四暗刻(スーアンコー)     12,03,20

    昨年暮れの不慮の病以来、学生時代の友人S君はなにくれとなく私の健康を気遣ってくれ、
   さりげなく外出する機会を作っては誘ってくれる。正月には三浦七福神巡りをして私の健康
   回復を祈願した色紙を持参してくれた。古くからの友人とは有り難いものだ。今年に入って
   からも、三浦海岸の河津桜見物に誘ってくれて、少しずつ外の空気に触れさせ元気になる
   よう心配りをしてくれるのがうれしい。

    その彼がここ数年通っている雀荘に行かないかと誘ってきた。彼は私と違ってまじめな
   学生だったから麻雀をたしなむとは夢にも思わなかったので驚いたが、数年前にTVKの
   老人向け麻雀教室で麻雀を習い、横浜のさる雀荘に通って楽しんでいるとのことだった。
   私は昨年春に麻雀の仲間が千葉に引っ越しをしてメンツが足りなくなって以来、麻雀から
   遠ざかっているので、どんな麻雀をやっているのか覗きたくなって彼の誘いに乗って2月末
   に横浜まで出かけた。

    行ってみて驚いた。午前10時だというのに老人特に女性の多いこと多いこと、2フロアに
   20卓以上もある雀卓がすべて満卓、すべて老人、それも半分は女性だから驚いた。老人
   パワーというが、暇で元気な年金生活者がこんなにも沢山いるということだ。また、若い男
   性の係員が沢山いて、即席麻雀教室を開いたり初心者の女性に親切に指導に飛び回っ
   たりしていた。こんなところにも人気の秘密があるのだろうか。

    係員から雀荘のルールの説明があった。禁煙・賭け金禁止をはじめ親睦第一だから
   不快にさせる言動は避ける事などだった。50年を超える麻雀歴に賭け金なしは初めての
   ことだし、午前中の麻雀も初めてのこと、まして女性相手も初めてなので、係員の指定し
   たお相手と友人S君の助言を素直に聞きながらおとなしくお相手をした。S君とは勿論
   初めてなので彼の麻雀を興味を持って観察した。

    雀荘を渡り歩いて中毒のように麻雀をやっていた昔だが、薬が切れた今はそれほど
   麻雀に現を抜かす情熱を持っていない。しかし久しぶりにパイを握ると往年の勘が冴え
   てくる。S君のパイ捌きはやはり初心者だった。残りの二人も大同小異。なにせ賭け金
   なしなので気は楽だ。勝っても相手は傷つかない。

    開始早々1時間も経たないうちに役満の四暗刻(スーアンコー)を上がった。早速係員
   が飛んできて記念写真を撮って、入場カードにサービス印をペタペタ押してくれた。次回
   以降のサービスを受けられる印とのことだった。たばこの煙とアルコールの匂いが漂う
   不健康な雀荘しか知らない私は、入場料1500円で3時間、高いか安いかはわからない
   が、こんな健康的なシステムの雀荘が今風なのかと今昔の感がした。

    帰りにちょっとした彼の行きつけの居酒屋に立ち寄ってほんの少しだけ頂き、上大岡
   の京急デパートで土産の惣菜を買って帰宅した。気に入ったらまた行こうと誘ってくれ
   たが、麻雀を誘ったのか居酒屋を誘ってくれたのかは後日聞くことにしようと思っている。

     雀荘が撮ってくれた記念写真。
  後日、友人が持参してくれた。

  なんでも、初来店で役満を上が
  ったのは初めてだそうだ。
  5ピンをつもりました。