珠玉の言葉。 本や新聞や雑誌、講演などで心に響いた先人の珠玉の言葉を永年メモにとどめておく習慣があり、折に触れては 読み返して心のよすがにしてきたものですが、これをを整理して公開することにしました。かって若き管理職として また後年は経営者のはしくれとして、おおいに参考になったものです。沢山ありますので古い順(1970年代)から 少しずつ掲載していきます。少々裃を着たような堅い話が続きますが興味のある人には参考になるでしょう。 |
珠玉の言葉 | 教訓 |
1, 本質は何か! (豊田英二) | 私の長い人生で頭から離れない哲理です。本質を見抜く力を養えば、 上っ面の浮き草のような現象への対処などは問題ではありません。 |
2,構想は雄大に、計画は緻密に、行動は大胆に。 (日本鉱業・中村社長) |
時代は変わるし予測できない事が常にあります。 事をなしてうまくいかなかったらそれが実力。その中から次の前進の ための糧をいかに得て、また体勢を立て直して前進するかが事業の本質。 |
3, 君はどのようにしたいのか?(T社:吉田) | 自分としての絵模様(将来ビジョン)を持っているかいないかでその人間の 価値が決まる。重箱の隅の個々の問題をあちこち手を打って解決して ばかりいても空しいものです。 |
4, 雪 梅花を埋むるも 香を埋むること あたわず。 | 何ごとも信念を持ってあたれば必ずそれを感じ取ってくれる人がいる。 |
5、我がものと おもえば軽し 傘の雪。 | 説明不要。 |
6、諍友(そうゆう) | ・率直に諌めてくれる友人のことです。 (日中友好に尽くした古井喜実氏が中国の人たちからこう呼ばれました。) |
7、戦略不偏、戦術無限。 (毛沢東) | 政治においても、経営においても、また囲碁においても真理です。 |
8、疾風に勁草を知る。 (後漢書) | どんなに厳しい風が吹き荒れても野の雑草は逞しく蘇ります。 |
9、歩まねば ならぬ道あり 炎天下。 | 説明不要。 |
10、上3年にして下を知り 下3日にして上を知る。 | 説明不要。 |
11,入社式訓話より 「色々相談でき、技術とか人生観とかを教わり、 しかも自分の目標となるようないい先輩は 可能性を語るが、元気のない先輩は限界ばか り語って若い人の人生を狂わせてしまう。」 (東芝:青井舒一社長) |
良い先輩を持つ事がいかに将来の自分のために大切かを説いている。 私自身つくづく自分の幸運を感謝しており、この言葉を毎年わが社の新入 社員訓話に引用させてもらった。 |
12,高い理想や志を掲げる企業には、その志を実現 するチャンスがあるが、志を持たない企業には 決してそれを実現する機会は訪れないし実現した 喜びを味わう事もできない。 (奥田 碩 社長) |
この年頭訓話の「企業」を「人」に置き換えてみると企業人としての心構え になる。「企業は人なり。」人がいつも高い理想と志を持つように驕ること なく精進することが企業の発展に結びつく。 |
13、微吟浅酌。 (福原麟太郎) | 年老いたら晴耕雨読よりも「微吟浅酌」がいいとずっと思っていました。 |
14、君子 和して同ぜず,小人 同じて和せず。 | たいていの人は小人だと思っていれば間違いがありません。 期待はずれとか裏切られたとかいって目くじら立てるのは、判っていない 人です。 |
15、やれでやるより、やるでやる。 (真藤 恒) | バブル真っ最中の勇ましい言葉です。なつかしい〜。 |
16、「秘密」 秘密を守るのは楽しい。そして秘密を漏らす のも負けず劣らず楽しい。 (R・ ヒル) |
今で言えば企業秘密の内部告発がこの心理でしょう。 他人の知らない情報に接する「自己満足」。他人の知らない情報を持つ 「優越感」。にしばらく浸りますが、次第に秘密を抱え続ける「重荷・不安感」 と他人に漏らして共有したい「誘惑感」に耐えられなくなって、「ここだけの 話だが・・・」になってしまうのでしょう。 インサイダーに引っかからない株の儲け話の情報は喉から手が出るほど 欲しいですけれども・・・。 |
17、猫を追うより、魚を除けよ。 | 不良要因が判ったら根本対策をせよ。との教え。 猫を追っている人のなんと多いことでしょう。 |
18、兵の将たるの器、将の将たるの器。 | 人材登用の要諦です。 前線司令官までの人材。トップの将に適した人材、人それぞれ適材適所 がありこれを見抜くのがトップの識見でしょう。 |
19、改革は痛みを伴うものである。 痛みを伴わないものは改革とは言わない。 単なる変更である。 (日産 辻良文社長) |
座間工場閉鎖、3000人の人員削減など経営建て直し計画を発表して。 |
20、人間はその人の性格から4つに大別できる。 @才も徳もある賢人。 A徳が才に勝る君子。 B才が徳に勝る小人。 C才も徳もない愚人。 (史記) |
多くの経営者は自分の片腕にBの人を抜擢するかもしれないがそれは 誤り。小人は不善に走りやすく、史記では「虎にして翼ある者」と厳しい 見方をしている。むしろC愚人と組むほうがよいとしている。 |
21、綸言(りんげん)汗の如し。 | 陛下の言葉は汗のようなもので一度言ったら決して消す事ができない。 トップに立つ者は事を述べるに際して心して発言するように!との意です。 |
22、小才は縁に出会って縁に気づかず、 中才は縁に出会って縁を生かせず、 大才は袖振り合った縁をも生かす。 |
人生とは正に尊縁、随縁、結縁。 これを上手に生かせる人は人生の成功者といえるでしょう。 会社の営業マンには大事な教訓です。 |
23、貴不驕 賎不依。 (村山 富市) | 位高くとも驕らず、貧しくとも思想は売らない。 |
24、覇道を求めず、王道を歩む。 | 権謀術数、魑魅魍魎の政治の世界での政治家の姿勢を問う言葉。 これは、企業に携わる人にも充分あてはまる。 |
25、守るべきものを守り抜く冷静さと、切り捨 てるべきものを切り捨てる勇気と、そし て いずれを守りいずれを切り捨てるかを 判断する知恵を与えたまえ! (米国の神学者ラインホルド ニーバー) |
変革の時代に必要な心得。 ただ、私たちは神学者ではないのだから、神に祈ってばかりいてはなり ません。必死で判断力を磨く努力が必要です。 |
・・・・ 続き・・・・ | |
26、過去に拘る人は未来を失う。(チャーチル) | 年寄りに限りません。若い人でも過去の成功体験の呪縛から抜け切れ ない人がいますね。 |
27、青年は未来を、壮年は現在を、老年は 過去を考える。 |
このように決め付ける事を私はあまり好みません。 |
28、賢者は歴史に学び、愚者は経験に学ぶ。 (ビスマルク) |
[経験]にも尊い教訓が含まれてはいるが、[歴史]には特に学ぶべき 不変の真理が含まれている。経験は所詮自分の経験に過ぎない。 |
29、偏正回互(へんしょうえご) | 禅宗用語。 長い間に、互いが立場を変えて助け助けられ合う事。 自分が絶頂期にあっても苦境にあっても「偏正回互」の気持ちを忘れな いようにしましょう。 |
30、寒さに震えた者ほど太陽の暖かさを感じる。 人生の悩みをくぐった者ほど生命の尊さ を知る。 (詩人 ホイットマン) |
苦労は買ってでもするものだ。とはよくいったもの。 その時は「俺だけが何故?」と思っても、必ず後で報われます。 世の中は等しく上手くできています。 |
31、人生は楽しみ。苦労はちょっとした味付 け。 | 苦労の話をついでにもう一つ。 最近観た映画「死に花」で老ジャズメンの藤岡達也がボソッと言った言葉。 大変気に入ってメモしたもの。 |
32、社長遺訓。 @人を挙げるには須らく「道」を好む者を 挙げるべし。 A経営者は「無私」たれ。「無欲」である べからず。 B秘書に嫌われる者は社長に適せぬ。 (東芝社長 岩田弐夫) |
@とAは立派な遺訓ですが、Bが千軍万馬の人生経験豊かな岩田さん らしい言葉です。こう感じる感性こそ素晴らしい。 |
33、社長と副社長の違いはゴルフで言えば フロントティとバックティの違いだ。 見える景色が全く違うし打たねばならぬ 距離も段違いだ。(同じく岩田さん) |
多分そうなのでしょう。私はどちらもフロントティなのでバックティの景色を 見ることがありませんでした。 |
34、平凡に徹せよ。 平凡の持つ豊かさ、難しさが本当に判る には年月がかかるがこの平凡が本物に なったとき、これを「非凡」という。 |
最近、この意味が少しずつ判りかけました。 実に深い、人生を洞察した至言です。 まだまだ修業が足りません。 |
35、深思高飛。 (井上準之助) | これに類した言葉は沢山あります。 |
36、まず第一に「お客様の喜び」、第2に「お客 様に提供する(売る)喜び」、ご褒美として 第3に「造らせていただく喜び」。この順番 で3つの喜びが与えられるのがわがホンダ の喜びです。(藤沢 武夫) |
それまでは、発明者の本田宗一郎らしく「造る喜び」が第一だったが、 副社長の藤沢が、「お客の喜び」を根本に置いて、「造らせていただく 喜び」を最後にした。ホンダをこれまでに成長させた二人の柔らかな 思考方法に感心します。 今はお客様第一主義が当たり前の時代ですがこれは40年も前の話 ですよ。 |
・・・ 続きです。(04,07,20)・・・ | |
37、「じぶんにな」 「なまけるな」 「おこるな」 「いばるな」 「あせるな」 「くさるな」 「おごるな」 (東大寺 清水 公照長老) |
清水長老の6つの教え。 「じぶんにな」は自分に対する呼びかけです。 折に触れ、思い出してはこのように心がけていますが、所詮生身の 未熟者ゆえ、なかなか悟りの境地まで到達できません。 |
38、良い車を作り、価格を下げ、品質を保つ。 ただそれだけだ。 (カルロス ゴーン) |
ルノー上席副社長のゴーン氏がルノーを再建した秘訣を新聞記者 に問われて。 |
39、マネジメントとは「管理」ではない。「なんとか すること」。 Managerとは何とかする人、 Managementとは何とかする事だ。 (ゼロックス 小林 陽太郎) |
日本の経営書の最大の欠点は、「マネジメント」を「管理」と訳した事に 始まります。 |
40、叩いているようでさすっている。さすって いるようで叩いている。 (金丸 信) |
政治の真骨頂(要諦)を問われて。 黒幕・妖怪として権勢を振るっていた時期の言葉。これは「珠玉の言葉」 としては適当ではないが、暗黒の政治家を目指すなら至極名言だろう。 |
41、馬上少年過ぐ、世平らかにして白髪多し、 、 残躯天の赦すところ、楽しまざるをこれ 如何んせん。 (伊達 政宗) |
若いときに一生懸命働いてようやく世の中も安定し、自分も老いてきた ので、そろそろ楽しいことを求めても天は許してくれるだろう。の意。 白髪多き私の道楽も、「残躯天の赦すところ」ですよね。 |
42、知るを知るとなし、知らざるを知らずとなせ。 これ知るなり。 (孔 子) |
判るとはどういうことか? 自分には何が判っているか、また何が判っていないか、この区別がつく こと。それが判るという事です。 |
・・・いよいよ最後です。タネがつきてきました。・・・ | |
43、リーダーシップのコツは民衆の関心を分裂 させる事なしにただ一つの敵に集中させる 事にある。 (アドルフ ヒットラー) |
[我が闘争]のなかで 「天才的なリーダーは別々の敵も同じ(唯一つの)範疇に属しているよう に(民衆に)思わせる能力を持っていなければならない。」とも言っています。 プロパガンダの得意なカリスマ的経営者がカリスマ的である所以です。 |
44、小渕首相が凡人だというが、非凡の「凡」 か 凡々の「凡」かはいずれ歴史が決めて くれる。 (自由党幹事長 野田 毅) |
財政超逼迫のなかで、景気回復を図るために赤字国債を大量発行した 宰相の評価はまだ定まりません。 |
45、ベストは「尽くす」ものではない。「越える」 ものだ。 (京大アメフト監督 水野 弥一) |
ここで戦うしかない、と瀬戸際に立たされて初めて自己認識が出来る。 自分のベストを越える事でまた自分の知らない自分を発見できる。 自分の人生観、世界観が変わる。そういうことを追求する姿勢を私は 「知性」といいます。 京大のアメフトが最強な理由が判りました。なんというすごい言葉でしょう。 「ベストを尽くす」なんて言葉は甘ちゃんですぞ! |
46、道の道とすべきは常の道にあらず。 (老子巻頭の言葉) |
万物は瞬時も止まることなく変化し続けます。「変化こそ本質」です。 従って真の認識は事物を常に変化において捉えねばなりません。 ex 万物は流転する。(ターレス) |
47、「人、任務に生くべし。」 各自受け持ちの任務に満腔の誠を尽くせ。 連鎖も一環の集まりなり。一個人の不注意を 以って全工場の努力を空しゅうす。一本のピ ンもその働き国家に繋がる。各人の業務に 無駄あるべからず。・・中略・・ (豊田喜一郎) |
1938年(昭和13年)挙母工場竣工式におけるトヨタ自動車創業者、豊田喜 一郎の挨拶。この挨拶には自動車が国家的事業であること、個の任務と 集団の成果、チームプレー、わずかな不注意と重大品質、徹底した無駄 の排除、など現在のトヨタ生産方式の精神のルーツが込められています。 創業の原点とその真髄はスリーダイヤさんとは雲泥の違いです。 |
48、「覚悟」とは 「覚」とは自分の使命を覚(さと)ること。 「悟」とは他人の期待、評価、願望、を悟(さと) ること。 ( 平家物語) |
このように言われると、「覚悟しました」などと軽々しく言えなくなりますね。 |
49、会して微笑あり、座して哄笑あり、別れて心 永く楽しむ。 (今津 弘) |
ようやくこのコラムを終えるにあたって、これからの私の人生をさらに豊か にするであろう大切な大切な「座右の銘」をご披露します。 |
50、最後にもう一度、藤岡達也扮する老ジャズメン に登場願ってこのコラムはおしまい。・・・・ "人生は楽しみ。苦労はちょっとした味付 け。" |
楽しむためには、”人に会い、人に学び、人を読む。”ことです。 長々とお付き合い、有難うございました。 |
・・・第一部は おしまい。・・・・
第二部(’05年以降)
51、少而学 則壮而有為 壮而学 則老而不衰 老而学 則死而不朽 (佐藤 三斎) |
少にして学べば即ち壮にして為すこと有り、 壮にして学べば即ち老いて衰えず、 老にして学べば即ち死して朽ちず。 ’06、03、18 横須賀料亭「小松」での三木睦子さん(88歳)の講演趣旨 は、老いて益々好奇心を持って人生を学びましょうでした。締めの挨拶は 今津先生が左記の句を紹介しました。正鵠、実に的を射た締めの言葉で した。流石! |
52、世の中に 人と会うこそ 楽しけれ とは言うものの お前ではなし ( 蜀山人) |
思わず苦笑いの出る蜀山人独特の”捩じり”。 人と会うことの大切さをを知り尽くしている蜀山人が、だからこそ自分自身を 磨かねば他人に迷惑を及ぼすことになるよ。と言いたくてこのようなブラック ユーモアになったのでしょう。 |
53、弧掌 鳴り難し。 (藤沢周平) | 悪い奴は概ね一人ではない。大抵相棒がいるもの。 |
54、桃李言わざども、下自ずから蹊をなす。 (司馬遷・史記) |
桃や李はものを言わないがその香りに誘われてその木の下には人の集ま る道が自然に出来てくる。・・・よく出来た人間には自然にその人を慕う人達 が沢山集まってくる。 の意。 |
55、「これでおしまい」 勝海舟、時世の言葉 | 幕末から明治にかけて、徳川宗家と天皇、明治政府の橋渡しに苦労した 海舟の時世の言葉。 ![]() |