と思う経験をしたデジタル機器の話をひとつ。 退職後に買い求めた文明の利器、デジカメ、ビデオカメラとパソコンの調子が悪く不便をしている。 デジカメは今のものが2台目だが夜間の写りが悪く、充電してもすぐにバッテリーが切れてしまう。また ビデオカメラは6年前に娘の結婚式の為買い求めたものだが、巻き戻しの不具合で折角撮ったテープ を再生しようとしても出来ないことが多い。パソコンはCD挿入箇所が故障して開閉が出来ないので、 年賀状の製作に往生している。と言うわけで安売りで有名な某量販専門店に出かけた。ずらりと並ん だ新種の機器が立ち並ぶショーウィンドは華やかで圧巻、最新の機器類に弱い私には場違いな景観 である。 さてデジカメだが、まだ買って3年にもならないと相談員に懸命に説明したが、どうもバッテリーの寿 命らしい。フラッシュは異常無しということだが納得がいかない。ともあれ寿命と言うのでバッテリーを 買い求めようとしたら”バッテリーは7000円もするので1万円そこそこの新品のカメラに買い換えたほ うが機能も格段によいのでお得ですよ。”と言葉巧みに勧誘され、とうとう修理を考えていたのに新品 のデジカメを買う羽目になった。 おまけに新カメラの画像をパソコンに保存するには最初に初期化のためのCDのインストールが必要 だが、肝心のパソコンのCD挿入箇所が故障しているので「my picture」に保存できない。パソコンの買 い替えは想定外だし、ブルーレイなどは高価すぎるので、係員に勧められた7000円ほどの安価な専 用レコーダーを買い求めてCD挿入の当座のしのぎにした。これで新品のカメラを心配なく使えるし、も うひとつの懸案だったパソコンでの正月の年賀状も作成できる。 次にビデオカメラ。巻き戻しの不具合を修理に出すと2万円程の費用だと若い女子係員が言う。渋々 修理依頼をしようとしたら傍らの年長の男子係員が”画面操作ではなく付属のリモコン操作で当面大丈 夫だ”との有難いアドバイスがあり200円の電池交換でとりあえず事なきを得た。しかしテープを使うこ のタイプのビデオはもう古くて寿命なのでそろそろ代え時だと言う。娘の結婚式に大活躍した最新ビデ オも6年経つと買い替え時期のようだ。新品を見せられたが今はテープなどは使わない。小型で軽量 で機能的にも優れたビデオが格段に安い値段で売り出されていた。これなら持ち運びに便利で大きさ も重さも私のビデオの半分しかない。 触手が伸びかけたが、次の言葉で踏みとどまった。”今お持ちの沢山のテープはお持ちのビデオカメ ラでないとテレビでもパソコンでも動画を見ることが出来ない。だから新しいビデオに買い換える前に 今のテープをDVDにダビングして保存しておく必要があるので、ダビングする専用の機械を購入してく ださい。その作業を終えてから新しいビデオを購入したほうがいい。新しいビデオはテープなしのタイプ なのでビデオデッキがあれば直接DVDに保存が出来ます。最近ビデオを買う人はビデオとデッキをセッ トで買う人が多いですよ。”とのご託宣だった。かくしてこの件は聞き置くだけにして、新しいカメラとレコ ーダーを購入し、リモコンに電池を入れてもらったことに満足して帰宅した。テープをDVDにダビングす る機器と新ビデオの購入、近い将来のパソコンの更新が新たな宿題になったことも自覚した。 カメラもビデオも買ってから6年も経っていないしパソコンもまだ8年しか経っていない。それが古いか らお払い箱といわれるとどうも納得できない。しかし新機種を見せられるとデジタル機器の進歩の速さ に驚かされる。修理よりも新品購入を勧められて納得するのも性能の進歩と格安さが魅力だからだ。 そういえば自動車だってそうだ。故障もなく10年も経たないのに新車に買い換えるのは、性能と価格、 つまり”value for money”が顧客を納得させるからだ。数百万もする自動車を10年で買い換えるなら ば、10万そこそこのデジタル機器を5年で買い換えるのに何の不思議も無い。その買い替えの魅力 がなくなったときが新製品開発の停滞の証であり、業界の衰退の前兆なのだろうと納得して、ようやく 成る程と腑に落ちた体験だった。 このところ我が家のカメラ、ビデオ、ビデオデッキ、パソコン、さらには携帯電話まで買い替えの時期 が一遍に押し寄せていて対応に大童である。それにしてもデジタル機器に囲まれた文化生活とは金と 手間隙がかかるものだ。 |